モーリス・ルブラン著 平岡敦訳「怪盗紳士ルパン」
→「ルパン、最後の恋」の感想は、2013年4月24日記事参照
意識していませんでしたが、「最後の恋」と同じ方の訳でした。
洒脱で読みやすくて良かったです。
第一作「アルセーヌ・ルパンの逮捕」他9編を収録。
「アンベール夫人の金庫」はオチがよく分からなかったのですが、他は、ルパンの神出鬼没、変幻自在にしてフランス人らしい手の込んだ洒落っ気を楽しめました。
これらを読むと、「最後の恋」が推敲途中の原稿だと評されるのも当然だと感じました。完成度がまったく違います。
一番の傑作はやはり「アルセーヌ・ルパンの逮捕」だと思うけれど、牢屋に入っているのに華麗な盗みを働く「獄中のアルセーヌ・ルパン」や、ルブランと知り合う事件を描いた「ハートの7」等、それぞれ面白かったです。
最後の一編は「遅かりしシャーロック・ホームズ」。ホームズをしれっと登場させ、両雄を立てた上で、今後の二人の対決も期待させる内容になっています。