- 分類読書感想
小手毬るい著「素足の季節」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
高校1年のカオは、友人に誘われ演劇部復活のため旗揚げ公演に参加。部活メンバーとの友情、演劇部のOBである熊島先輩への恋、不安と苦しみ、嫉妬などを経験した。そして、大人になった今、きらめく過去を思い返す。
演劇をネタにしたお話だったので読んでみました。
女同士の友情と、恋と、演劇部復活に掛ける情熱とが合わさる学生時代の展開は面白かったのですが、ラストでいきなり40年以上も時間が経過するので、肩透かしを喰らった印象。
青春小説……かと思いきや、青春を懐古する小説だったのですね。
登場人物が美男美女揃いで、誰も彼も才能があって、リアリティはないけれど、その辺は「思い出は美しい」だから良いのかもしれません。
チェーホフの「かもめ」を下敷きとして主人公が書く戯曲「放課後のすずめたち」が実際に面白そうで、全編書いてもらえないかな、と思いました。
主役が脚本担当という点は「幕が上がる」と一緒です。
小説家と劇作家という仕事は、どちらも物語を作るという点で一緒だから、演劇への関わりかたとして描きやすいのかもしれませんね。