• 2016年02月21日登録記事

藤野恵美著「ぼくの嘘」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
同級生の美少女・結城あおいに、親友の恋人への恋心がバレる写真を撮られてしまった笹川勇太は、写真を消してもらう代償に、彼女の恋人を演じることになる。だが、あおいと過ごす内に勇太の内に新たな愛情が育まれていく。「恋愛はタイミングだ」というあおいの助言を胸に待ち続けた勇太は、17年後、初めて彼女に告白する。

わたしの恋人」の続編。
今作も手軽に読める軽さながら、良い作品でした。
とてもストレートで愛らしい青春恋愛ものだった前作に比べて、主人公2人がやや捻くれ者というところもあって、丁々発止のやり取りも面白かった。
アニメオタクと高慢な美少女という組み合わせや、恋人のフリをしてデートするなど、要素だけ抜き出すとかなり劇画チックな展開だし、オチもまとめてしまうと非常に陳腐ではあります。
しかし、描かれる青春の痛みと、最後に結実する「嘘」の爽やかな読了感は、青春時代を終えた読者にこそ訴えかけるものがある美しさだと思いました。

笹川君がせつなを好きになったのは、龍樹と付き合い始めてから、ということで前回の予想は少し外れてましたが、笹川君が自覚したのがそのタイミングというだけで、以前から気にしていたのでないか、と引き続き主張していきます。