• 2014年01月09日登録記事

高橋秀実著「弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー」

週1回しか練習できないながら、本気で甲子園を目指す開成高校野球部の取り組みを取材したルポ。
その取り組みとは、大量得点でコールドゲームにすること。
緻密な野球をやろうとしているプレイヤーは憤慨しそうですが、これも野球の一面ですよね。守備練習はいくらやっても限界があるというのは、漫画「甲子園の空に笑え!」で証明されていますし。ルールの範囲内で、自分たちができる最善手を取ろうとする発想はさすがだと思いました。

読んでいる最中、かなりの頻度で笑っていました。
論理的に悩み考える開成生たちの思考が面白いです。そして、そんな生徒たちを観察する独自の目線と軽妙なタッチが、本書の魅力ですね。
ただ、ルポルタージュであるため、本の構成自体は少し退屈かもしれません。要するに、「勝つ」話ではなく、「勝とうとしている過程」で終わる話なのです。そのため、盛り上がりは最後までありませんでした。