• 2017年07月21日登録記事

昨日の記事から引き続き、1周目(西アルメキア編)クリア後の総評です。

本作「ブリガンダイン グランドエディション」は、PS(初代)の隠れた名作「ブリガンダイン 幻想大陸戦記」に、追加要素や調整が施された完全版。
なお、アニメパートはグランドエディションで追加されたようです。だからパッケージがアニメ絵なのですね。個人的には、作中のキャラクターグラフィックの方が雰囲気があって好きなので、幻想大陸戦記のパッケージの方が評価は高いです。

非常に中毒性が高いゲームで、「One more turn!」と連続して遊んでしまいました。
もともと、チュートリアルを遊んだ後に「このゲームは時間を盗む」と判断してしばらく封印していたのですが、実際プレイを開始したら凄まじい勢いで進めることになりました。
それでも、まだ西アルメキアが終わっただけで、あと5国分も遊べるんだ、と思うと凄いテンションになります。実は、クリア後にレオニア(中級)で開始しました。西アルメキアとはまた雰囲気が違って、この国も面白い。宗教国家というから狂王と対峙するかと思いきや、シナリオ上の明確な敵は白狼だったのも意外なポイントでした。

レオニア

で、まずイスカリオを滅ぼすまで寝食を忘れ一気に遊んでしまったので、また封印することにしました。

傑作!……と思ったのですが、マイナーメジャータイトルの常としてUIはあまり宜しくありません。
戦略SLGは編成が肝で、特に入れ替えとクラスチェンジは統魔力の都合上密接に関わるから、編成画面を見ながら思い付いたことを確認したいのですが、都度メニューに戻らないといけないので、何度も編成メニューを行き来しました。どのアイテムを誰に装備させられるか分からないのも困りものでした。

メニュー

アニメシーンは字幕がないので、聞き取れないことがあるのも困ります。会話の自動送り機能(デフォルト設定)は便利だけど、ON/OFFはその瞬間で切り替えたかった。
でも明確な難点はそのくらい。戦略SLGとしては素晴らしい魅力があるゲームでした。

内政は一切なくて戦闘だけに絞られていますが、領地を無闇に増やすと防衛に手勢を割かねばならず逆に危険だったり、敵がどこの土地を狙っているかを見極めて手薄な箇所を攻めるなどの部分は戦略要素と言えて、戦術だけでは勝ち抜けません。
そして、いざ戦闘になると、戦い方の自由度が生きてきます。

戦闘

私の解釈では、このゲームは、ルーンの騎士を旗艦とした艦隊戦ですね。戦場での陣形が非常に重要で、単騎でどれほど強い魔物がいても、一体で突っ込めば弱い魔物に取り囲まれて倒されるというバランスが秀逸です。
また、非常に特徴的で戦術を広げているのが、騎士を撃破・退却させると、その騎士が統制しているモンスターが一緒に撤退する点でした。強大な軍を率いて攻め込んできた敵国君主を、捨て身の突撃で倒して防衛、なんて展開は実にこのゲームらしいです。
ゲームバランスは、最終戦のキツさが厳しいけれど、これも「ここまでの育成の成果をぶつける」という意味ではいいのかな。中級にしたら、敵が専守防衛をするようになったり、騎士を狙い撃ちしてくるようになって、かなり手強くなりました。

最大6人で対戦できるモードもあって、仲間と遊べたら盛り上がりそうです。

その他のシステムはシンプルながら、育成要素、人間模様が秀逸。

騎士仕官

西アルメキアでレオニアを滅ぼした際、こう語って寝返ったシャントゥールが、レオニアでプレイしたらバテルヌス司教と親心について話し合っていたりして、グッときます。
在野騎士すらも、一人一人異なる顔とバックボーンと個性があり、使ってみたいという気にさせます。太鼓持ちみたいなのもいるけど(笑)。ゲーム中のステータスで確認できるキャラクター解説文が、状況に応じて変わっていくのも、なかなか嬉しい仕様です。

本作について少し調べると、「銀河英雄伝説」との類似性を語る声が見受けられます。
私もそれが目的で遊んだのですが、銀英伝単独というより全体的に田中芳樹作品っぽさを感じました。
この「銀英伝っぽい」という評価は、決して悪口ではありません。多分、こういう評価をした人はほぼ「銀英伝ファン」だと思います。好きな作品に感化されてできた(ように見える)ゲームが面白かったので、嬉しくなって「銀英伝っぽい」と言ってしまうのでしょう。
実際、キャラクターのモチーフは想像がつくけれど、私が遊んだ範囲ではそのままパクリの台詞があるわけでなかったし、きちんとブリガンダインの世界観の中に落とし込まれていました。
というわけで、ゲーム好きな田中芳樹作品ファンには私からもオススメです。