あまり細かく分割しても書く事がないような気がしてきたので、一気に1幕終わりまで。
【第6場〜第12場】
主体性のないヤスを嫌っていた小夏だが、結婚&出産資金を稼ぐため危険なスタントをこなす姿や優しさに次第に心を動かされ、プロポーズを受ける。
一方階段落ちのカットが決定となり、新しい恋人とも巧くいかなくなった銀ちゃんは孤独に耐え切れず、小夏にプロポーズする。ヤスを愛し始めていた小夏は心を残しつつそれを断る。だが、物陰からヤスがそれを見ていた。そして階段落ちを引き受ける事を決意する――
銀ちゃんのプロポーズの言いざまは、照れ隠しと分かっていても酷いですね。小夏はいつもこうして、悪気のない銀ちゃんに女としてのプライドをズタボロにされてたのかと思うと、鬱々とした気分になります。
それでも銀ちゃんに心が残ってるんだから、健気なんだか男を見る目がないのか……。
朋子との間を小夏に取り持たせるなど酷いことした挙げ句に、一旦厄介払いしたことを忘れたようにシレッとプロポーズする銀ちゃんの「人でなし」っぷりに呆れるんですが、その前の心情吐露が子犬のようなので、可哀想に見えます。
小夏の回答を本当は想像出来ていたけれど、自分が縋れば絶対戻ってきてくれる、と信じたかったんだろうなぁ。
と、まず銀ちゃんの話題から入りましたけど、実はこの6〜12場って、プロポーズのある12場以外は銀ちゃんの出番あったっけ?と思うくらい存在感が薄いですね。
DVD感想の粗筋ではとにかく「枝葉」を落とす事を優先するのですが、出来上がった上記の文章を見て頂くとお分かりの通り、本筋が完全にヤスの方で、銀ちゃんは脇役ですね。
そんな中での見せ場ですから、12場の告白の時、ヤスにDVDのピント合わせるカットは止めて欲しかったです。銀ちゃんと小夏にピント合わせて、後ろのヤスが映り込んでる角度で固定してる方が雰囲気があったような気がします。
と言うか、盗み聞き中のヤスが目立ってますね。東京公演だと、もっと柱の影に隠れてる感じだった記憶があります。
野々の泣き演技には毎回本気なのではと思わされますが、更に驚いた事に「俺、階段落ちやるよ」と言ったヤスの頬にも、涙が! 最初汗が流れてるのかと思ったら、照明が当たった瞬間、目元から跡が続いてる事に気付きました。
ヤスは、何故泣いたんでしょう。
私は、銀ちゃんが振られたことに対してかな、と思います。銀ちゃんが落ち込んでるから、それを解消する為に小夏とヨリを戻してもらわないといけないのに、肝心の小夏は自分(ヤス)の為にそれを拒んでいる。その上自分自身も、小夏を取られなくてホッとした気持ちを持っている。それは銀ちゃんに対する裏切り行為である……。そんな心情から、贖罪として階段落ちを選択したのでは。2幕で銀ちゃんに「謝って欲しくない」と言うのは、ヤスの方が謝ってるからなのでは?
二人の関係性は未だによく分からないので、そのシーンになってからまた考えて書きたいと思います。
ちなみにヤスのスタントシーンは、華形が飛び込み演技してから袖に回っているのだと思っていましたが、DVDで別人が演じているんだと分かりました。華形は小柄だけど、線が太いんですよね。
アパートにクレージュセットを持って来た銀ちゃんを見る小夏の眼が、凄く愛しそうで、ヤスも心底喜んでいて、これが作中で一番三人が幸せな時期かもと思うと凄く悲しくなります。