• 2007年11月05日登録記事

マジ鬱語り、と書き出すと「どんな嫌なことがあったのか」と仰天されそうですが、ミュージカル「マジシャンの憂鬱」のことですのでご心配なく。
と言うわけで改めて、昨日の劇部分に対する感想です。

端的に言うと、アテ書き作品って、要するに役者に似合ったキャラ付けに対して萌える作品なんですね。
シャンドールは紳士的でスマートな、悪意なき詐欺師。
「だますのが辛い」等と歌っても深刻な苦悩ではなくて、全体的に飄々としている感じ。でも完璧なわけでなく、人間として等身大。そしてマジシャンとしても違和感のないキャラ作りでした。
嘘をつきまくっているので、全然誠実ではないのですが、憎めないと言うのは凄いキャラクターですよね。トラブル巻き込まれ型主人公だから、許せるのかな。
対して皇太子殿下は、劇画的。初登場時は打ち拉がれているので、マトモな人間かと錯覚するのですが、周りの人間(主にシャンドール)のパワーを吸い取ってどんどん元気になっているように見えました。もっとも、マレークを取り戻してからは落ち着きを取り戻し、初登場時のように変な発言したりもしなくなったので、ノイローゼでネジが奇怪しくなってただけかな。

さて、ジグモンドは事前に小耳に挟んでいた通り、比重が軽い役であることは正直否めませんでした。居候は5人もいるし、その中で一目置かれていると言うわけでもない。
ただ、これが正塚脚本に置ける大空祐飛へのアテ書きなのかも知れないのが恐ろしいところ。なんせこの男、透視詐欺を止めると言い出したシャンドールへ、思い直させるために放つ台詞が「大好きなのに」。それはジグモンド側の感情であって、シャンドールの行動原理に関係しないと思うんですけど、これを役者2人の関係性に当てはめると納得してしまうのが……恐ろしい現象です。
酒場に撒いたはずの侍女たちが現れた時、凄い嫌そうな顔だったのも、今の仲間との生活を崩されたくないんだろうなぁ等と、語られないのを良いことに勝手に行間を読んで保管できるキャラだったので、今回はこのくらいの扱いで良かったのかも知れません。

キャラ萌えで楽しんだけれどそれでも物足りないのは、肝心のキャラ数でしょうか。名のついている役は皆キャラ立ちしていて素敵なのですが、名もないモブが圧倒的に多い。
アテ書きとしては成功していると思うので、もっと多くの月組生に名のあるキャラを作ってあげていれば、組ファンの全体に喜ばれたのではと思います。それこそ、お話の粗に目をつぶれるくらいね。