• 2014年10月22日登録記事

池波正太郎他著「たそがれ長屋 -人情時代小説傑作選-」

時代物短編集。
題名は「たそがれ長屋」ですが、実際は全員が長屋暮らしをしているわけではなく、老いをテーマにした作品集ということのようです。

私の好みとしては、早期引退させられた番頭が第二の人生に誇りを持つようになるまでを描いた「いっぽん桜」(山本一力)が面白かったです。
なんだかんだと人の気持ちを忖度して揉めるけれど、最後がきりっと締まって清々しいです。
次点で「ともだち」(北川亞以子)。見栄を張るが寂しがりもするという女同士の友情に、自分の将来も考えさせられました。現代に舞台を移しても通用する作品ですよね。

私にはよく分からなかったのが「あとのない仮名」(山本周五郎)。以前の顧客で喋らされた「仕事を辞めた理由」が、実は自分がやったことだった、という下りにややっ、と思わされたが、結局のところ主人公に共感できず、最後まで首を捻りっぱなしでした。
他2編は武士の話。「疼傷二百両」(池波正太郎)は、時代物の空気は堪能できたものの、最後のオチで、金策に走り回っていた宗兵衛に実は蓄えがあったことが分かり、なんだか釈然としない気持ちに。
「静かな木」(藤沢周平)の方は真っ当な作りでしたが、それゆえ面白味はさほど感じませんでした。