• 2017年01月09日登録記事

登場人物の職業が大きく影響する2作品。

近藤史恵著「カナリヤは眠れない」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
新婚の茜は、日々漠然とした不安を抱え、次第に買い物依存症を悪化させていく一方、。雑誌記者の小松崎は、女性のカード破産をテーマにネタを探す中、あるブティックの証言から茜の存在を知る。両者を知る整体師の合田は、茜の買い物依存と鬱が、茜の夫とブティック経営者が仕組んだものであることを突き止め、茜は解放される。

裏表紙のあらすじから、整体師・合田が主人公だと思って読み始めたら、冒頭の買い物依存症の話で「あれ?」と思い、続いて雑誌編集者の視点に変わって「あれれ?」と思いました。でも、どう話が転んでいくのかまったく分からず、刺激的ではありました。
こんな神の手を持つ整体師がいたら、通ってしまうな!

茜と和樹の不倫は、少々残念でした。肉体関係は持たせない方が、後味が良かったのでないかと思います。

津村節子著「土恋」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
佐渡から新潟安田村で唯一残る窯元に嫁いだみほは、義母の介護と看取り、義父の急死から借金の返済に伴う生活苦、台風による釜の倒壊といった苦労を乗り越え、夫啓一が作る生活雑器を支持し続ける。女ばかりの子供たちの中から、長女美子は釜を継ぐと覚悟を決めて辛い修行を始め、姉妹たちも次第にそれを追う。

大変な苦難の生活が描かれていて、派手さはないものの、地道にコツコツと頑張る女の健気な強さ、仕事に生きる男の信念といった部分で読ませる作品。
終盤、「みほの物語」だったお話が段々「釜と美子の物語」に移り変わっていき、結末がやや強引だったところは残念。

モデルになった窯元が実際にあるということに驚きました。