• 2012年11月登録記事

PSPアドベンチャーゲーム「オレは少女漫画家」体験版を遊んでみました。
http://www.giza10.com/soft/manga/

『オレは少女漫画家』応援中 ! 2012年2月23日発売!!

極めて珍しい、PSPオリジナルのギャルゲー。
発売元Giza10は、エロゲーメーカーMay-Be SOFTの別ブランドで、確かにそういう雰囲気はありますが、このゲームはCERO D。わざわざパンチラアングルを描いておきながら、障害物で隠すくらいの可愛い健全エロです(笑)。

主人公は、正体を隠して少女漫画を描く男子高校生。しかし最近は打ち切り連発で連載枠を失い、起死回生の一手として女装して美少女漫画家として話題を作る――という展開。
聞いた話では、似たような設定の漫画があるそうですね。
売れなくなったら女装するのが、今やスタンダードなの?

ゲームとしては、体験版の意味があるのか不思議なくらい、ほぼ文章を読むだけの内容でした。選択肢すら出て来なくて、プレイヤーが関与できるのは、インターバルでどの女の子のエピソードを見るかの選択肢と、漫画の表紙を作る箇所だけ。
セーブできるのに、データを製品版へは引き継げないというのも不思議な点。
それなのに、製品版を買ってみても良いかな?という気にさせる体験版でした。
導入のシナリオは、コメディというギャグの域。人を選びそうな文体ですが、勢いがあって面白いです。女の子たちも、それぞれに魅力的。
なにより、この先それぞれの女の子とどう進展していくのか気になります。
選択肢がないことで、ゲーム性はなくしたけれど、会話のテンポの良さや、声や動きといったエンターテイメント性を取った作品なのかな。そういう意味では、結構潔いゲームだと思います。

みをつくし料理帖シリーズ第7作「夏天の虹」

2巻以来感想を書いていませんでしたが、ずっと読んでいます。

今回は読む前に、この巻の最大のネタバレを知ってしまいました。
その為、武士を追い出した一件が原因で事件が起きるのでは、と思いながら読み進めていたのですが、彼自身の意志でことを成し遂げた末の結末だったんですね。魅力的な登場人物の1人が欠けるのはとても哀しいですが、彼は後悔していないだろう展開で救われました。

しかし、澪は自分で結婚しない道を選び、小松原にまで強いたのだから、その選択の結果にショックを受けるのは少々身勝手では、と思ってしまいました。
個人的には、このシリーズには恋愛話やドラマチックな展開よりも、澪が野江を身請けするためにどんどん料理人として頑張る、真っ直ぐなお話を読ませて欲しいと思います。
そろそろどん底だと思いますので、「雲外蒼天」の未来に向けて進んで行ってもらいたいですね。

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1年前に触って以来のゲームアーカイブス「シルエットミラージュ ~リプログラムド ホープ~」。
なんと、クリアしました。

前回のプレイは、AREA2の途中にあるゾファル戦をやり過ごした後で止まっていました。
1年の間があったのは、モーセ戦とゾファル戦で残機をどんどん減らし、心が折れたためです。
取り敢えず今回はその続きから始めて、AREA4まで行ったところで最初のボス・サムスンに倒され、残機0でゲームオーバー。
「本体セカンドモードに入る」云々というゲームオーバー画面に、リトライできるのか?と思ったのですが、何事もなくタイトル画面に戻ったことに首を捻りました。まさかこれが伏線とは……。

そのまま不貞寝して投げ出しそうなところでしたが、気持ちを切り替え、最初からやり直しました。
というのも、AREA3でパラサイトを「グラットニィ(レーザー)」に切り替えたところ、これの使い勝手が非常に良く、序盤からこのパラサイトを使えばもう少し楽に進められるのでは、という光明が見えた為です。

想像通り、途中2機は失ったもののもう一度AREA4に到達。そしてその先も怒濤の勢いで攻略し、AREA7でクリアとなりました。
やり直し後のプレイ時間は2〜3時間くらいでしょうか。かなり短い内容のゲームだったんですね。

冒頭の最後の選択肢はやり直して両方見ましたが、どちらも物凄く短いエンディングでビックリしました。それで調べてみたら、AREA6でゾファルを倒していなかったので、PS版のおまけエンディングに行き着いたのかな?と思われます。

で、終盤の展開で明かされたのですが、ゲームオーバ時の「セカンドモード」って、自爆したという意味だったんですね!?
同時に爆発している一枚絵の謎も解けましたが、ナビゲーター役っぽいゲヘナの方が本体とも思っていなかったし、かなりアッと驚かされる展開でした。
ただ、エンディングは前述の通りどうなったのか良く分からないまま纏められてしまって、消化不良感がありました。
シナリオに定評のある作品なのに、ちゃんとしたエンディングを見ずに終わらせるなんて悔しいですね。
しかしAREA6のゾファル戦は2分という制限時間があるので、とても勝てる気がしません。

アクション下手な私は、シルエットorミラージュの固定属性の場合は同属性で攻撃し、敵の攻撃力を削ってから体力を削るという戦い方でなんとか進められました。殆どの場合、自分も攻撃力0になっていましたが、敵と違って攻撃できなくなる訳じゃないのが救済要素ですね。
一方、敵の攻撃を反射しないと倒せないノーマル属性には常に苦戦しました。やり直した時に、AREA5のヨナアサシン(蜘蛛)ともう一度戦うことを想像しただけで気力が下がります。
ちなみに、1年前に思っていた通りL2・R2ボタンを使うアクションは一切使いませんでした。使いどころもあまり良く分からなかった、かな。
難しいのは確かだけれど、段々動かし方が分かったり敵の動きを見切れるようになると、カツアゲする余裕もできたりして、動かしていて楽しいゲームでした。

キャラクターは、格好よかったり奇抜過ぎたりド派手だったり気持ち悪かったりで、どれも印象に残りました。
一番可愛いのは、「アネゴ」と慕ってくれるモーセ。
エンディングは、どちらの展開でも生命が消えてしまっていそうな感じでしたが、モーセはエドから転移して無事でいて欲しいな、と思いました。

そういえば、スタッフロールで意外と声優陣が豪華だったことに気付きました。
9割方を音声0で遊んでいたので、勿体ないことをしたかも。

11月1日記事の続きで、キャスト評。

ラインハルト@蒼羽りくのキャラクター性は、前回記事の通り。役作りなのか、素なのかは判断し難いところですが、解釈としては面白かったです。
歌は……オープニングから「フレイヤの星」までは手に汗を握りました。しかし丁寧に音を選んで外さないようにしていたので、音痴ではないはず。上達の見込みはあるかもと期待しています。
台詞は男役声が出来ていて元々好きなのですが、時々裏返ってしまったのは、緊張のせい?
さすがに踊りは危なげなく、優雅でした。マントさばきも、指先が物凄く集中しているのが伝わりましたが、その努力の甲斐あって美しかったです。

ヒルダ@花乃まりあは、大変聡明で知的に見える、好みの役作りでした。本役がカラリとした明るいヒルダなのに対して、適度な湿り気があり、国を憂うお嬢さんという雰囲気。歌声は透明感があって心地好く、もう少しボイストレーニングを積んで声の細さを克服して貰えれば言うことなしです。
欲を言えば、実年齢は若いのに老けて観えるので、化粧に改善の余地ありかなと思いました。

キルヒアイス@桜木みなとは「クラシコ・イタリアーノ」の子供サルヴァトーレ役が良かったので期待していましたが、キルヒアイスとしては少し期待と異なっていました。恐らく、持ち味が弟気質なんですね。ラインハルトが子供なので、キルヒアイスはもっと「お兄さん」の要素が大きくても良かったと思います。
それと、彼を観ていると時々、春風弥里を思い出しました。芸風が似ている、のかしら?

ヤン@凛城きらは、ヤンには見えないのですが、演技はハートフルで大変良かったです。歌も、他の主要男役に比べると安心して聞けました。
それにしても、本役と同じような役作りなのに、印象の違いはどこから生じるのか不思議です。

オーベルシュタイン@愛月ひかるは、本役とは少し髪型が違い、「記者と皇帝」のレッドマン役を彷彿とさせられました。偶にオペラグラスで覗くと、焦点の合わない眼をしていて怖かったです。宝塚版脚本ならではの役作りですね。
男装のヒルダと遭遇した時の驚き方が下手過ぎて、思わず苦笑い。でもその後ヒルダを凝視して、二度も退出を言い渡されるアドリブで、ちゃんと笑いを取っていました。

割愛シーンが多い為に、解説役としての重要度が上がっているフェザーンの二人組。
ドミニク@すみれ乃麗が、台詞を覚え切れていないのかと疑うほど何度も噛んだり間があって嫌に緊張させられましたが、台詞回しは良かったです。「強い女」のイメージがある本役よりも、エロティックな雰囲気があって好きでした。
ルビンスキー@美月悠も声は掠れていたけれど、台詞は明瞭だし、歌も堂々としていて見直しました。脇を演じる芝居巧者が減ったので、これからもっと活用されるかも知れませんね。

アンスバッハ@和希そらは、宝塚での好評価で期待値を高め過ぎていたようです。大して見せ場がある訳でもなく、有能に振る舞っても脚本上はすべて裏目に出ている時点で、難しい役なんだと思います。
和希は小柄なこともあり、星吹彩翔と芸風が似ているような気がしました。

提督たちは見せ場が大幅に削られているので、あまり印象に残らず。やはり本役のビジュアルの完成度は凄いなぁと思った中、ワーレン@七生眞希は好みの美形でした。過去の観劇記録を調べたら、「誰がために鐘は鳴る」で蒼羽りくに似ていると思って注目対象にした子でしたね。本公演で目立つ位置に来ないので忘れていました。

皇帝フリードリヒ4世@星吹彩翔は、老け役は初めて? 童顔に髭という点でかなりハンデを負っていて、演技している感を感じてしまいました。上手い人なので、技術的には文句ないのですが、正直ヤン役で観てみたかったとも思います。

本役が上手過ぎて、新人公演では見劣りしそうなところをしっかり締めたのがトリューニヒト@留依蒔世ジェシカ@彩花まりの同盟政治家組。特に、慰霊祭のトリューニヒトは、本役である星吹が群衆役で目の前にいて歌い難そう、と思いましたが、そんな心配は不要でした。
本役以上に怪演かも、と思ったのはベーネミュンデ@瀬音リサ。皇帝が危篤に陥った後の狂気の表現から眼が離せませんでした。
注目のアンネローゼ@伶美うららは、役が合っていて大人っぽい持ち味が生きていました。本役より白羽ゆりが演じたアンネローゼを思い出しました。蒼羽と輪郭が似ているので、姉弟として説得力もありました。
ユリアン@秋音光は、こまっしゃくれている印象。そういう面もあるキャラクターですが、もっと利発な雰囲気が欲しかったです。

宝塚宙組新人公演「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」を観劇。
新人公演は、入団7年目までの下級生たちで本公演の演目を演じる、若手育成の場です。宝塚&東京での各1ヶ月の公演期間中、1回ずつ行われます。麻生は今回、主演の蒼羽りくを応援するため、初めて参加しました。

全体評

宝塚大劇場で行われた新人公演の評を聞いて、出来を心配していましたが、概ね本役を踏襲した演技で、みんな上手でした。壊滅的に下手な役者はいなかったですね。
ただ、欲を言えばもっと新人公演ならではの熱気が欲しかったのに、小粒に手堅く纏まっていた印象です。
指揮者は本公演と同じ塩田明弘氏でした。よく新人公演の音楽については「オーケストラも新人公演」と揶揄されますが、今回はバイオリンの音が金属質だったこと以外、本公演と殆ど遜色なかったと感じました。
ソロは出来不出来が大きかったですが、宙組コーラスの迫力は新人公演でも健在で、1幕ラストの大合唱の厚みには耳が痺れました。

新人公演の変更点

新人公演は、純粋に出演者総数が減ることと、上演時間の制限により、シーン変更が行われます。
今回は、冒頭の歴史解説、艦隊戦・陸上戦のすべて、子供時代の回想、オペラ座の回想をカット。カットした為に前後が繋がらなくなる部分は、台詞を増やして補っていました。
その結果、キルヒアイスがアンネローゼに帝位簒奪の意志を伝えるという酷い脚本になっていましたが、それ以外は巧く端折られていて、エピソード満載で話が散漫な本公演より分かり易く感じました。
舞台演出自体は、元々本公演の演出が素晴らしいので、それを踏襲。実は、前回は前方端席過ぎて全体像が観えなかったので、新人公演で複雑に計算された演出の妙を実感しました。

ラインハルトの少年性

本公演観劇の時は、「銀河英雄伝説の舞台(宝塚)化」という気持ちで観ていたのですが、今回は「銀河英雄伝説を原作とした舞台作品」という気持ちで観ることが出来て、色々な発見がありました。

その発見の糸口になったのが、主演・ラインハルト役の蒼羽りくです。

公演を観終わってから、全体を思い返し、蒼羽ラインハルトの本質は「膨れっ面の子供」だな、と思いました。
例えば、甘えの対象であるキルヒアイスに対してちょっと背伸びして優位に立とうとしたり、批判されると他人の言葉を借りて自己弁護するところ。オーベルシュタインやヒルダに理詰めで迫られると、とりあえず反発はするけれど素直に聞いているところ。姉へ我儘を言ったり、死の床の皇帝に応える台詞も、幼稚な面が表に現れた感じです。
原作でも子供っぽい精神の持ち主ですが、政治的才覚があるからそこまで幼く見えなかったんですよね。二十代なら時々このくらい若さを発露するのも当然か、と思えていました。凰稀ラインハルトも松坂桃李ラインハルトも、その印象に則っていました。
でも蒼羽ラインハルトは、十代の子供が大人社会で背伸びしているだけに見えました。行動力があるのは大人に反発しているだけで、あまり深い思慮はなさそう。例えば賊軍と呼称させる下りで、凰稀ラインハルトはその語を選んだ含みがあるように聞こえたけれど、蒼羽ラインハルトは純粋に姉へ危険が迫ったことで怒りを炸裂させていただけ。
本役とは持ち味が違って、これはこれで面白いラインハルトでした。
そういえば、ヒルダのことも、女の子として意識している感じがしました。……机の整理を始めたヒルダを制止するシーンで声が引っくり返ってしまい、リンデンバウムの栞に気付かれないよう本気で焦ってるように見えた効果もありましたが。

ちなみに、ラインハルトが子供な分、皇帝がラインハルトを見守っている度合いがアップしていました。カーテンコールで皇帝の扮装に戻った星吹が、蒼羽の拙い挨拶の間中、優しい表情で時々頷き、温かく見守っていたのは印象的でした。
宝塚版的には、皇帝に「ラインハルトの父」としての役割、即ち保護者であり最初の敵でもある存在として意味を持たせているのかも知れませんね。1幕ラスト崩御シーンの改変が、「父と子だから」と思えばストーリーとして頷けました。

書き切れなかったので、キャスト評は次回に回します。