• 2009年03月01日登録記事

宝塚宙組東京特別公演「逆転裁判」15:00。

宙組初観劇です。遂に五組制覇しました。。
果たして自分はゲームファン、宝塚ファンどちらの視点で観ることになるのだろう、と直前まで自分でも分からなかったのですが、蓋を開けてみれば宝塚ファン寄りの感想になった様子です。

舞台自体は、全体にゲームファンを意識した作りだと感じられました。
原作を踏襲した演出、例えば、証拠品が提示された時の効果音と映像、役者の仕草など、ゲームをそのまま三次元で観せているようでした。
役者は、演じる作品に原作があっても、自分なりの解釈で役を広げて演じるものだと思う(現に、花組生はドラマ太王四神記を観たらしいが、模倣はしなかった)のですが、今作では敢えて細かい動作までコピーしていると見える箇所が複数ありました。
また、フェニックスとレオナのキスシーンがない(過去の思い出映像のみ)点も、やはり配慮かなぁと思いました。
宝塚的には、公判後の五分の逢瀬シーンが、抱き締め合うだけなのは物足りないと言うか、そこはキスするタイミングだろう!と変な念を送っちゃいました。

とは言え、どちらか一方のファンで、他方を受け入れる余地がある人なら楽しめる舞台だと思います。
少なくとも、自分は楽しかった!
ただ、鈴木先生の演出自体は、もうちょっと工夫してもらわないと大劇場では難しいですね。映像の使い方は巧いけれど、それに頼り過ぎ感があったり、演出パターンが前作SECOND LIFEと同じで引き出しが少なそう、だとか。しかし生徒の役の付け方が良い感じだったので、座付き演出家としてはこれで良いのかもしれません。
音楽はゲームBGMオケverで逆転裁判世界の再現度ばっちり。歌の曲数が少なかったのが、ちょっと残念ですよね。
後は、どの役も基本的に着たきりスズメなのが観ていて寂しいかな。

出演者の中で唯一名前と顔が一致するフェニックス・ライト(成歩堂)@蘭寿とむは、これぞトップスター候補生だなぁと痛感。「キラキラオーラ」が全開でした。
歌はやはり苦手分野のようで、高音はかなり不安定でしたが、低い音が出せるので十分かと。
全体に、非常に余裕のある演技をしているなぁと言う印象で、さすが82期の主席。ラリー(矢張)に突き飛ばされる時の動きなど、ダンサーの受け方らしい身軽さ。
ただ、花組出身と言う事で、もっと男臭い役者かと思っていましたが、動作は意外にナチュラルですね。裁判時の「失敗しちゃった」の照れ具合等コメディ部分では妙に可愛い所があり、しかしラブシーンでの王子様っぷりはいかにもな具合で、こっちが赤面させられっぱなし。
今回、宙組人事の関係で蘭寿とむに対しても、どこか申し訳ないような複雑な気持ちを抱いていたのですが、非常に陽性の持ち味なので、陰性の大空祐飛とは好対照で面白い組み合わせかも知れないと思えてきました。少なくとも、同じ陽性の現宙組トップ・大和悠河と組んでいた時とは違う味が出るのではないでしょうか。

その他、気になった役者。
マイルズ・エッジワース(御剣)@七帆ひかるは儲け役。しかし失敗していれば、キャラ人気の強さから最も叩かれた事は確実なので、これも本人の力かと。事前の写真で判っていた通り、肩幅がないことだけ残念でした。
衣装を脱いでも判別できたのはディック・ガムシュー(糸鋸)@春風弥里。大きくて見栄えすることと、体当たりの演技をしながらも芸達者そうな様子があり、次回以降もチェックしたいと思います。
マヤ・フェイ(真宵)@すみれ乃麗は、とても可愛かった。演技力はちょっと頼りないですが、まだ92期生だと言う事なので、これだけ抜擢されていればその内磨かれるでしょう。

日曜日の為か、客席にはゲームファンらしき人がちらほら見られ、それなのに熱の入った拍手が多くて驚きました。先週のVISA貸切の本公演の方が拍手のタイミング悪かったですよ!あれは演出的に拍手が入れ難かったこともあるけれど……宝塚は観客が揃った拍手入れて盛り上げる面があるので、熱い拍手が入ると良いですよね。
実際の所、宝塚ファンと、ゲームファンと、関係者の割合はどのくらいだったのかな。その辺が気になりました。

今回のコラボ自体は、成功の方向だと思いますが、じゃあこれから宝塚のゲームコラボが増えるかと言うとそれは判りませんし、期待するかと言われるとそれも微妙なところ。
帰り道でゲームファンらしき方が「FFとか演れば面白そう」と話しているのを小耳に挟みましたが、私は逆にRPGは止めた方が良いだろうと思ってます。今回のようなアドベンチャーゲームが無難かと。