• 2009年07月27日登録記事

銀ちゃんの恋の感想では、毎回取り上げる場の粗筋をまとめて書いていましたが、今回の部分だけは敢えて前半後半に分けます。

【18〜19場】
階段落ち当日、横柄に振る舞うヤスを、遂に激怒した銀ちゃんが殴りつけると、ヤスの蟠りが氷解する。
遂に「池田屋階段落ち」が撮影がされ、階段から落ちたヤスは絶命する――

銀ちゃんがトメたちを抑えると、橘も子分を下がらせる二人の関係が好きです。「銀ちゃんが、ゆく」で敢えて銀ちゃんが自分の死を橘にだけ知らせた事からしても、最大のライバルは最大の友人なんですね。ヤスを追い掛けようとする銀ちゃんを止めるのも、橘にしか出来ない事でした。結局、この映画に橘が配されていたことは、銀ちゃんにとって複雑な反面、楽しく嬉しい事だったろうなぁ。
スポンサー@紫峰七海の「チョイ悪親父」扮装がハマっていて、花組ヒゲ部の人材豊富さにトキメキを覚えます。カメラマン役と同じ人とは思えませんね。しかし、写真撮影の瞬間に橘チームの意地悪(ワザと変なポーズを決める・後ろを向く等)がなくて、とても残念でした。
ライターの火は本物ですね。そう言えばドラマシティは火気OKの劇場でした。でも煙草の火はどう処理したんでしょう。殴られた後、ヤスは手に持ってないですよね。

当たり前のことですけれど、本当は、ヤスだって落ちる事が怖かったはず。蹲るような寝方は、その恐れを凄く現していると思います。
「晩飯の後にしてください」は、理屈付けてるけれど、死にたくない、と思う本音が出たのではないかな。
でも十年間銀ちゃんに付いてきて、その集大成として落ちる覚悟を決めたんでしょうね。ずっと銀ちゃんの付き人をしていた自分の価値を認めるために。
階段落ち撮影開始直前、銀ちゃんとヤスはお互いを見合って、でも何も語らなかった。ヤスは、銀ちゃんの言葉を待っているような様子が見えたけれど、何と言って欲しかったのだろう。結局、何を言われてもヤスの覚悟はブレたかも知れないですね。

小説版では生き残った事でヤスは逆に人生に失敗してしまったけれど、ここで銀ちゃんに同格と認められて、その腕の中で死ねた舞台版ヤスは、幸せだったんだなと思います。

【20場】
ヤスの葬式が行われている。と突然、銀ちゃんが棺桶から飛び出し、死んだ筈のヤスも現れる。その場に響く監督の「カット」の声。
なんと此処までが映画「蒲田行進曲」の撮影だったのだ。大団円――

粗筋の締め方はちょっと悩みました。私はこう解釈している、と言う事でお願いします。要は映画版準拠ですけどね。
フィナーレでとても可愛い笑顔の日向燦を見て、とても切なくなりました。その他のメンバーも全員笑顔全開で、良いカンパニーだったなぁと改めてこの公演に参加できた奇跡に感謝です。
DVDには終演後挨拶まで入ってるんですね。危ない遊び(降りかけの緞帳前に人を押し出す)をしてるあたりに、学年の遠慮がなくて驚きました。でも華形は裏で土下座していそうなイメージがあります。

「太王四神記」→「銀ちゃんの恋」と来たら、段々過去に遡ってますので、次は「HOLLYWOOD LOVER」でしょうか。
あの公演は、主催イベントと日程が被ってるのに危うく見に行こうとした魔力ある作品なので、買おうかなと思うだけでドキドキします。