• 2016年03月08日登録記事

伊坂幸太郎著「死神の精度」

【あらすじ】
指定された人間が「死」を実行するのに適した人間か調査し、「可」を下した人間が死ぬのを見送る仕事をしている死神の1人・千葉と、調査対象となった6人の人生の短編集。

面白かったです。
「死」のお話でありながら、軽く読めて清々しいところに特徴があると思いました。
どの人物の場合もパターンは基本的に一緒で、千葉がターゲットと接触し、死または評価を出して、調査期間中の出来事が終わるまでが語られる形ですが、連続殺人ミステリー有り、恋愛有りと、幅があって飽きさせないようになっています。
一つずつのお話を読み進めた末に、緩やかな繋がりが判明するという連作短編ならではの仕掛けもありますし、全体的に文章が読みやすく、娯楽作品として良くできていると思いました。
そして、主人公の死神「千葉」が、超然としていてクールだけれど、物知らずで滑稽で、でもなんだかんだ言って人間を突き放しつつも優しく、格好良いのでした。