• 2015年04月登録記事

折原みと著「乙女の花束」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
父を知らない野育ちの少女・風子は、祖父の言い付けで元華族令嬢等が集まる全寮制の高校に入学し、上級生・凪子と親密になる。実は風子は知らぬことであったが、2人は血の繋がった姉妹であった。母親に捨てられたと思いながら育った凪子は、母親から愛されていたことを知り、風子もまた様々な愛を知って成長する。

善人しか登場せず、ハッピーエンドで終わるという、非常に罪のない作品。
意外と、というと失礼ですが、面白かったです。
1年間の出来事を描いているので、あらゆるエピソードが箇条書きレベルで消化されていきます。
一つ一つの要素を膨らませたらそれぞれの章が盛り上がりそうなのに、淡々と出来事を消化していくので驚きます。ただ、詳細に書くと今度は「先の展開が読めるのに引き延ばし」という印象を受ける可能性もあるので、このスピード感が正解なのかも知れません。

折原みと作品というと、ベタベタの恋愛がメインの少女漫画風ライトノベルというイメージだったのですが、大正ロマン風の少女小説で驚きました。
大正ロマンと書いた通り、古臭いとも言えるし、古き良きとも言えると思います。ちなみに、舞台設定は平成ですが、元華族に拘っていたり「S」なんて台詞が出てくる時点で、登場人物は誰1人現代人でないと判断しました(笑)。

TVアニメ「アルスラーン戦記」3話「黒衣の騎士」
http://www.arslan.jp

前回から引き続き、ちょっと作画修正が間に合ってないかなと感じます。軍勢を描かないといけないし、3/21のAnimeJapan2015時点で2話が仕上がったばかりという、割とリアルタイムな制作状況らしいので大変なのでしょうね。

今回の話は、前回から少し時間軸を遡り、割愛したシーンも含めて丁寧に描写してくれていました。モンフェラートも登場したし、ナルサス登場まで進んだし、ということで。
ダリューンとクバードの会話はやはりカットされたままでしたが、代わりに退却の伝令が殺されるシーンが挿入されたので、カーラーンの策略が分かりやすく、良かったと思います。
ヴァフリーズの剣劇はユパ様@風の谷のナウシカだと思ったら、既にネットで散々言われていました。

そういう次第で、本編の流れは言うことありません。

メインキャラが新たに登場しましたが、エラム@花江夏樹は、私のイメージより声が低く、違和感がありました。女装の時の声はどうするのでしょうか。
ナルサス@浪川大輔は、勿体付けた喋りだと感じたけれど、まだ第一声しか出ていないので、たくさん喋る次週に期待します。

予告ナレーションは、ちょっと笑ってしまいました。ビジュアルそのもので表現できるアニメで、見た目を文章表現をするって、ハードルが高い仕事ですね。

エンドカードは、少年マガジンの連載陣が描くのでしょうか。今回は瀬尾公治先生。2話の唐突な田中芳樹先生のエンドカードも驚いたけれど、3話でタハミーネ王妃という人選の面白さには更に驚きました。でも、今回の話はOP・ED以外一切女性がいなかったから、敢えて女性キャラを入れてきたのかな。
なんにせよ、今後色々な絵柄で描かれるだろうキャラクターたちが楽しみです。

現在地:勇者リキ加入まで
かなり長時間プレイしているのに、一向にストーリーが進まないのは何故かと言えば、またクエスト消化してるからです。コロニー6復興は、手間が掛かるので必要最小限にしてます。

マクナ原生林に到達してから、一気に仲間が増えました。
ハイエンターのメリアと、ノポンのリキ。
3人しか戦闘に出せないのが辛いです。アーツ技を使う戦術上、アタッカーとタンクが必要なので、あまり思い切った入れ替えはできないのですよね。

まだメリアがハイエンターであることは明かされていないけれど、十分想像が付く描写をされているし、そもそも説明書に「ハイエンターの少女」だと書いてあるから、そうなのでしょう。
見た目はホムスと変わらないようだけれど、彼ら自身やノポンは差を認識できているようなので、ホムスの目には見えない所が違うのでしょうね。
鳥の人という台詞もあったから、飛べるのか?
ちなみに、メリア登場は、突然メリア視点に切り替わって行われたので、フィオルンのときのように、メリアをプレイヤーキャラにしたイベントが始まるのかと身構えてしまいましたよ。

リキは、可愛いです
ノポンは可愛いというより気持ち悪いと思っていたし、キャラクター説明からして、いわゆるウザい系のキャラクターなんだろうと思っていました
その通り、ウザキャラではあったのですが、なんだか妙に可愛い。自分で操作すると、体が左右に揺れまくっている走りにもニヤニヤする

巨神胎内で、シュルクが巨神が生きている可能性に言及したので驚きましたが、確かに、胎内は動いているような気持ち悪さがありました。
逆に、滝を一望する岬に出たとき等は、ちょっと爽快感があります。

滝

ハード的に、映像美とはいかないけれど、箱庭世界として良くできているなと思います。欲を言えば、もっと任意の位置にスキップトラベルできたら嬉しいかな。

山本幸久著「笑う招き猫」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
駆け出し女性漫才コンビのヒトミは、代理で受けたNHKの漫才番組オーディションに合格したことを切っ掛けに、予想外の人気を得る。相方アカコと、TV出演に対する「プロ意識」の差で喧嘩になってしまうが、やはり2人で人を笑わせ続けたいと思う。

お笑いの世界については無知で、最近の芸人さんのギャグも知りません。
しかし、絶対の評価がない芸の世界で戦うという意味では演劇も同じようなものですし、漫才は喜劇のメソッドをやっているようなものとして演劇小説的にも楽しめて、面白かったです。

「カーネギーホールで漫才をやる」なんて口だけは大きく地に足が着いていないアカコと、そんな彼女に振り回されているようでいて、支えになっているヒトミ。
漫才コンビ「アカコとヒトミ」の2人が生き生きしているし、その周りの人々もいい味を出しています。人間関係や生き様には、少しほろ苦いところもあったり、「お笑い」を描いているからといって、単純に笑って終わる物語にはなっていません。
これから二人がどうなっていくのか、続編を出して欲しくなりました。
ただ惜しむらくは、肝心の漫才ネタが実際に面白いのかどうかは、イマイチ伝わらなかったのでした……。

中村航・中田永一著「僕は小説が書けない」
http://www.kadokawa.co.jp/sp/2014/bokukake/

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
高校に入学した光太郎は、先輩・七瀬の勧誘にされ文芸部に入部する。実は、光太郎は小説を書いていたのだが、自分が父親と血が繋がっていないことを知って以来、続きが書けなくなっていた。理論派の原田、感覚派の通称「御大」という2人のOBから真逆の指導を受けながら、光太郎は自分を見つめ直し、遂に小説を書く。

通称「はがない」……ではありません(笑)。
角川特設ページによると、本作の通称は「ぼくかけ」らしいですね。

中村航・中田永一両氏が、小説執筆支援ソフト「ものがたりソフト」を活用して合作した小説。ファンであれば、どの箇所をどちらが書いているのかを推理するのも面白いのかも知れません。
私は、あらすじのポイントにした通り、このお話は家族との人間関係に悩んでいる少年が、悩まずに今ある自分を受け入れれば良いんだと思えるようになるまでの青春小説であって、小説を書く人間に向けて書いたノウハウ本ではないと思いました。

私は御大贔屓で読みましたが、この本自体は、理論派のOB原田が提唱している「技術」に則って書かれていると思います。
だからすべての要素がちゃんと線で繋がっていて無駄はないのですが、逆に無意味な理由付けが多い気もしました。
例えば「主人公は小説を書かねばならない状態に追い込まれる」←「生徒会からの圧力で学園祭に部誌を出さねばならなくなるから」という原因に対して、生徒会長と七瀬の間に因縁があるわけですが、こういうことは物語には実際は不要な要素のように思いました。
そもそも、生徒会にそんな権限があるものか、と思うんですけれどね!

実在の作品等が出てくるので、生徒会の件以外はリアルに感じました。特に冒頭は図書館で小説「夏への扉」を発見するシーンなので、自分の背後の本棚にある「夏への扉」を急に意識しました。
あと、テーブルゲーム「cat&chocolate」をするシーンがあったのが、個人的に嬉しかったです。