• 2014年05月02日登録記事

佐藤賢一著「王妃の離婚」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
醜女と名高い王妃ジャンヌが、王ルイ12世から離婚訴訟を起こされた。義憤に駆られた田舎弁護士フランソワは、王の息がかかった国選弁護人に代わり、二人の結婚の成就=肉体関係を証明。遂に王を召還するも、王は愛はなかったと主張する。未練を捨てた王妃は離婚を受け入れ、フランソワもまた、裁判を通して学生時代の情熱と希望を取り戻したことで、各々自分の意志による人生を歩むことにする。

痛快!
冒頭は状況も分からず退屈に感じましたが、フランソワが王妃の弁護を引き受けた途端、鮮やかに状況を覆し、返す刃で相手を攻撃していく鋭い弁舌に、胸がすく思いをしました。
ジャンヌ王妃が、元々王女として生まれた人にしては庶民的だったり、裁判を引き受けるまでの展開が遅すぎるなどの突っ込みや不満はあります。しかし、エンターテイメントとして楽しめたので、それで十分でした。

この作者に対しては、下世話且つ露骨なエロス表現をするイメージがあり、なんとなく苦手感を抱いていたのですが、この作品は正に「やったか、やらないか」が論点なので、却って良かったと思います。