- 分類読書感想
石田衣良著「シューカツ!」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
鷲田大学の3年生・千晴は、OB訪問、エントリーシートの作成、インターンシップ、筆記試験、面接での失敗と成功と、就職活動を通じて社会・会社と自分の関係を学んでいく。
7人とも優秀過ぎるし、上手いこと行き過ぎではあるのですが、就職活動のあれこれを思い出して面白かったです。就職活動には、やはり物語性がありますね。
また、ボリュームのある物語なので、読み応えがありました。
最終的に、千晴が内定先のどちらに進むのかという結末が読者に委ねられているので、消化不良だったのが残念。ちなみに、私だったら、TV局より出版社かな。
千晴は凄くタフな女の子だけれど、共感できるところがあります。
私も、就職活動を始めた当初は面接の度に緊張して、落ちると自分という存在が否定されたような気持ちになって落ち込んだものですが、途中から「面接は楽しい」という域に達しました。その段階になると自分が受かるだけでなく、他人を見ていても受かる/落ちるが確かに分かってくるのですよね。実は、それが面白くて無駄に就職活動を続けたという過去があります。
名のある企業に入らないといけないと思っていて、それに異を唱える筋でないという点は、少し悔しい気もしましたが、それも価値観の一つではあるし、現在自分が楽しめる仕事している社会人は、この本を楽しく読めると思います。