賀東招二「戦うボーイ・ミーツ・ガール(フルメタル・パニック!)」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
秘密軍事組織の兵士・宗介は、日本の女子高生・かなめの護衛を命じられ、転校生として彼女の通う高校に潜入した。だが修学旅行の行程でジェット機がハイジャックされ、かなめが囚われてしまう。宗介は、組織の実験で謎の「知識」に目覚めたかなめの助力を得つつ、彼女と共に敵地を脱出する。
フルメタル・パニック!シリーズは、富士見ファンタジア文庫お得意の「シリアス要素含む長編(本編)」「コメディ短編集(外伝)」の2本立てで構成されています。本作は、長編の第一巻。
ライトノベル界の有名作品ですが、麻生は初読です。作者の賀東招二氏がTVアニメ「ドルアーガの塔」でシリーズ構成を担当していたため、という恐らく日本国内で唯一だろう理由で手に取りました(笑)。
あらすじに纏めてしまうと「狙われるヒロインと、それを守る主人公」ですが、本作が面白い最大のポイントは「主人公が戦争ボケで、日本の一般常識が足りない」という点ですね。普通の日常が宗介視点だと危機的状況の連続になってしまう可笑しさ。まぁ、ちょっと学園編における宗介の常識や対人関係能力がなさすぎて、これでは自分の組織内でもやっていけない気がします。
世界設定としては、舞台は現代なのにロボット(AS)が存在し、且つその技術は「時代以上に発達し過ぎている、本来存在しない技術」と認識されているのが、次巻以降の謎として引っ張られていて先が気になりました。
それにしても、こういう世界観だとソビエト連邦は必須要素ですね。
私の得意なジャンルではないのですが、学園要素、ロボット、軍事組織、そしてラブコメディとあらゆる要素が破綻なく詰め込まれていて、ライトノベルを読んだ、という満足感がある作品でした。