• 2014年08月04日登録記事

ガーネット著 安藤貞雄訳「狐になった奥様」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
テブリック氏の妻シルヴィアは、ある日狐になってしまった。変身したシルヴィアは、次第に内面も狐そのものに変わってしまい、テブリック氏は愛と失望で苦悩するが、やがて獣そのものの狐を愛するようになる。

非常に短く、次第に野生化する妻と、それを愛し続ける夫という非常に簡潔な設定とストーリーの作品ですが、じっくり読まされました。
カフカの「変身」、佐藤亜紀の「モンティニーの狼男爵」は、変身した人物が主人公ですが、このお話は狐に変わってしまった妻を見守る夫の方の視点で進むのが面白いです。

物語の最後にある驚くほど素っ気ない一文で、テブリック氏のその後の人生を考えさせられました。