榛名しおり著「王女リーズ テューダー朝の青い瞳」
【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
異母姉メアリの虐待により口を聞かなくなり、知恵遅れと思われていた英国王女リーズだが、。護衛官セシルとの恋を経て、大英帝国の女王へと開花していく。
今年は、イギリスのテューダー朝後期を扱う舞台作品が続いていることもあり、勉強も兼ねて読んでみました。
少女時代に読んでいた、懐かしの講談社ホワイトハートX文庫です。微妙に分厚い文庫を手に取って、懐かしさに浸りました。私はファンタジー路線の方を読んでいたのですが、今は恋愛路線で残ってるのかな?
本作もロマンス小説ですが、意外と、といっては失礼なくらい真面目な歴史小説でした。もちろん、史実の設定を下敷きにした創作であって、決して史実を描いた作品ではありませんが、英国の複雑な背景・系譜が分かりやすく説明されているので、エリザベス女王の即位した前後の時代に大変興味が湧きました。
逆にセシルとの関係は、身分差という障壁、ライバルの存在、波瀾万丈の人生など恋が盛り上がる要素はあるのに、読んでいてもそこまで燃え上がりませんでした。リーズの立場をどう変えていくのか、という点が物語の焦点になっていて、恋はあくまで物語を展開させる一要素であったりスパイスであったりという印象です。
終盤のメアリを打ちのめすシーンは、リーズが神格化され過ぎていて少し物足りなかった気がするけれど、そこに至るまでの波瀾万丈は楽しめました。
キャラクターでは、アン・ブーリンを愛し続けるクルス侯爵が良かったです。