• 2013年05月05日登録記事

2012年4月1日エイプリルフール限定公開したベアルファレスサイトより、そろそろ時効と言うことで収録。
EDネタバレ&主人公設定について妄想した産物です。


 光の爆発から一年――
 それは偶然だった。共に物質世界と精神世界の融合を砕いた預言者が、まだカルス・バスティードにいると知ったのは。
「……まさか」
 ウェルドは信じられない思いで呟いた。
 活火山内の廃墟に残っていても、訪れるものは死しかない。カルス・バスティードは異名通り彼の棺桶となるだろう。
 そもそも、世界から消えたウェルドを彼が待つなんてことは想定外だ。
 そんな感情論では動かないと思ったから、彼を選んだのに。

 ウェルドは、アスラ・ファエルの外に在る《神》の人形である。
 世界を救うため、あの日カルス・バスティードへ行く荷馬車に乗り込んだ。その瞬間から「ウェルド」は誕生した。
 それから半年あまりの旅程は、ウェルドが初めて体験する、けれどどこか見知っているような出来事の連続だった。
 時折、ウェルドは思ったものだ。
 《神》は既に何度も時を繰り返して、世界を救っているのかも知れない。その時のウェルドは女だったかもしれないし、預言者は別の人間だったかもしれないし、時には彼を殺したかもしれない。

 けれど、ウェルドが共に歩んだ預言者は彼だった。

 行かなければ。
 そう思い、ウェルドは立ち上がった。
 既に《神》の目的は果たされた。役割を終えた預言者がなにをしようと、それは彼の自由だ。カルスの棺桶で死のうとも、故郷に帰って本懐を遂げようとも。
 その自由は、ウェルド自身にもあるはずだ。

 そして、ウェルドは神なきアスラ・ファエルへの扉を開いた。


ベアルファレスの主人公は、普通の人間ではない気がします。根拠は2012年4月1日記事参照