• 2012年02月登録記事

突然思い付いて一発書きしたSS。こういう小話は勢いが大事なので、推敲はしていません。


その立て札は、教室塔の入り口で学生たちを待ち構えていた。

義理チョコ、友チョコの授受を禁ず――

「どういうこと?」
 と思わず呟いたのは、両手に提げた袋にラッピングした小箱を山程入れて登場したベーギュウム教室教室長、アーデリカである。
 ちなみにこの袋は、行きは配布する菓子を、帰りは受け取った菓子を持ち帰るのに必須のアイテムである。
「こういうものを立てて驚かせてくるのは、普段ならフォウル様ですけど……」
 イベント事を好む最高位の騎士が、水を差す指示を出すはずがない。
「こういうことがお嫌いそうなカイ教師じゃない?」
 そう思うのは彼の教師の一面しか知らぬ者である。
 それに、彼なら範囲を限定せず、すべてのチョコを禁止するだろう。
「立て札ってところが、劉教師っぽい気もします!」
 しかし、こうした行事にわざわざ介入するタイプではなかった。
「教師陣より、ああいう人が怪しいと思いますけど」
 と、最初から疑わしい者を見る眼でシェリアが指し示したのはナディルヤードである。
 ド近眼の彼は、わざわざ先頭に行って立て札を確認した挙げ句、一ヵ月後の返礼に悩まされずに済む!と歓声をあげたせいで、女性たちから袋叩きにされているところだった。
 本音を隠さず口にするのは、人付き合いにおいては美徳とばかり言えない。
「犯人探しより、皆が持ってきているチョコレートをどうするかが問題じゃないか?」
 話を少し前進させたのは、ルクティ教室教室長イグゼフォム、通称イクスだった。
 この立て札に従うと、贈り先を失った菓子が大量に少女たちの手に残る可能性がある。
 数瞬の間の後、アーデリカはふと気付いて言った。
「よく考えたら、私は義理クッキーと友マカロンだから問題ないわね」
 ならばと、恋人とその親友用にチョコレートを持参したセララは無邪気な笑みと共に言った。
「じゃ、セララのは両方本命チョコってことで、良いよね!」


では、これから平日夜の菓子作りです……

大空祐飛さよなら特集2日目。

いきなり時系列を飛ばして6作目、宝塚大劇場&東京宝塚劇場公演「誰がために鐘は鳴る」。
→公演詳細

2番手・蘭寿とむとようやく組み合う芝居ができた、と思った1本。
持ち味、芸風の違いから「異種格闘」なんて言われていたらしいですが、私は大空&蘭寿コンビで観たいものが色々ありました。
観始めた当初は古典過ぎて退屈だと思ったものですが、どんどん深化して号泣させられた素晴らしい舞台でした。楽曲も気に入っています。

と言うわけで、イラストは当然このシーンです。

友情

ちなみにこの絵は、ロバート側から描き出してしまったため、描き終わる時には右手がこすれてロバートが黒ずんでしまいました。
御陰で、描いた時間より修正に割いた時間の方が長かったです。

国立劇場小劇場の2月文楽公演より、第3部「菅原伝授手習鑑(寺入りの段・寺子屋の段)」「日本振袖始(大蛇退治の段)」を観劇。
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2011/201221.html?lan=j

初めての文楽(人形浄瑠璃)体験。
朝の第1部「彦三権現誓助剣」、昼の第2部「義経千本桜」、そして夜の第3部と、時間帯によって違う演目が上演されています。
第3部を選んだのは、「菅原伝授手習鑑」は三大傑作の1つで、特に今回演じられる4段目「寺子屋」が名作と名高いことから。なお、「日本振袖始」は人形や演出が変えられた新作でした。

なお、国立劇場も初めて利用しました。
伝統芸能を上演するための劇場だけあって、茶屋のような雰囲気で面白かったです。小ホールといっても、思ったほど小さくは感じませんでした。
手洗いが左右通路にあり、個室は少し少なめな気もしましたが、それほど待たずに入れたので適当数なのでしょう。ただ、珍しい事に半数程が和式でした。

「菅原伝授手習鑑」は、古典文学という風情。見せ場が色々あるけれど、そもそも「主君の息子を助ける為に他人の子供を見殺しにしよう」という源蔵の考えが理解できず、酷い話だなと思いながら見ました。
「日本振袖始」の方は、義太夫4人、三味線5人という重厚な構成で音を楽しめ、照明や人形の変化等演出面でも凝っているなと思いましたが、正統ではないのかも。
立ち回りなどは、人形と各人形遣い(1体に1人〜3人)が舞台上にいる都合上、ゴチャゴチャしてしまって分かり難いのが辛いですね。

義太夫の台詞は、字幕に頼らなくても大体聞き取れました。女性または子供を演じるときにひっくり返ったような声を出すのが、女形とも違いちょっと独特ですね。
人形は、顔の変化がないのにシーンにあわせた仕草で、怒り顔が泣き顔に見えてきたりして面白かったです。ただ、一人の人形遣いの方が舞台内の段差を自力で上り下りできず黒子に手伝ってもらうため、少し動きがもたつくのが気になりました。
三味線は全体的に良かったです。特に「日本振袖始」で、バチではなく弓で三味線を弾くシーンがあり、胡弓のような音色に吃驚しました。琴や鼓が使われる場面もあり、音楽的に楽しかったです。
義太夫、三味線、人形遣いの3者がお互い指揮なしで演じているのに、動きが合っているのは凄いと思いました。字幕やイヤホンガイドなどのタイミングの事も考えると、必ず同じテンポで演じられるように染み付いているのでしょうね。そういうところが「伝統芸能」なのかなぁ。

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PSゲームアーカイブス「ヴァンピール 吸血鬼伝説」を始めました。
→ヴァンピール ソフトウェアカタログ
→アートディンク公式「ヴァンピール」ページ

ステージ1「メドゥヴェキア」を攻略したところまで。

題名通りの吸血鬼ゲーム。
写実的な洋ゲーテイストのビジュアルと、ゲームでは珍しいゴシックホラーの雰囲気に惹かれて購入しました。実際に遊んでみても、イメージ通りの仄暗く退廃的な耽美の世界で、雰囲気は満点です。
……問題は、解説書を読んでもシステムが良く理解できないこと。
アートディンク公式ページの攻略説明を読んで、初めて細かい数値の意味が分かりました。
そんなところも含めて、とても「アートディンクらしい」ゲームだと思います。

住人に接近する「昼間」と、吸血行為をして部下を増やしたり、敵と戦う「夜間」の2パートの繰り返しで進行していきます。
主人公、デュラン、ヴァンパイアハンターの三つ巴の戦いですが、ハンターの存在は現時点ではそんなに脅威に感じません。ある程度噂を流すようにもしているのですが、どの程度効果があるのか謎です。
ただ、世界観からしてもっとしっとり進むのかと思いきや、リアルタイムストラテジー(RTS)だったので、ぼうっとしてると後手に回って意外と忙しいゲームでした。人間観察を楽しみたくても、悠長にやっているとデュラン側の勢力が増えてしまうので難しいですよね。
また、村人の時間ごとの動きや住居を覚えるのがとにかく大変で、練習段階だろう1ステージ目からこれだと、最後の3ステージ目なんてどうなるのか不安です。

テキストを楽しみたいところですが、ノスフェラトゥまたはダンピールになると台詞が一定になってしまうのが寂しいです。

「テイルズ オブ ザ ヒーローズ ツインブレイヴ」体験版2種類を遊んでみました。
http://tb.namco-ch.net/

個人的感想としては、購買意欲に結び付く内容ではありませんでした。
いわゆる「無双ゲーム」なのですが、道がほぼ一本道で、特定の敵を撃破しないと先の道に行けないので、考える要素がなく、ひたすら○ボタンを連打している感じでした。
フィールドを走り回る自由がないし、見えない壁に阻まれるのは少々興醒め。
敵の雑兵は基本的に棒立ちで、一度交戦しても距離をあけてカメラを外すと、殆ど存在しないようになります。
雑兵がなにもなかった位置に突然出現するのも気になりました。恐らく、旗マークの敵が召喚しているのだろうと思いますが、人間ならせめて遠くから駆け付けるなどの演出が欲しかったです。
ウリの共闘システムも、スパーダ操作時のパートナー・ルカなどは、足が遅いせいか殆ど攻撃に参加して来なくて、あまり実感できなかったかな。

操作性もあまり、評価し難いです。
まず私の場合、術技がLボタンと○×□の組み合わせで発動するため、ハードケースから取り出さないと遊び難いのが減点。元々アクション様子があるシリーズなのだから、基本操作は本編シリーズと揃えても良かったのでは。
十字キーのカメラ移動も不満。キャラ移動は左スティックなので、カメラ操作をするとキャラが棒立ちになってしまうのです。
ゲージやステータスが多過ぎて、画面がゴチャゴチャして視界が圧迫されているのも気になります。その割に、ゲージに目が行き届かないのですけれどね。

唯一、グラフィックは遊んでいると気にならなくなり、ポリゴン造形が意外に巧く出来てる点は好感でした。
自キャラと敵の大きさの違いは違和感がありますが、これは分かりやすさなんだと割り切れました。
会話イベント時の顔グラも、充分綺麗だと感じました。但し、スキット画面の線の太さや描き込み具合がシリーズによって異なるため、TOS-RキャラとTOVキャラの会話などは、世界観がまったく一致していないのはご愛嬌でしょうか。

体験版は、まだストーリーと言うほどの内容が確認できませんが、一応導入の雰囲気はわかります。
先行で公開された「イノセンスR発売記念特別体験版」は、エミル&マルタと戦う「ストーリー/スパーダ」編、ユーリ&フレンと戦う「スペシャル/ルカ」編を収録。
本日公開された「通常体験版」は、エミル&マルタと戦う「シリアス/ジュード」編、カイウス&ルビアと戦う「コメディ/ルーク」編を収録。
歴代キャラクターのお祭りゲームですので、掛け合いを楽しむのがメインと思えば、触り部分でとやかく言うのは野暮ですが……。正直、体験版の面子ってあんまり面白くないような気がします。
また、各1つの出来事だけでも、ジュード編でバトル後の展開に「イベントを飛ばした?」と思わされた事や、ルーク編でのガイの姿勢など気になるところがありました。予約特典アニメの時にも少し触れましたが、ガイって、ルークを良い方向に導く気がないんですね。ルークを嗜めることなく、相手に謝るだけ。長髪ルークだから、実は嫌ってる設定なのかも?

1つは販促を兼ねているとしても、2種類の体験版を配信する広報努力は評価しておきます。