• 2010年12月14日登録記事

本日月組2001年公演「血と砂」の復刻DVDが届いたので、そちらを見たいな〜と逸る心を抑えつつ「カサブランカ」の続きです。

【2幕第4場 カフェ(開店前)】
リックのカフェが家宅捜索されるが、特別通行証は見付からない。

捜索に現れた警官たちがフランス人とムーア人の混在部隊であることは一目瞭然ですが、令状を持ったカッセル中尉は別として、店内に入って前に立つのはムーア人の方なんですね。従業員たちと戦うのも彼等が中心で、フランス人たちは捜索が主の模様。こんなところにも人種差が出ているのかも。
従業員たちの方は、サッシャだけ上着を脱いでいて、白シャツ姿なのが好きです。
しかし毎回気になるのですが、もしサムの出勤が家宅捜索より早かったらアウトですよね。リックはどこまで予見して通行証を隠したのでしょうか。

【2幕第5場A カフェ外】
特別通行証の行方について、リックとルノーは互いに探り合う。

東京では、大尉が身嗜みを整えるシーンで時々笑いが生じていましたが、DVDで見るとそんなに可笑しいシーンではないですよね。公演回数を重ねるごとに、動作を大仰に面白くしていっていたのかな。
また、「彼女は自己流でドイツと渡り合っているのさ」の台詞は笑みを込めていたように記憶していたのですが、意外と険しい顔付きですね。イヴォンヌが独国領事と一緒に現れた時も、眉間に皺が寄っているし、自分の立場とあわせて複雑な心境だったのかも。

【2幕第5場B オフィス〜カジノ】
ルノーから出国ビザに関する取引を持ち掛けられたブルガリア人妻のアニーナが、リックに相談する。

カールが「困った客」と指したのはヤンの事ですよね。お金を落としてくれてるんだから、店としては美味しい客なのに困ったと表現する辺りに、このカフェの従業員はここで働くことに営利以外の目的を感じてるんだろうなぁと思います。その割にボスのモットーは「搾れるだけ搾り取る」なわけですが(笑)。
このシーンにある、会話する二人の背後にルーレット台が見えると言うアングル、とても素敵だと思います。

【2幕第6場 カフェ内】
カフェではフランス人とドイツ人の小競り合いが起きていた。リックは場を静止する。

リックがヤンに勝たせてやる気になったのは、この瞬間だと思うのですが、その理由は何故でしょう。当初はここで騒動が起きたせいだと思ったけれど、ドイツ軍と夫婦の行く末は関係ないですよね。
そう思っている内にふと思い付いたのですが、もしかしたら、少佐と領事のテーブルに大尉がいたためではないでしょうか。
ドイツ人たちだけなら未だしも、そこに擦り寄って甘い汁を吸うことを厭わない大尉に、カフェが家宅捜索された復讐も兼ねてちょっとした意趣返しを思い付いたのかな、と。
とすると「君はこの席にいて良いのかね」と言う少佐の台詞も、作品的には二重の意味があったのかもと勘繰って楽しくなれますね。