• 2016年11月12日登録記事

高田郁著「あきない世傳 金と銀 源流篇」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
学者であった父や兄のように「知恵」を得たいと願う少女・幸は、享保の大飢饉を経て、九歳で大坂の呉服屋に奉公へ出された。女衆として働く一方、番頭の治兵衛に認められ、密かに商いの手解きを学ぶ幸だったが、奉公先は主人の放蕩で傾きつつあった。

高田郁先生は、一所懸命に働く若い娘を描く名手ですね。
時代感ごと、じっくり読まされました。

短編連作風だった「みをつくし料理帖」シリーズとは作りが異なり、主人公の幼年期から追っていく大河ドラマ構造になっています。
この1巻は、物語全体からすると舞台を整えただけで、まだ物語の始まりにも達していないように感じましたが、それでも読ませるのは、主人公・幸が今後迎える運命への期待感でしょう。
智蔵との描写をあれだけ丁寧に描いておきながら、徳兵衛の後妻にさせられてしまうとは思えませんが、さてはて……。