- 分類読書感想
折原みと著「乙女の花束」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
父を知らない野育ちの少女・風子は、祖父の言い付けで元華族令嬢等が集まる全寮制の高校に入学し、上級生・凪子と親密になる。実は風子は知らぬことであったが、2人は血の繋がった姉妹であった。母親に捨てられたと思いながら育った凪子は、母親から愛されていたことを知り、風子もまた様々な愛を知って成長する。
善人しか登場せず、ハッピーエンドで終わるという、非常に罪のない作品。
意外と、というと失礼ですが、面白かったです。
1年間の出来事を描いているので、あらゆるエピソードが箇条書きレベルで消化されていきます。
一つ一つの要素を膨らませたらそれぞれの章が盛り上がりそうなのに、淡々と出来事を消化していくので驚きます。ただ、詳細に書くと今度は「先の展開が読めるのに引き延ばし」という印象を受ける可能性もあるので、このスピード感が正解なのかも知れません。
折原みと作品というと、ベタベタの恋愛がメインの少女漫画風ライトノベルというイメージだったのですが、大正ロマン風の少女小説で驚きました。
大正ロマンと書いた通り、古臭いとも言えるし、古き良きとも言えると思います。ちなみに、舞台設定は平成ですが、元華族に拘っていたり「S」なんて台詞が出てくる時点で、登場人物は誰1人現代人でないと判断しました(笑)。