• 2016年02月19日登録記事

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ヤングジャンプコミックス・藤崎竜版漫画「銀河英雄伝説」1巻

当初は、道原かつみ先生版の旧シリーズが非常に好きだったので、新たにコミカライズされても受け入れられないかも、と危惧していました。しかし、週刊ヤングジャンプ公式サイトの「3話試し読み」で、藤崎先生の原作に対する愛情と、これまでのメディアミックスとは違う切り口に大いに感じるところがあり、発売日にいそいそと購入してきました。
なお、昨日公開された、コミックナタリーのインタビューも非常に興味深い内容になっていますので、併せてお勧めです。
http://natalie.mu/comic/pp/gingaeiyudensetu

1巻読んでみての感想としては、大変原作ファン向けのコミカライズだと思います。
正直、原作未読者がこれを読んで面白く感じるのかどうかは定かでありません。
原作や、従来のメディアミックス作品と異なり、ラインハルトの幼少期から時系列に沿って描くという試みは、驚いた反面、率直に述べると退屈な面もあると思いました。
しかし、これまでの先行作品と同じことをされてもつまらなかったと思うし、ラインハルトの一代記として描くという意図ならば大いにアリだと思います。
でも一番嬉しいのは、「原作のこの記載からエピソードを持ってきたのか!」とニヤニヤしながら読めることですね。特に、幼年学校時代の同期生という、トゥルナイゼンとの関係性をコメディタッチで入れてきたのが面白かったです。原作では大言壮語の馬鹿な若手というイメージだったのに、なんだか可愛く感じてきました。リップシュタット戦役での再登場が待ち遠しくなります。
漫画にしては、ちょっと驚くほど「地の文」が多いのですが、そこが「銀英伝っぽい」雰囲気を醸し出す一助になっているかもしれません。

絵柄は好みの問題もあるので、何とも。
せっかく少年漫画に移ったのに、それらしくない絵柄ですが、銀英伝らしいとは言えます。
個人的には、ラインハルトやキルヒアイスという主要キャラクターの顔が安定していないように感じますが、まだ少年時代なので、成長中の誤差と思って許容しました。コミックス表紙や本誌でもカラー絵だった部分は、全体的にいい感じだと思います。

なお、1巻は6話まで収録。
ただし、1〜2話はページが大幅に増やされているのに対し、3話以降は通常の連載ページ数となるため、1巻の全ページ数の三分の二程度が試し読みで公開されていることになります。
嬉しいけれど、その点はちょっと複雑……。

既に連載では惑星カプチェランカのエピソードは消化済みだそうですし、ページ数が少ないとはいえ週刊誌なので、さほど待たずに次巻が読めるのでないかな、と期待しています。