• 2016年07月07日登録記事

檀一雄著「檀流クッキング」

92種の料理を紹介する短編集。
材料や調理法は書いてあるけれど、「あれば結構だが、なければないで良い」とあったり、調味料に関しては細かい分量が書いておらず、当人の好きなように味をつければ良いというスタンスなので、レシピ本として使うには上級テクニックが必要です。
また、写真等はなく、ただ文章だけなので、語られている料理そのものを知らないと完成像がイメージし難いところもありました。
しかし軽妙な語り口が魅力的。自らが何度も作って習得した料理法を書いているので、とても自然で面白かったです。
私も自分の料理の分量はかなりいい加減で、人に作りかたを聞かれると困るのですが、その辺の「常に同じではない」という部分こそが、家庭の味ですよね。この本では簡単なものから凝ったものまで様々な料理が語られるけれど、テーマとしては、家庭で料理を作れ、という檀先生のメッセージが込められていると感じました。