• 2016年06月24日登録記事

平松洋子著「野蛮な読書」

次に読む本が見当たらなくなったら、書評を読むのが良い、と思って本書を選択。
冒頭から、単に本の感想を綴るのではない、独自の世界観の広がりに驚かされ、同時に惹き込まれて行きました。
惹き込まれた理由には、文章が達者なことがあると思います。
これだけ書けたら、楽しいだろうなと羨ましく感じるくらいです。少し筆が走りすぎていると見る向きもありそうですが、経験と知識の上に書かれているので、私は気になりませんでした。

野蛮な読書という題が絶妙です。実際、凄まじい雑食具合です。
私は読むジャンルに偏りがあるので、この読書量には圧倒されました。幅が広すぎて、後半は少し胃もたれのような感覚も味わいました。
読んでいて「胃もたれ」とか「食あたり」という表現が相応しいと思ってしまうのは、なんとなく食エッセイ風だったからです。筆者にとって、読むことと食べることは、どちらもインプットする行為という意味で、同じことなのかもしれない、と思いました。