• 2016年11月09日登録記事

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荒川弘版 漫画「アルスラーン戦記」6巻

表紙はファランギース。
漫画版での登場当時、ファランギースの露出は原作の記述と反している、と小煩いことを言っていたのに、最近は露出が少ないとガッカリしてしまうという、面倒なファン心理を抱えています。

6巻は、35章から40章までを収録。
1ページ目を開いて、まだペシャワールに到達していなかったことを思い出しました。いかにペシャワールが遠いか、身を以て体感させられた感じです。
前巻から登場したアルフリードですが、あっという間に一行に馴染み、明るく楽しい話題を振りまいてくれて、好感触です。風呂浴び後は化粧を落とした状態になっていましたが、漫画版のアルフリードは化粧があってもなくても変わらず可愛いですね。
「エラムには色々教えてほしかったのに」と落ち込む姿には、ファランギース同様、見ていて思わず温かい笑みが溢れました。エラムは小姑気質だし、ナルサスは態度をハッキリさせないし、と考えるとアルフリードがナルサス一筋で何年も待つのは本当に偉いです。

遂に「王子二人」が終わり、「落日悲歌」の内容へ踏み込んでいきました。
時系列で執拗に細部まで描いたペシャワールまでの道に対し、ラジェンドラの侵攻に対しては時系列を変えていて、なかなか上手い次回への引きだな、と思いました。
部下に「奇襲ですのでお静かに」と諌められているラジェンドラも面白かったし、「えっ?」で終わるラストシーンからは、笑いしか起きません。

その他では、全体的に、殿下が麗しく描かれていると感じました。
また、キシュワードの妻子が描写されていて驚きました。原作一部の段階では登場しないけれど、二部に登場するのですね。しかもマヌーチュルフなんて脇役まで掬い上げる辺り、荒川先生の原作読み込みは凄まじいなと思いました。

おまけ描き下ろし4コマはザンデの「殿下」呼びネタ2本立て。
本編でも、ヒルメスの発言を真っ向から受け取って喜んでいたり、可愛くて可哀想なザンデが見られて嬉しかったです。