レスリー・シュヌール著 松井みどり訳「犬と歩けば恋におちる」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
脱サラしてマンハッタンで犬の散歩を請け負うニーナは、飼い主の留守中に住居を覗き見て、その中の1人・弁護士ダニエルに恋してしまう。しかし、ダニエルだと思っていた相手は、税務調査のため兄の住居を借り、兄に成り済まして暮らしていた双子の弟・ビリーだった。恋に落ちながらも、互いの正体を知った二人は破局。しかし、それぞれが本当に情熱を捧げる仕事を選び直し、自分を再発見した二人は、ようやく結ばれる。
主人公ニーナが犯罪者で、性格もバツイチ三十代とは思えないほど幼稚で、冒頭から「ドン引きです…」状態になりました。
犬を連れ出す仕事のために鍵を預けられているのに、他人の家に勝手に上がり込んで覗き見するのは悪趣味すぎます。しかも、冒頭はそうやって上がり込んだ他人の家で、勝手に風呂に入っているのです。それで罪悪感を持っていない辺り、私には信じられない神経です。状況が分かった瞬間、読み進めるのを止めようかと思いました。
最終的にニーナが始める「人と犬の仲介サービス」は面白そうですが、手始めとしてドッグ・ウォーカー業で見知ったミスマッチな飼い主と犬を勝手に交換してしまうのは、これも私の理解の範疇を超えていました。
確かに、飼ってみてから自分に合っていないと気付くこともあるでしょうけれど、それまでに築いた愛情があるんじゃないかと思います。
特に、ニーナが大事にしようとしている犬たちの方が、勝手に主人を入れ替えられて困惑するんじゃないのかと思うのは、犬好きの戯れ言でしょうか。
作品自体は全体的に大変明るく、N.Y.の雰囲気が味わえます。
なにより、犬たちはとても可愛いです。そのお洒落感を楽しむ作品として軽く読む分には、面白かったです。