- 分類読書感想
山口瞳・開高健著「やってみなはれ みとくんなはれ」
創業者・鳥井信治郎のウイスキー製造を描いた、山口瞳著「青雲の志について ー小説・鳥井信治郎ー」と、二代目・佐治敬三のビール市場参入を描いた、開高健著「やってみなはれ ーサントリーの七十年・戦後篇ー」から成る、サントリー社史。
途中、味のある柳原良平氏のイラストも挿入されています。
「ヒゲのウヰスキー誕生す」で、鳥井信治郎に興味を掻き立てられたので読みました。
芥川賞、直木賞受賞作家の両氏は、サントリーの宣伝部出身なのですね。
提灯小説といえばその通りですが、サントリーはもっとスマートな会社だと思っていたので、非常に豪快かつ難波魂の会社であることに圧倒されました。
鳥井信治郎の人物像が強烈なのと、山口瞳氏の文章の方がさらりと読みやすいこともあって、「青雲の志について」の方が読み物として面白かったかな。
ウイスキーが大いに飲まれた時代があったことが、よくわかりました。
ちなみに、「ヒゲのウヰスキー誕生す」で人格者として描かれていたアサヒの山本為三郎社長ですが、本書でもサントリービールの販売に協力するなど、大局を見る人だったのだなとつくづく感心しました。