• 2011年05月登録記事

AKC姉妹コンテンツ「アーデリカさんのレシピ」にアクセスすると、「We're sorry, but something went wrong.」と言うエラーが返される状態であることが判明しましたので、取り急ぎリンク接続を切りました。
いつから発生していたのかは不明です。誠に申し訳ありません。
レンタルスペースのため手の打ちようがなく、また、長いこと稼働しないまま放置していたので、これを機にコンテンツ自体を見直そうと思います。

司馬遼太郎「軍師二人」

戦国時代の男と女を題材にした短編8作収録。
マイナーな人物を取り上げていたり、戦国物にしては珍しい女性主人公の作品も多いです。

表題作「軍師二人」は、大坂の陣の後藤又兵衛と真田幸村を扱った短編で、これだけはメジャー武将を取り上げています。幸村はまだしも、又兵衛は「軍師」と言うイメージでなかったのですが、物腰柔らかな人だったと描かれていて、少し観る目が変わりました。
最終的には二人共が散って行く話なので、無常観に溢れています。でも、兵法者としては二人とも自分が正しかったと思って死んでそうなので、幸せかもしれませんね。
しかし何より強烈な教訓だと感じたのは、物事のリーダーとは、プロジェクト内の意見を纏めるのではなく、どちらが最善か判断しなければいけないと言うことです。大野治長も淀殿も器量がなかったのに上に立つから、自ずと負けたのですね。

表題作以外で、個人的に気に入ったのは、下記の2作です。

・侍大将の胸毛
渡辺勘兵衛の話。不勉強で、この武将を初めて知りました。増田長盛にこんな面白い武将が仕えていたとは! 近江出身大名は、猛者集めが趣味なのかしら? こういう人材を関ヶ原に連れて来てみたかった、と思います。
で、彼を勧誘するのが藤堂高虎ですが、勘兵衛からも家臣からも散々に言われるので、段々可哀想に思えて来ました(笑)。権力者の間を巧い事立ち回った男と言うイメージの高虎ですが、このヘタレっぷりは結構好きかも。

・割って、城を
「へうげもの」の古田織部の静かな狂気を感じる味わい深い作品でした。
経歴を知らなかった事もあり、ちょっと意外なオチがあって、それ自体もまた織部の創作物のようで深いと思いました。

DS「すばらしきこのせかい」、始めました。

切っ掛けは、駅ダンジョンの話から。
「“すばせか”を遊んでから、渋谷で道に迷わなくなった」と言う実に素晴らしい体験談を聞いたので、そんな効能があるなら是非遊びたいと言っていたら、なんと本体(初代DS)を貸して頂きました!
遊んでみると、確かに渋谷の街並みが再現されています。後はマップの繋がりを覚えられるまでやり込むだけですね。

なおゲーム自体の感想の前にDS本体について、PSPと比較して下記の点が気になりました。

  • つまみなので細かいボリューム調整が難しい。
    麻生は消音ギリギリの音量に絞って遊びます。PSPだと音量1の状態。
    電源を入れる前に調整が効くのは利点か。
  • ゲームプレイ中に「HOME」に戻る機能がない。
    電源の切り方が分からなくて焦りました。

あとは慣れの問題でしょうが、2画面を同時に観るのが難しいですね。どうしても片方に注目してしまいます。
特に“すばせか”は2画面を同時に別の操作で動かさないといけないシステムなので、初DSの麻生には一層難易度が高く、上画面は殆どNPC任せです。

シキ編クリアまで、あっという間に遊んでしまいました。
お話は、伏線は明確だし、肝心のゲームルールが基本的に後出し説明のため、変に先読みするより純粋に受け身で展開を楽しむのが良さそうだ、と感じています。
プレイヤーはネクと共に、何も分からない手探り状態で流されて行くのが、6日目はシキが動かないため自発的に行動するようになっていて、物語の進行とプレイヤーへの委ね方が巧くリンクしてるなと感心しました。

ビートが麻生の大好物なアホの子で、小さいけれどしっかり者のライムとお似合いで可愛いと思ってたら、まさかの展開が待っていました。ライムの方は、説明書に操作方法が載っていない時点で予想できますが、ヨシュア編になってから知った最終日の顛末には驚愕しました。もしかして、パッケージ絵で一人だけ上方に配置されているのはこの為ですか?
今のところ、一番格好良いのはハネコマさんです。と言うより、他のすべてのキャラが大人げない(笑)。
(実のところ、要素だけならミナミモトさんが一番好みなのですが、流石に奇人過ぎてついていけません)

戦闘は、基本的に難易度ノーマルで、DROPが4前後になるようにプレイヤーレベルを落として遊んでます。
最初は満遍なく育てようとしたのですが、結局戦い易さ重視で「敵をスラッシュする近距離攻撃」「タッチする遠距離攻撃」「回復」のバッジばかり使ってます。

システム面では良く分からない事がありますけれど、今のところ余り深く考えず感覚的に操作してます。
ただ、インプリントはもっとシナリオと無関係に遊べた方が面白かったかも知れませんね。シキ編6日目のインプリントは、正解を引き当てるまで選び直すだけなのでちょっと退屈しました。

宝塚月組「バラの国の王子/ONE」15:30VISA貸切回観劇。
幕間の抽選会お手伝いは叶羽時。
貸切アドリブは夢追い人で「私の夢は、三井住友VISAカードでキャトルレーヴの月組グッズを大人買いすることです」。

「バラの国の王子」は寓話「美女と野獣」を基にしたミュージカル。
色々突っ込みどころはありましたが、ファミリーミュージカル調で意外と面白かったです。宝塚的ではなかったですけれど、大人数でのコーラスは迫力があったし、アンサンブルの贅沢な配置も凄かったです。
木村先生の歌詞センスは、子供向けのおとぎ話調だと余り気になりませんでした。最初は歌台詞ミュージカルなのに、途中から台詞劇になるのは作曲家が力尽きたのかな?(笑)

野獣@霧矢大夢
薔薇を一本手折られただけで激怒し過ぎだと思いますが、素顔は意外とヘタレで臆病な野獣が可愛かったです。
ベルに恋を告白し断られてしまった後の哀しい絶唱や、帰宅を許して抱きつかれた後、戸惑った後に抱き締め返そうと両手を上げかけたところで逃げられてしまい、中途半端な姿勢のままいる姿など、何とも言えず可愛かったです。
ディズニー映画「美女と野獣」だと野獣姿の方が格好良く、人間に戻った王子にガッカリするのですが、流石にスッキリした貴公子でした。

ベル@蒼乃夕妃
心理描写が丁寧にされているので、野獣よりも主人公らしいヒロイン。
心優しいと言われていても、実際は読書が好きで夢見がち、臆病で、観客の女性が感情移入し易いキャラクターだったと思います。
素朴なワンピースと豪奢な赤ドレスが良く似合って、しっかり美人キャラを勤めていました。

王様/先代の王様@龍真咲(二役)
本日のお目当て。
いきなりラストの話をしてしまうと、母親以外のすべての登場人物から存在否定され項垂れる王様を見て、「イジメ、良くない」と思ってしまいました。「フルボッコ」と言うのが相応しい扱いで、面白がっていいのか泣くべきか判断しかねます。
暴君だったらしいけれど、そこまで横暴なことをしてる印象がなかったし、王様視点で考えれば当然のことをしているんですよね。“人を襲う野獣”を安全の為に排除しようとするのは統治者としての仕事だし(証拠に、野獣が人に戻ると戦意が落ちる)、ベルを牢に入れるのは野獣に懐柔された危険分子だから。処刑しようとする訳でないし、求婚にしても、常にベルの意志を確認しています。
その上、人民の心が自分にないと分かると、王冠を自分から返却しています。
人の欲しいものを欲しがる嗜好は事実でしょうけれど、あの母親に育てられたのだから仕方ないとも思えます。
正直、母親想いで期待に応えたかっただけな善い子に解釈出来てしまうのです。もっと国民を苦しめているエピソードがあれば納得できたのですが、「二番手の悪役」としてはこれ以上描写出来なかったのでしょうか。
王様が更生して戻って来る話を書いてあげたい気持ちで一杯です。でも家臣団がこの人を忌み嫌ってるので、難しそうですね。野獣は帰国を許していたけれど、この人は祖国に戻らず亡くなる気がします。
ビジュアルは、ポスターやスチールの出来に不安でしたが、舞台ではちゃんとした衣装を誂えて貰えていて、格好良かったです。
振る舞いにノーブルさがあるので、高飛車で高慢な言い回しも似合ってました。

長女@星条海斗、次女@憧花ゆりのの二人は怪演。あくまで男役の女装である星条は受け狙いで正解ですが、娘役の憧花も体当たりの演技で笑わせてくれました。
しかし、商人の三人娘は全員同じ親から生まれた子でしょうに、妹を陥れようとするのは性格が悪過ぎませんか。善き仙女と妹君と言い、この作品は仲の悪い姉妹ばかりですね!

野獣に付き従う獣姿の家臣が多過ぎてウケました。王様の兵士は娘役含む村人で水増しされてるのに!
虎@明日海りおは、物語を語る役もあってかなり出番が多いのですが、あまり印象には残らず。
これで退団のMr.モンキー@桐生園加は、「踊って!」と言うベルの台詞があったので此処でガッツリ踊って貰えるかと期待したのですが、場所が銀橋だったため軽い内容で少し残念でした。

ショー「ONE −私が愛したものは…−」は、色々に展開出来そうなタイトルなのに、結局宝塚讃歌なのが少し残念。
色使いやら衣装やら大道具配置やらネタやら、演出の草野先生とは、相変わらず気が合いません。ロケットが序盤にあるなど、ショーのお約束的な構成を外した作りで、私は逆に乗り難かったです。でも大階段の斜め降りが二度楽しめたのは個人的に嬉しく、照明使いはプロの技だなと感心しました。
さて、これは龍真咲と明日海りおを個別認識してからの初めてショーですが、二人とも芝居は出来ても、ショーで一場面センターを務めるのは厳しいなと感じました。
特に龍がこんなにも踊れないとは知らず、衝撃的でした。踊れない人も「顔で踊る」と言う技術があれば何とか出来るのですが、キザリ方が弱いのか、あまり様になってない様子。二人のダンス「IN ONE」は辛かったです。
二番手以下のスター力不足の結果、トップスター二人のデュエットダンスの割合が増えているのかな。
上位三人の男役が全員歌える人なので、耳には安心感があるのですが、イマイチ派手さが足りないのです。最近は線の細い役者が多いから、馴染みのない組の印象はこんな物なのかしら。

藤沢周平「密謀」
関ヶ原の戦いを直江兼続の目から描いた長編小説。

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
兼続とその主君景勝は、天下の趨勢を見て秀吉に屈すが、彼が没すと、再び天下人の家臣になる事を嫌い反家康を掲げる。上杉征伐に来た家康が三成の挙兵を受け西へ転進すると、兼続は天下を獲る時だと追撃を進言する。しかし景勝は謙信公以来の義と己の器量のため天下を争う事を避け、戦いの時代から家を守る時代へ入っていった。

全体の感想

この作品のテーマはズバリ「関ヶ原の際、何故上杉は江戸に攻め込まなかったのか」。
個人的に、上杉は領土拡張したかっただけ(そして失敗した)と言う考えも持っていたのですが、本書では謙信を信奉するが故に避けられない「義」の精神、そして越後人の朴訥とした頑さが芯にあって、とても納得できました。
上杉主従を主人公とした表の歴史の裏に、直江家に使える忍びと捨て子の静四郎の話があり、単なる歴史語りに留まらず、先がどう展開するのかと物語的に惹き付けてきたのも良かったです。
ただ、新聞小説として連載されていた為か、敗戦後の三成が一節だけ盛り込まれていて違和感があったり、宋千代の件が思ったより呆気なかったりと、エピソードのバラバラ感があったのは否めないですね。
でも全体的には面白かったです。

上杉主従について

上杉主従は良いキャラクターでした。阿吽の仲であることを繰り返し表現しているからこそ、二人の意見が割れる関ヶ原の瞬間は衝撃がありますね。
景勝は「群雲、関ヶ原へ」では評価され過ぎに感じたので、このくらいで納得。追撃を許さない下りは時流を見る目がない、と思ってしまいましたが、自分を「これが天下人のつらか」と評して武将に甘んじるまで至ると、格好良かったです。
兼続は、政宗相手の逸話が割愛されているので、普通に好人物でした。主人公の戦国武将として受け入れられ易い形になっていたと思います。
また、いつも兼続の指揮能力に疑問を抱いていたのですが、この小説では最上の手強さが深く描写されていたので、作中では兵力差に対しての不甲斐なさなど殆ど感じませんでした。
要するに、良くも悪くも上杉主従贔屓ではありますが、物語としては正解だと思います。

三成のこと

この本は前述の通り上杉主従が主役ですので、三成の動向は詳しく描かれていませんが、面白いと思ったのは政治家寄りの三成像だった点です。「群雲〜」の戦国大名寄り、「巨いなる企て」の官僚寄りに比べると今回の政治家三成はバランスが良く、なかなか手強そうな人物でした。
兼続との仲も、運命的に表現してはいるけれど、兼続の方は時々煩わしそうにしていたり、自分の立場は守ったりしているのが、ベタベタし過ぎない距離感で良かったです。