• 2015年07月24日登録記事

バーネット著 土屋京子訳「秘密の花園」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
両親を失い、英国の叔父に引き取られたメアリは、叔父が10年前に封鎖した「秘密の庭」の入口を発見し、ムーアの自然児ディコンの協力を得て、庭の再生に着手する。やがて病弱で癇癪持ちの従兄弟コリンを庭に連れ出すと、自然に触れたコリンは生きる力を取り戻す。

同じ作者の「小公女」と「小公子」は子供の頃の愛読書。
当然「秘密の花園」も既読……だと思っていたのですが、メアリーのキャラクターに驚いたので、子供向けのダイジェスト版しか読んでいなかったのだと思います。
こんな、可愛げのない女の子だったんですね!
でもメアリーもコリンも根から捻くれているのではなく、単に関わってくれる人がいなかったため自分勝手な子供になっただけで、私達のような大人が子供とどう接するかが重要なのだと改めて諭される気がします。

メアリーは元々自分の問題を抱えていないため、後半はコリンが主人公となっています。メアリーが影も形も出て来ないエピローグは、ちょっと驚きでした。
それ以外の点では、さすがに名作で、単純でまったく捻りのない筋なのに、秘密の庭を探そうとしたり、屋敷の開かずの間を探索したりとするシーンだけでも面白いし、台詞には色々な含蓄を感じました。

なお、過去に英国に行った際、ミュージカル「The Secret Garden」を観ています。
台詞はほとんど理解できなかったので細部は覚えていませんが、メドロック夫人に連れられて電車に乗り、馬車に乗り、という冒頭の旅行シーンがスーツケースで演出されていたことは非常に印象に残っています。