• 2015年04月14日登録記事

中村航・中田永一著「僕は小説が書けない」
http://www.kadokawa.co.jp/sp/2014/bokukake/

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
高校に入学した光太郎は、先輩・七瀬の勧誘にされ文芸部に入部する。実は、光太郎は小説を書いていたのだが、自分が父親と血が繋がっていないことを知って以来、続きが書けなくなっていた。理論派の原田、感覚派の通称「御大」という2人のOBから真逆の指導を受けながら、光太郎は自分を見つめ直し、遂に小説を書く。

通称「はがない」……ではありません(笑)。
角川特設ページによると、本作の通称は「ぼくかけ」らしいですね。

中村航・中田永一両氏が、小説執筆支援ソフト「ものがたりソフト」を活用して合作した小説。ファンであれば、どの箇所をどちらが書いているのかを推理するのも面白いのかも知れません。
私は、あらすじのポイントにした通り、このお話は家族との人間関係に悩んでいる少年が、悩まずに今ある自分を受け入れれば良いんだと思えるようになるまでの青春小説であって、小説を書く人間に向けて書いたノウハウ本ではないと思いました。

私は御大贔屓で読みましたが、この本自体は、理論派のOB原田が提唱している「技術」に則って書かれていると思います。
だからすべての要素がちゃんと線で繋がっていて無駄はないのですが、逆に無意味な理由付けが多い気もしました。
例えば「主人公は小説を書かねばならない状態に追い込まれる」←「生徒会からの圧力で学園祭に部誌を出さねばならなくなるから」という原因に対して、生徒会長と七瀬の間に因縁があるわけですが、こういうことは物語には実際は不要な要素のように思いました。
そもそも、生徒会にそんな権限があるものか、と思うんですけれどね!

実在の作品等が出てくるので、生徒会の件以外はリアルに感じました。特に冒頭は図書館で小説「夏への扉」を発見するシーンなので、自分の背後の本棚にある「夏への扉」を急に意識しました。
あと、テーブルゲーム「cat&chocolate」をするシーンがあったのが、個人的に嬉しかったです。