• 2010年05月登録記事

あれこれ書いてますが、実は前回(11場)から1場しか進みません。

【第12場A 茨木、告白する】
綱を探す金時は、囚われの姫君たちの中に花園衛門を見つけ、彼女の救出を誓って勇気付ける。二人の姿を見た茨木は、三年前に大江山を逃げ出した時の出来事を思い出す――

すっかり鬼の世界に馴染んでる伊勢式部@鈴奈沙也が好きです。
藤の葉連れだったと言う問題があるにせよ、潜入初日に捕まった綱に比べると、数日かけて山を探索し、人質とも接触している金時の索敵能力は高いですね。

【第12場B 茨木、告白する】
茨木は、ある荘園の奴婢・萱野とこぞ丸と知り合い、三人で暮らそうと考えた。しかし萱野は盗賊に身を落とした恋人・六郎太を助け、荘園を抜け出す。茨木は嫉妬心から逃亡を密告し、二人は追っ手に殺されてしまう。こぞ丸は、茨木を鬼と罵る――

時間を確認したところ、このシーンは5分もありませんでした。原作で1話割いてるエピソードを、この尺に収めてるのは凄い荒技ですね。
六郎太が引っ立てられているシーン、一人でも役人を出してあげたら良かったのでは、と思います。死のシーンは当人たちの演技だけで充分なのですが、引っ立てられてる所はちょっと情景が分かり難いですよね。
密告後の茨木は、褒美を問われて、その瞬間こぞ丸の事を思い出したのかな。彼だけは助けようと思って、けれど当人から非難される。
その瞬間になって、茨木は初めて自分が仕出かしたことを理解したんですね。つまり、密告は衝動的な行為だった。その先にある二人の死まで彼が理解していたのかどうか……。茨木は、こぞ丸よりも子供だったのかもしれません。

【第12場C 茨木、告白する】
自分の中の鬼を知った茨木は、以来、大江山で生きて来たのだ。茨木はその過去を語ると、藤の葉が都へ帰るよう冷たく突き放す――

茨木自身が未だ答えられない「なぜあんなことをしたのか」。私は、茨木は萱野に淡い恋心があったと思います。その萱野が六郎太を選んだ事、そして藤子と巡り会えない自分と、萱野と巡り会えた六郎太。両者への怒りと嫉妬が、茨木の鬼を顕在化させたのだと。
「これが俺の真の姿だ」の三白眼っぷりが最高に格好良いです。
口付けられた藤の葉が泣きながら去るシーン、本気で泣いてるように見えて、さり気ないシーンだけれど凄い演技だなぁと改めて感心しました。

篠田節子作品を初めて手に取ってみました。

女たちのジハード

「女たちのジハード」は、保険会社に勤める5人のOLたちのそれぞれの生きる道の選択を描く長編。
女性作家が描く女性像らしく、要所で頷かされる性格付けで、共感したりムッとしながら読めました。
特に得意の英語力で自立しようとする紗織の、ちょっと性格がキツくてKYなところとか、そのくせ自分の生き方については案外認識が甘い部分は、身に詰まされる部分もありますね。
リサの結末は、割と想像通りだったけれど本人が可愛いので楽しく祝福できました。康子の結末は、冒頭の章ではまったく想像つかなかったもので、最後まで読めなかった分ハラハラしました。
全員、最後はそれぞれ進む道を定めて生きていく姿を見せてくれるので、読了感が良く楽しかったです。

天窓のある家

「天窓のある家」は短編集。
ちょっとホラーチックな話や、精神的に奇怪しな主人公がいるなど、やや後味は悪め。
「友と豆腐とベーゼンドルファー」は、主人公の最後の行動にカタルシスが得られるので不快感は残りませんでした。
「パラサイト」は、ちょっと説教的な面も感じるけれど、なるほどと唸らされます。
「密会」は、男性主人公から見た女性の3つの像、“水曜日の女”母親と、妻、部下の女性がそれぞれ個性的でアクが強く、楽しかったです。
他に6編ありますが、それらは再読したり感想を書く気がしません。

最近はハーゲンダッツ批評を書いていませんでしたが、相変わらずミニカップ系の新商品が出た時は欠かさず食べています。
毎度多大な期待をしては、「アイスクリームに固形物は入れない方が好き」との認識を改めていたドルチェシリーズも、毎回性懲りなく挑戦しています。

と言うわけで、今回は遅まきながらドルチェシリーズの春の新作「フレジェ」を食したのですが……あれ、美味しい!と言う驚きがそこに待っていました。

多少スポンジケーキが入っていますが、全体にアイス比率が高いので、層になってるアイスクリーム+ソース、的な感覚で食べられます。サーティーワンのアイスクリームケーキってこんな感じかな、と思いました。
ベリーソースが酸っぱいので、ハーゲンダッツらしい濃厚な甘さも割と控えめ。
麻生はショートケーキよりフレジェが好きだという点もありますが、これならリピートしても良いなぁと楽しく味わえました。

次は5月下旬のミニカップ新作クリームチーズラズベリーですね。
ラインナップから考えると、ちょっと酸っぱいアクセントが今年の流行なのでしょうか。

【第10場A 綱、頑張る】
消息を絶った綱を案じ、坂田金時が大江山に忍び込む――

橘少納言は大海亜呼だったんですね! Apasionado!!に出演しているのだから、大江山花伝も出ているはずと思っていましたが、認識できていませんでした。「滝壺に飛び込んで死んでやる!」の瞬間嬉しそうですらあるのが、かなり狂気に振り切れていますね。
ところでこのシーン、タイトルに反して綱はまったく頑張ってないですね!と言うか、出番すらない(笑)。四天王筆頭が金時に奪われるのも時間の問題でしょうか。

【第10場B 綱、頑張る】
綱は、己の元に密かに食事を運ぶ藤の葉に愛を抱く。それを見ぬふりをする茨木に友誼を感じた綱は、藤の葉を妻に迎える考えを打ち明ける。一方、人への災いを非難された酒呑童子は綱を殺そうとするが、茨木は再びそれを庇う――

姫君たちは、繋がれたりしてるわけじゃないんですね。下働き装束以外の服もあるし、どういう生活をしてるのか謎です。
仏たちが乱入した後、綱がかなり強い視線で茨木を見ているのは、憤りのようにも見えるけれど、また庇われたことについて真意を探ってると言う段階でしょうか?

【第11場 父子の童子】
酒呑は大江山の鬼として茨木を鍛えようとするが、茨木は鬼にも、人にもなれない自分の身に苦悩する――

父子の舞は、個人的に最大の盛り上がりどころです。アングルにさほど不満がないのも嬉しく、無駄にリピートしちゃいます。
原作と違って、酒呑の茨木に対する優しさを感じます。基本的には息子の意志を尊重したかったのかなと。けれど、茨木が思うような理想の「人」として生きることは決して出来ないのです。藤子が告白するように、人こそ鬼そのもので、茨木が考えるほど綺麗な生き物ではないから。だからこそ、酒呑は「人として生きること」は「無理」だと断じたのでは。
なにより、「人間の道」として可能なことは、茨木がやがて迎える結末のように「死」のみだから、止めたかったのかなぁ。

岩波世界児童文学集より「星の王子さま」読了。

先年版権切れで新訳版が出たようですが、読んだのは以前からある岩波の内藤濯氏翻訳版です。

他の創作で取り上げられることがある、王子の故郷が小惑星B612なことや、キツネやバラと言った登場人物の存在は知っていましたが、今回初読です。
正確には、子供の頃に一度触れたはずですが、意味が分からなかったので、出だしで放棄していました。
しかし名作に触れないまま大人になるのも恥ずかしいので、今回思い切って再挑戦した次第です。
読んでみると、最初の辺りは苦手意識で進みが遅かったのですが、ヒツジの問答のあたりからするする読めるようになりました。
色々な小惑星を巡る辺りは、次はどんなところだろうと思いながら読み進められましたし、キツネとの友情は、心に響く言葉ばかりで唸りました。王子さまの最期は、こんな哀しい結末だとは思っていなかったのでしんみりしました。
ただし、垣根に咲いているバラに王子さまが一言言うシーンだけは、バラたちには関係ないことで責めていて、彼等が可哀想だなぁと思います。

それにしても、この本は、良く言われる意見にある「単なる児童書ではない」どころか、児童書風に仕上げた大人向け小説だと感じます。
自分がそうだったからと言って一概には言えませんが、子供が読むより大人が読んだ方が面白いお話ではないかしら。
ちなみに、私はヘビが結構気に入っています。王子さまがどうして星に帰る為には肉体を捨てねばならないのか分かりませんが、ヘビは自分が嫌がられる事を承知で、初対面の王子さまに、帰る術を約束したのかもと思うと、不思議な男気を感じます。

取り敢えず今は、王子さまが多少理解できる“ものわかりのいい”大人になれたことを喜びたいと思います。