• 2017年11月登録記事

柴田よしき著「風味さんのカメラ日和」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
実家に出戻った風味は、幼馴染の頼みで、市が開く1年間のカメラ講座に参加。写真に興味はなかった風味だが、ちょっと天然な知念先生の講座を通して、カメラの面白さを学ぶと共に、次第に老若男女の受講生の写真に現れる悩みが解決されていくーー

220ページという薄さですが、4章収録。主人公はタイトルロールの「風味さん」ですが、視点は固定されておらず、各生徒に順次スポットを当てていく作りなのでオムニバス風でもありました。
根本解決しない話が多くてスッキリはしない、というハンデがあるにも関わらず、読了後の印象は「面白かった」になりました。
ただ、一冊で完結しているのかと思いきや、続編を想定した作りだったので驚きました。この調子だと、全3巻くらいで一年間の講座を描き、生徒たちの問題を解決しつつ、最後に知念先生の謎に迫るのかしら。

「デジタルカメラはじめて教室」が舞台であり、写真を撮る行為や、撮った写真から話が発展するということもあって、カメラに関するハウツー本か?と思わされる記述もあります。読書のついでに知識も得られてお得といえば、そうかもしれません。私は、技術的なことは斜め読みしてしまいました。
しかし、カメラの話に直接興味がなくても、人間の機微に関してはなかなか勉強になります。
インスタグラムでフォロワーが増えない理由として、雑多な写真をアップしているからでないか、と先生が分析するくだりは、このブログのことだ!と思いました(笑)。
もちろん、このブログは自サイトの1コンテンツであり、単独でのアクセス増を目的としていないのですが、テーマが決まっている方が読者には良いですよね。いつも創作以外の雑多な記事で申し訳ありません。まあ、今はほとんどゲームブログ状態かしら?

主人公の職業設定は、3章で明かされるまで気付きませんでした。
「妄想なら外見は関係ない」というヒントで、官能小説作家と予想したのですが、もう一捻りされていました。ただ、一般図書で特殊性癖を事細かく説明しなくてもいいのでは、と思いましたけれどね。
書きたい物語のはずなのに書けない、というジレンマはよくわかるので、続刊があるならば、風味がその壁をどう乗り越えていくのか注目したいです。

引き続き、DLC「戦友」の感想です。

戦友ストーリー

オンラインゲームという触れ込みですが、前回触れた通り完全オフラインで遊べます。拠点に他のユーザーがいるわけでなく、クエストを受注するとマッチングされて、クエスト中だけ他のユーザーと共闘する作りです。
いわば、FF15の素材を使った「簡易モンスターハンター」という印象。

AI仲間との戦い

オフラインの場合にマッチングされるAI仲間も、本編より積極攻撃をしてくれて役立ちます。
ただ、防衛任務では役に立たず、防衛クエスト「飼い慣らせない騎獣」がクリアできません。この先レベルも上がらないのだとすると、ジリ貧になりそうです。

戦闘に関しては、本編から少し変更された要素もあります。
まず第一は「消費アイテムがない」こと。私のような下手なプレイヤーがゴリ押しする為には必要な要素だったけれど、ノクトの魔力で精製している設定だったから、「戦友」で使えないのは納得です。
あと、魔法や防御の仕組みも変わっています。特に魔法(攻撃/回復)を4つの武器スロットに装備せず使えるのは大きな変更で、本編に逆輸入して貰ってもいいと思いました。

AI仲間との戦い

戦うロケーションも様々で、「こんなエリアあったな」と改めてマップの美しさに感動しました。

戦闘後は、リザルトで1人反省会。

リザルト

FF15の要素として欠かせなくなった料理も登場し、拾った食材に応じた料理を作って貰えます。
いまいち法則性がわからずランダム感が強いのと、AI仲間はあまり良い食材を確保してくれないので、料理効果には期待していませんが、「FF15をやっている」と気持ちになれる要素だと思います。

料理

「リヴァイアサンおにぎり」とか揶揄されていたけれど、私も無駄な拘りがあるタイプなので、こういう力を入れた要素があるのは好きです。

最初の拠点はレスタルムですが、至る所にバリケードが築かれて、本編時とは印象が変わっています。

AI仲間との戦い

単独クエスト「動かなくなったロープウェイ」で、イチネリス工業側のロープウェイのレールの上から街を眺望できるのは気持ち良かったです。現実だったら足がすくんで一歩も動けなくなってしまうけれど、シフトが使える「王の剣」ならその点安心ですしね。

さて、このDLC「戦友」、戦闘クエストを繰り返して武器強化するだけなら、数回遊んで終わったと思うのですが、妙に繰り返し遊びたくさせる要素があります。それが「送電」です。
戦闘で獲得したメテオのかけら(電力の源)を基に、どこに電力を供給するか決めて、マップや要素を解放していくのが面白いのです。例えるならば、手持ちのポイントを振り分けてスキルツリーを埋めていく楽しさが近いでしょうか。

送電マップ

電力を供給することで新しいクエストが増えたり、アイテムを拾えたり、避難民を救出できます。
世界に光を届けるという目的意識が明確だし、レスタルムの外へと「世界が広がっていく感覚」が楽しく、電力集めのためにクエスト周回しています。

物語としては、レギス王が死んで力を失った「王の剣」に、なぜ魔力が戻ったのかという謎があり、10年後のノクトの目覚めを待つだけでない様子。主人公が記憶喪失なのは、アバター設定として面倒がないようにという配慮だけなのか、何か設定があるのか、これはまだわかりませんね。
個人的には、歴代王が王家以外の人間に関与してきたのも意外で、最終的にどう収拾をつけるのか気になります。

王の加護

タルコットの台詞からすると、最終的には神影島に行けるようなので、意外としっかり本編の物語に踏み込んできそうな感じです。
予想以上のボリュームも含めて、FF12とどう並行すべきか悩みます。
いや、その前に私の腕とAI仲間で最後まで行き着けるのかどうかを、よく考えるべきかもしれませんが……。


記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
Copyright (C) 2016-2017 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

参考記事

有料DLC「ファイナルファンタジーXV オンライン拡張パック:戦友」を遊びました。
http://www.jp.square-enix.com/ff15/dlc/online/

MULTIPLAYER EXPANSION COMRADES

私は基本オフライン状態で遊んでいるユーザーで、且つ低速回線のためマルチプレイはしない方針でいます。PlayStation Plusにも加入していません。
しかし「戦友」は1人でも遊べると聞いたので、久し振りにディスクを入れ替えました。

戦友で遊ぶ前に立ちはだかったもの、それは……

感想の前に、FF15シーズンパスを購入済みの方のための「戦友」の始めかたを解説します。
※必要のない方は読み飛ばしてください。

11月無料アップデート(Ver.1.18)を適用したFF15を起動すると、今までなかった「ネットワークに接続されていないため、マルチプレイはできません」という意味のメッセージが表示されました。「戦友」対応のため、起動時にオフラインだと警告する機能が付いたようです。もちろん、私はマルチプレイしないので、このメッセージは気にせず進みます。
タイトル画面で「DLC」を選択。
……おや? 「戦友」が見当たりません。1回も起動していない「EPISODEプロンプト」が、「早く遊んでよ」と言いたげに主張しているだけです。

DLC

念のため他のメニューも覗いてみましたが、影も形もありません。
前述の起動時メッセージに惑わされ、「起動時点でオフラインだと選べないのかも」と考えて、オンライン状態にしてから起動し直したりもしましたが、これも空振り。

実は「Ver.1.18なのだから、戦友が遊べるはず」と思い込んでいたのが間違い。「戦友」は追加コンテンツなので、別途ダウンロード指示が必要なのです。

PS Store

PSストアから「戦友」を探し、「ダウンロード」を選べば解決でした。
なお、ストアにはシーズンパスを持っていないユーザー向けの個別有料版「戦友」が別途おかれているので、誤ってそちらを購入しないようにご注意ください。
ダウンロードが終われば、無事「DLC」に「戦友」が現れます。

戦友

ちなみに、他のDLCコンテンツも同じ仕組みです。つまり、私はこれまでの有料DLCでも同じことをしているのですが、久し振り過ぎて忘れていて、思い出せないまましばらく本編(タイムドクエスト)でガルラを狩ってました。
とても阿呆な話ですが、「シーズンパスは買ってあるけれど、クリア後は放置していた。戦友の評判が良いから遊ぼうかな」と思って、同じような状況に陥ったユーザーさんの助けになれば幸いです。

第二の壁、アバター作成

無駄な時間はありましたが、無事「戦友」を開始。
まず、オープニングイベントの映像に驚きました。映画「KINGSGLAIVE」から抜粋されたシーンだったのですが、あまりに細密で実写だと思ってしまいました。そんな驚きと懐かしさを覚える映像の後、声をかけて来たのはーー

リベルト

リベルト!
彼が生き延びて、「王の剣」のリーダー的存在になっているという事実だけで、映画視聴組としてはもう感無量でした。

このタイミングで、アバター作成になります。

アバター作成

今回は、せっかく実写風のキャラクターが作れるので、自分好みに設定するいつものアバターとは少し趣向を変え、ある実在の人をモデルに作ってみました。

基礎フェイスの選び方が少し変わっていて、祖先を2人選ぶと、その中間の顔が抽出されるようです。もちろん、その後細かく調整できます。僧帽筋の厚みとか尻の大きさとか、マニアックすぎます(笑)。
ゲーム開始後でも、性別含めた全設定やり直し自由なので、実際に動かしてみたら印象が違った、という場合も対応できます。

アバター作成

服は、初期状態だと上下2種類しか選べないのですが、カラーリングをパーツごとに細かく指定できるので、同じ衣装でもかなり違う印象を受けました。これも良い要素ですね。

ちなみに、名前入力時に間違って何も入力しないまま「R2」を押してしまったところ、名前が「AVATAR」になってしまい、ここまで調整したキャラメイクをやり直すのか!? と絶望しました。しかし、オープニングイベントを済ませてから、アバター変更を担当するダスティンに話し掛けてみたところ、名前も再入力できたので助かりました。
ダスティンは、本編では存在価値を見出せなかったけれど、「戦友」でのこの功労は忘れません!

ちなみに、ゲーム内で第三者が撮ってくれる写真機能は「戦友」でも存在しています。
アバターの写真を撮ってくれるのは嬉しいですね。

アバター写真

最大8人までアバターを用意できるから、もう少しフォトジェニックなキャラクターも用意してみようかな、などと考えています。

ゲーム本編の感想に辿り着いていませんが、長くなったので次回へ続きます。


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参考記事

この後、対決を控えるキングベヒーモスや魔神竜に備えたレベル上げを兼ねて、ハントカタログ埋めを開始。

……の前に、感想#18記事で断念した「リボン」獲得にリベンジしました!

リボン装備

結局、FF12伝統の「へネ・マラソン」断行です。
目的のトレジャー出現場所は、エリアチェンジ箇所からやや遠く、隠し通路の先。強敵と死闘を繰り広げながらノロノロと進むマラソンには、正直心が折れそうでした。しかし、通り道に湧く敵を往復2回殲滅したところ、以後その範囲では敵が出現しなくなったので、後半は心置き無くマラソンできました。

ヘネ魔石坑

正確な回数は数えませんでしたが、試行回数は10〜15回くらい。なかなかお目見えできず、修行僧の心境でしたが、トレジャーが出現したときは疲れが吹き飛びました。

この流れで大灯台地下層でも手に入るかもしれない、と期待して、この後は再び大灯台へ。
そう上手くはいきませんでしたが、リーダーはトレジャーの確認だけ行い、仲間がその道中を助けるというガンビットにすることで、前回より楽に試行できました。
結果、2本目のリボンを入手。

大灯台地下層のリボン

心なしか、ヴァンの表情も誇らしげです。まあ、彼が装備する分はないのですけれどね!

ハントカタログ」は、倒した敵が記録されるいわゆる「モンスター図鑑」です。
表示される敵イメージは、インターナショナル版から3Dモデルに変わっていました。
360度回転できるのは嬉しいけれど、オリジナル版は味のあるイラストだったので、イラストを残した上で、3Dモデルも確認できたら尚良かったと思います。後、どうせなら拡大縮小も対応して欲しい。アップデートお待ちしてます。

物語は最終盤ですが、画面下部の埋まり具合からすると、90%に満たない印象。
レアモンスター狩りを決行しない限り、埋まることはないので、こんなものでしょう。

ハントカタログ

意外と、喧嘩を吹っ掛け忘れた中立モンスターが抜けていました。
というわけで、まずは各地を回って精霊サラマンド、レーシー、マルトを登録。精霊の出現には、天候条件があります。先日、ファーブニル討伐で散々悩まされたパラミナ大峡谷の「吹雪」ですが、もう手慣れたもので、サラッと吹雪を発生させたのち、精霊レーシーと会うことができました。

吹雪

ナブレウス湿原で精霊リョスアルブを捕まえたら、精霊は終わりです。

ハントカタログに記録するだけなら一度倒せば良いのですが、同じモンスターを一定数倒すと、2ページ目が解禁され、イヴァリース世界の設定や様々な攻略ヒント、謎が散りばめられた読み応え抜群のテキスト各種が読めます。
でも何回読んでも、「とんかち」の項だけは変だと思います。

ハントカタログとんかち

つい最近まで、とんかちは錯乱した者を正気に戻すための道具だった。
しかし暴力的にみえるため使用者は激減、とんかち職人は失業の危機に陥った。

ツッコミで使うにしても、暴力的に見えるという要素は改善されていないけれど、良いのかしら……(笑)。

蒼月海里著「幻想古書店で珈琲を」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
名取司は魔法使いを自称する古書店主・亜門によって「人生」を本にされたが、出来上がったのは白紙で中身がない本だった。古書店で働くことになった司は、本に関わる「不思議」に巻き込まれ、次第に本や亜門に惹かれていく。亜門と打ち解け彼の悔恨を解いた司が自分の本を紐解くと、「亜門と親友になる」と一行目が浮かび上がっていた。

短編3編構成。
近年多い、一般レーベルで出されたライトノベルです。

続刊が出てシリーズ化していることからわかる通り、受ける要素は一通り揃っています。ファンタジー設定だから現実味が薄いお話でもさほど問題ないし、本は今後も増えるからネタにも困らないでしょう。その雰囲気と発想には感心しました。
しかし、私の好みとは合いませんでした。
最大の原因は、キャラクターです。
まず話が進むごとに、主人公の司が鼻につきました。私には「社会人男性」とは思えない言動と思考で、彼の視点で読み進めるのが苦痛でした。ただ、もし彼が高校生アルバイトという設定なら、思慮の浅さや友人の言に影響されるところも許容できたと思います。
司と亜門以外の登場人物は極少ないのですが、終盤に大きな役割を果たす主人公の友人・三谷も、人物像が見えなくて落ち着きませんでした。一話で、彼とは友人だけれど親しい仲でないと設定されていたのに、会話自体はやけに親しげで胸を開いた内容です。そして、3話での彼は都合よく悪魔学に興味を持ち、魔導書を持ち歩いていたことから、主人公と亜門の関係に大きく影響を与えます。
……私には、彼が話の都合だけで動いているように見え、気持ちが冷めてしまいました。

また、「人生が本になる」という魅惑的な設定なのだから、司の本に生まれた一文も、続きが読みたくなるような小説らしい書き出しにして欲しかったです。そうしたら、いずれ「司の本」という書き下ろしに出来て、面白かったかもしれません。

そんな訳で、私には合いませんでしたが、普段あまり本を読まない人が本書に触れて、まず作中に登場する本から興味を持って読書家に育っていくーーという一冊目としては、程よい軽さで良さそうです。
主人公が本に興味のない設定も、それを狙っているのかなと思いました。