• 2016年10月02日登録記事

TVアニメ「91Days」(8話〜12話)の感想です。
http://91days.family

当初の視聴予定にはない作品だったのに、1話で「いい雰囲気」と思わせ、2話の衝撃で引っぱり、9月冒頭にあった衝撃的な8話以降は、ずっと次週を楽しみにしていました。

コルテオの友情を利用しつくすアヴィリオは、いつかしっぺ返しを喰らうと思いながら見ていたのに、その前に8話でコルテオがどん底まで堕とされたのが衝撃でした。
窮鼠、猫を噛むーーと評すしかないラストは、カメラワークと、明るいレコードの繰り返し演出にゾッとしました。ファンゴは、侮り過ぎていた油断より、身の回りに置ける信頼できる人間を故セルペンテしか持たなかったのが敗因かな、と思います。
そこまで追い詰められたコルテオが、ようやく報われそうだった10話とその結末は、本当に悲しかったし、最終回でチェロットが彼のことに触れてくれたのがまたなんとも効いていました。

手紙の主である「4人目の男」の正体は、4話から引っ張った割に小物だったな、と思いましたが、4人目を探すミステリーを盛り込むと、復讐劇というテーマがブレていた可能性もあるので、これで正解だったのでしょう。

とにかく、最初から最後までテーマを通し続けた点は見事でした。
実のところ、私は7話の時点で「この物語の結末では誰も幸せにならない」と確信したので、ある種安心して観ていました。その確信通り、復讐という行為を肯定することなく終わりました。私は、犯罪者が主人公でも構わないけれど犯罪を肯定する物語は嫌いです。91Daysの場合、人死、裏切り、策謀が蠢く凄惨な物語でも、倫理観は真っ当だったので楽しめました。

しかし最終回は、キービジュアルからの想像とまったく違い、少々蛇足気味に感じました。
せっかく11話まで逃げずにラザニアだとか描写してきたのに、結末で曖昧な終わりかただったということはもちろん、構成も時系列が前後して、分かり難かったです。
私は、元々アヴィリオは死ぬべきだと考えていたので、そのように解釈しましたが、ネロの笑顔があるせいで判断が難しくなったと思いました。
どれほど虚無感に襲われようと復讐をやり遂げたアヴィリオに比べ、ネロの怒りは少し緩いのが残念でした。
そもそもネロは3話頃、アヴィリオを疑っている描写があったのに、結局は完全に信じていたのですね。いい奴かもしれないけれど、マフィアのドンの器ではなかったんだ、と思います。