• 2015年09月登録記事

加納朋子著「ななつのこ」

【あらすじ】
短編集「ななつのこ」に惚れ込んだ駒子は、作家・佐伯綾乃に、身近で起きた不思議な事件の話を添えてファンレターを送った。すると、作家からは鮮やかな推理が返され、2人の奇妙な文通が始まる──

面白かったです。
そして、日常ミステリーという括りで扱って良いのか悩む、文学的な香りの作品でした。

「ななつのこ」は、作中作である「ななつのこ」と同様の連作短編構成ですが、1編ずつに駒子の日常の一コマや遭遇する事件、そして佐伯綾乃著「ななつのこ」のお話が盛り込まれている入れ子構造で、同時に2つの物語を楽しんでいるような「お得感」があります。
1つずつの短編としても、全話通しての長編として見ても完璧な作りだと思います。ともすれば嫌味に感じるくらい、行儀のいい優等生といった風情の作品ですが、愛嬌のある主人公がその嫌味を巧く中和しています。
安楽椅子探偵役を務める佐伯綾乃の正体という謎に関しては、読書中一切気にしていなかったので、最終話で驚かされました。「バス・ストップで」の段階で、作者は住まいが近そうだと気付いていたのに……。駒子に比べると、お話しにならないくらいお粗末な観察眼です。

リアル脱出ゲーム×ニンテンドー3DS「超破壊計画からの脱出」
http://www.nintendo.co.jp/3ds/eshop/jcyj/
無料で遊べるプロローグと、9月中無料配信されている第1話に参加してみました。

参加と書いた通り、リアル脱出ゲーム仕様なので、ネットワークに接続して、複数人で同時にプレイするゲームなのですね。
もちろんゲームなので、すべての謎を自分で解かねばいけないのですが、ヒント協力隊として組んだ6人のメンバーの進行状況が見えたり、他の人が解いた問題は「シェアヒント」というノーコストで開示されるヒントを貰うことができるようになったり、それなりに同時進行感はあります。
結局は1人ゲームであって、全員が力を合わせるとまではいきませんし、集まったメンバーが実は数合わせのスタッフやNPCだったとしても分からない作りなので、難点を付けようと思えば可能ですが、地域や料金の問題でリアル脱出ゲームに参加し難いユーザーでも、気軽に謎解きイベントを楽しめるのは面白い試みだと思います。

最初のLv.1問題は、全問解かずに答えに気付けたので、2番手くらいでLv.2に到達しましたが、そこからは自分では太刀打ちできない問題が多く、あっという間に他のメンバーに追い抜かされるし、シェアヒントを活用した上で更にヒントコインも2回使用と、ぐたぐたな展開になりました。ちょっと悔しいですね。
その上、最終コードが完全に間違っていて、脱出失敗……。
エピローグの謎解き解説を見て「あ、そういうことだったのか」と納得しました。

私が参加した回は、脱出率16.7%。
最終問題を解けなかった私が言うのも難ですが、実際のリアル脱出ゲームよりはややゲーマー寄りの出題で、そこまで難易度は高くなかった気がします。最後の方は時間が余り気味でした。
入門編としては楽しく遊べたし、初めてネットワークの向こうにいるプレイヤーと会話を交わせたのも貴重な経験でした。

塩竈おでんと牛タンの宮城料理の店「三代目 文治」日比谷本店で、夕食を頂きました。
http://www.abezen.com/bunji_3rd/

とにかく、厚切りの牛タンが美味しい!
その他、焼き物に関してはカウンター席の場合、目の前の網で焼かれるので、見ているだけでアレもコレも食べたくなってきます。
こういったシンプルな焼き物こそ、家ではなかなか真似できない、お店ならではの味ですよね。

塩竈おでんは、牡蠣のエキスが入ったおでんでした。
割とアッサリしています。
十分美味しかったけれど、個人的に、おでんに関しては濃い目くらいの出汁が好きなので、これは残念ながらちょっと物足りなかったです。

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2015年8月6日記事で体験版を批評した、3DSのダウンロード用ソフト「王国の道具屋さん」が本日より9月30日まで半額セール!
http://www.nintendo.co.jp/3ds/eshop/kdgj/

ということで、ちょうど自分の中では旬だったのと、400円なら元が取れると思ったので買いました。
ちなみに、不具合更新データもあったので合わせてダウンロード。

当初は体験版のデータを引き継ぐつもりでしたが、そんなに効率のいいプレイをしているわけでもないですし、ほんの30分程度のデータなので心機一転0からスタートすることにして、体験版データは綺麗に消しました。
そもそも、実は別の新しいゲームを始めたところなので、道具屋さんの本格プレイはその後かな……。
体験版ではプレイできなかった要素もあるので、楽しみです。

井上ひさし著「青葉繁れる」

東北一の名門校で落ちこぼれている稔たち5人が、女体に妄想を抱いたり、目的もなく騒ぎを起こすやりたい放題な日々と、そんな学生たちを見守る教師たちを描いた作品。

教師陣に対する渾名のセンスは夏目漱石著「坊ちゃん」、おバカな男子高校生をリアルに描写しているという点は嵐山光三郎著「夕焼け学校」に通じるものがあると思います。
こうした、学生の蛮カラな自主性を第一とする教師たちがいた時代が本当にあるんだな、と思うと少しビックリもします。

東京から来た転校生・俊介以外は、全員仙台弁を話すのですが、この方言が生きていると思いました。「ま」が抜けている、という俊介の指摘がある通り、稔たちはボンクラ揃いですが、方言と組み合わさるとその緩さが当然の雰囲気になって、非常にあたたかく感じました。

女性蔑視な面がある点は、時代設定を考えればまったく気になりませんでしたが、基本的にはかつて男子高校生だった男性向けの本かな、と思います。
また、長編ではあるものの全体通してのオチが見当たりません。そのため、少し物足りない気がしました。