• 2009年08月17日登録記事

本当は名前なんてただの記号かもしれない。AでもBでも、隣の誰かとは違う別の人間を呼ぶのに差し支えなければ事足りる。
(AKC「名もなき」抜粋)

と言っても、付ける方はそれなりに考えて名前を付けているのです。

先日「オリジナルキャラクターの名前をどのように付けるか」と言う要点の話が出たので、自分の名付け方について触れてみたいと思います。

基本的には、麻生流ネーミングは下記の要素のいずれかを含んでいます。

  • フィーリング
    語感でなんとなく。意味を後付けすることもある。
  • 意味
    名前に意味を含ませる。例:ロアン
  • 愛称
    呼びたい愛称から本名を決める。例:イヴ→レイヴ
  • 関係性
    先に名付けたキャラと合わせるor逆にする。
  • ネタ
    決められた法則で名付ける。

ネタ名前に関しては、例えばTOSのマーブル/カカオ/ショコラ家族のように、決められたカテゴリの名前を持って来る等も含みます。商業作品でも多いですが、干支由来で名付けるなんてことを私もしました。
また、全キャラの名前を「六面ダイスを振って出た回数分辞書を引き、ページの頭文字を拾って名付ける」と言う荒技を行ったこともあります。

では、実際にどういう考えで名付けているのか、名前決めの例をお蔵入り倉庫作品【FLAMBER】を例にとって説明しましょう。

【FLAMBER】でまず最初に名前が決定したのは、“オーナー”レイです。これは、

  • 性別を明かさない都合上、男女どちらでも違和感がない名前
  • 綾波レイのコスプレがハマっている

と言う点からフィーリングで決めました。他の候補案が出ない程、あっさり決まった記憶があります。

次に、“スタッフ”ハルが確定しました。
これは、キャラクターに明確なモデルが存在したため、そのモデルの名前から取っています。
この2人の名前で、【FLAMBER】のキャラクターは「カタカナ2文字」と言う名付け全体の方向性=ネタが決まりました。

これを踏まえて決めたのが“オーナーの兄”リオになります。彼は「関係性」重視の名前付けとなりました。
それは、既に決定したオーナーの名前「レイ」に対して、「兄妹らしく=似た傾向の名前にする」と言う点です。つまり、前述の「男女どちらでも違和感がない名前」にすることと、可能であればラ行+ア行で一層同一感を持たせたいと考え、この名前が登場しました。
もっとも、「ゲキレンジャー」が放映中でなければ、リオと言う名前は直ぐ出なかったかも知れません。

4人目にようやく決まったのが“主人公”ヒロこと高木宏文でした。これは「愛称」+「フィーリング」の名付けになります。
まず「カタカナ2文字」で日本人男性名として違和感がないものを考えた際、本名より愛称であるとした方が「主人公の独自性」が出て、その上で「周囲に溶け込んでいる感」もあると考え、愛称として「ヒロ」を採用。
後から、「ヒロ」に変化して違和感のない本名を考えた際、なんとなく宏文になり、なんとなく高木になりました。

最後に決めたのが“追加スタッフ”ミキです。彼女も「関係性」から決まりました。
それは、他のキャラクターが全員「ラ行」の音を持っていると言うことです。これ自体は意図していないことでしたが、そのような構造が出来上がっていることから、後から入った異物と言う印象を持たせる為に、ラ行は外すことにして名付けています。

このような形で、8割方「なんとなく」決めてます。
狙った通りの効果が出ているかどうかは分かりませんが、その辺は自己満足の部分もあるので、作品の空気を壊していなければ良いのかなとも思ってます。