• 2015年06月09日登録記事

飛鳥井千砂著「サムシングブルー」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
27歳の事務員梨香は、イラストレーターの恋人と別れ泣き伏した翌朝、高校時代の彼氏と親友の結婚招待状を受け取り動揺する。同級生たちと一緒に結婚祝いを贈ることになるも、ことあるごとに心から祝えない自分に気付かされる。だがその苦しみの末、心の内で切り捨て封じていた青春時代を思い出した梨香は、友人たちとの繋がりに幸せを感じる。

いい作品でした。
読み始めは、率直に言えば「失恋ごとき」に主人公が囚われ過ぎだという気もしたのですが、実際、他人から見て大した事件でなくても、本人にとってはかなりの衝撃ですよね。
そんな、とても身近でリアルな小さな世界が丁寧に描かれていて、それでも最後はハッピーエンドに至って人生を肯定してくれる優しいお話に、好感を覚えました。

登場人物は、どの人物も、良い面があり、嫌な面があり、でもこんな仲間と過ごした日々は楽しかっただろうなと思います。