• 2008年09月登録記事

 愛する気高き犬は、しかし素っ気ない欠伸を残して立ち去ってしまった。
 肩を落とした彼女に、飼い主である青年が慰めの声を掛ける。
「残念だったな、エステル」
 但し、彼がそう言う口の端からは噛み殺した笑いが漏れているので、本当は同情していないことくらい、鈍いエステルでも分かる。
 そんなに自分の姿は滑稽なのだろうか。
「猫は懐いたのにな」
 ユーリの言うことは、彼女が理解できる範囲を超えている事がある。
 覚えのない話に、エステルは首を傾げた。
「猫がいたんです?」
「ああ、直ぐに火を吹く茶色い凶暴な奴が一匹」
 聞き覚えのある特徴は、明らかに仲間の一人を示していた。確かに、あの少女はどこか猫に似た雰囲気があるかもしれない。
 二人の視線を受けた天才魔導少女は、くるりと丸い円を描いて振り返ると一喝した。
「あたしと犬っころを一緒にするな!」

 ──同じことを唸った声もあったのだが、これは誰にも聞き取られぬまま終わった。


何も考えずに書いたら、またリタオチになりました。
そのため、少しは捻ろうと何パターンか書き直してみましたが、結局シンプルな最初のパターンに戻りました。彼女は反応が子供だから書きやすいですね。

今日もヴェスペリアSS書き殴りですがラピードはお休み。ED後です。
題名は「Amor et lacrima oculis oritur, in pectus cadit.」と入れたら長過ぎたので邦題。


「良い機会ですから、伝えておきたい大事な話があるんです」
 その言葉に、エステルは気軽な気持ちで頷いた。
 若い皇帝が副帝を呼び寄せるのでなく訪問し、何事か相談をするのはさほど珍しいことでない。騎士団長を伴っているのは珍しいが、皇帝の一人歩きを遂に見咎めての同行だろう。
 気遣ったのはもう一人の方だった。
「俺、席外すか?」
 問う形をとってはいたが、ユーリは既に腰を上げていた。先程あれほどエステルが苦労して座らせたばかりだと言うのに。
「構いません。いえ、一緒に聞いてください」
 彼女が抗議するより早く、ヨーデルは強く首を振り、重ねて右手で彼を制した。
「じゃあ手短に済ませてくれ」
「わかりました」
 皇帝への態度とは思えぬ物言いに、青年をよく知る彼等は微かに笑い、そのことに憤慨した振りでユーリは乱暴に腰を下ろした。勢いのついた青年の体重を受けて、些か派手に空気が抜ける音がする。
 だから、ヨーデルにもう一度名を呼ばれた時、彼女が考えていたことと言えば、お気に入りのクッションが破れてしまうのではないかと言うことだった。
 慌ててヨーデルに向き直れば、いつの間にか彼女よりも高い位置から注がれるようになった優しい瞳が微笑んだ。
「エステリーゼ、僕と結婚してくれませんか」


こんな未来が待っている可能性もあると思うのです。
しかし、書いてみたら乙女ゲーム的だなと思いました。
続きのお相手は、ユーリでもフレンでも、真っ直ぐにヨーデルでもお好きなようにご想像ください。

第二部終盤注意報。今回も途中までです。


 沈黙する森の中心で、ラピードは静かに立ち上がった。
 傍らで伏せた主人の眠りは深い。珍しいことだったが、理由は明らかだ。
 ラピードは北東から漂う花の匂いへ顔を向けた。
 最近主人が率いるようになった群れは、女子供ばかりの未熟な一団で、時には主人の足枷でもあった。己で決めた道を背負う覚悟も、まだ不安定だ。彼と主人が密かに街を出たことも気付いてはいないだろう。
 だが。
 彼等が主人を必要としているように、主人にも、彼等が必要なのだ。
 今、欠けた星のひとつを取り戻すためにも。
 ──決意し、ラピードは街の方向へ数歩戻り、けれどそこで足を止めた。


初ラピード心境。ちょっと生意気です(笑)。
でもこのメンバー構成だったら自分が主人の片腕で、羊の群れを率いてるつもりなんじゃないかしら。SH2のブランカは自分が率いてるつもりだった可能性があると思ってますので、その点はラピードの方が少し謙虚ですね

「なにやってんだ、カロル」
 頭上から聞こえた青年の声に応え、カロルは机に広げた様々な図案を指差した。
「ギルドのマークを考えてたんだ」
 自分たちのギルドを作るとなると、考えないといけないことが沢山ある。
 掟、名前、それからやっぱり格好良いマークを!
「やっぱり星の形が良いと思うんだけど、なんかこう、ビシッと決まんないんだよね」
 戴いた名を示す絶好の図案であるが、既存のギルドでも星をモチーフにしたマークは多い。
「ユーリはどう思う?」
 期待を込めて見上げた青年は、しかし軽く肩を竦めると背を向けてしまった。
「俺はそういうのよく分かんねぇしな。ボスに任せるよ」
 得意分野だろ、と言われて頷きはしたものの、カロルは密かに落胆した。ギルドのボスが自分ならば、NO.2はユーリだ、と彼は思っている。であるとすれば、ギルドの象徴を二人で協力して作り上げたかったと思うのは強欲だろうか。
 だが、一任は自分への信頼の証でもあるはずだ。
 そう言って自身を奮い立たせ、机に向かい直る。その時、青年の傍らに控えていた獣が身を乗り出し、広げられた図案を一瞥した。
「なに、ラピード。興味あるの?」


レイヴン編と違って、オチを考えずに書き出してるのでこの先停止中……。
ユーリは格好いい主人公なので、私自身も好きだし人気も高いだろうと思いますが、自分が興味のない部分に関しては放り投げ過ぎじゃないか?とも思います。だから、ユーリと一緒にひとつの物事を作り上げて行くのはしんどいかも知れないと思います。カロルには決断力があるから、さほど問題ないですけれどね。

ちなみに、凛々の明星の真のNO.2は、勿論ラピードです。

地名関係を大量更新。
取り敢えずご要望にお応えして[地名]テルカ・リュミレースにワールドマップ画像を載せてます。
もう少し拡大した各地域地図は、各大陸の項目に掲載しています。
但し、あんまり細かい区分分け(平原南、東などなど)はゲーム画面と見比べっこが面倒なのと、そこまで必要ないだろうと考え記載してません。
また、街の位置も入れた方が良いかなと思いつつ、取り敢えず様子見です。
ちなみに、地図を作ってたら、意外に手間取って他の要素が殆ど更新できませんでした。ついでにゲームも進みませんでした。

地図に関しては自分でも必要だなと思っていたので用意していたのを早めたわけですが、他にも資料としてこれが欲しい!と言うものがあれば、是非お気軽にコメントでもフォームでも仰ってください。
可能な範囲であれば対応いたします。
ちなみに、自分でやりたいと思っていることは以下の通り。

準備中
・帝国騎士団各隊がいつ何処に駐屯しているかの図表

技量不足で頓挫
・人名にキャラ絵(項目の左側の空白はこれを予定してました)
・ギルドにマーク(同上。正面から見る機会がなくて難度高し)

構想段階
・サブキャラの一人称、口調など

やはりイラスト関係はスキルがないので難しいですね。