• 2017年04月登録記事

誉田哲也著「武士道シックスティーン」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
剣道一筋で育った香織は、中学最後の大会で東松学園の無名選手・早苗に完敗する。なぜ負けたのか理解できない香織は、早苗を追って東松学園高校に進学。中学から剣道を始め勝敗に拘らない早苗と、勝利至上主義の香織は反発し合うも、やがてお互いの価値観を認め合っていく。

青春部活小説。
剣道の知識はなくてもすいすい読めます。
また、部活小説ではあるのですが、同時に少女友情ものの要素が大きく、主人公二人の微妙な距離感にニヤニヤさせられました。

香織が極端な性格で、防具を着けていない早苗を打ったり、先輩との練習で立ち関節を極める等の「勝てば何でも良い」という振る舞いに気分が悪くなったのですが、中盤以降是正されて、終盤は真っ当な剣道スポ根になって気持ちよく終わりました。
香織は、武蔵を心の師とし、昼食は握り飯、一人称は「あたし」なのに「武運長久を祈る」とか武士言葉で喋る、という「属性盛り過ぎ」感があって、最初は仰け反りましたが、段々彼女の語り口のファンになりました。

早苗が転校して二人が物理的には離れてしまった分、続編は難しいだろう、と思ったのに、高校3年生までキチンとシリーズを続けたのはお見事。
結局私も、「武士道セブンスティーン」「武士道エイティーン」と最後まで付き合ってしまいました。面白かったです。

L'AUTOMNE中野店
http://www.lautomne.jp(音量注意)

江原町の住宅街にドンと構えた菓子店。お洒落という軽さより、重厚感を感じる佇まいで、少し驚きました。イートインあり。
客も店員も多い大型有名店ですが、「町のケーキ屋さん」らしさもあり、とても気に入りました。

焼き菓子やマカロンも多数揃っていましたが、目を引くのはなんといっても独創的なケーキ。一列に並んだケーキから、どれを購入するか迷いました。よく「宝石のように」と例えるけれど、確かにその形容詞しか出てこない、美しいショーケースです。

アシッド

ロートンヌ・アシッド

※ローズマカロンは写真用小物として使用しており、ケーキには付属しません。

見た目から、味が全然想像できなかったので選んだ一品。
杏仁ムースの中にアプリコットとバナナ、パッションフルーツのジュレが入っている、酸味のある爽やかなケーキ。全体的に南国風です。
最上部で帽子のように見えるのはココナッツサブレ。底にも同じものが敷かれています。ココナッツは不得意ですが、これは美味しいと思いました。単独で食べても、ムースと一緒に食べても合います。
非常に食べやすくて、夢中で完食してしまいました。

シシリー

ロートンヌ・シシリー

ピスタチオのババロアにヘーゼルナッツのアクセントを加えたお菓子、という商品説明でしたが、実物はよく見るともっと複雑です。
ピスタチオのババロアの間に挟まった茶色い層は、チョコレートのスポンジ生地。その下の土台に近い部分はナッツとフィユティーヌで、これが全体の見た目とは違うザクザクとした食感を与えてくれます。
底の白い部分は判断がつかなかったのですが、もしかしたらマジパンかな? でもこれは美味でしたし、ねっとりした感じも薄めで食べやすかったです。

各要素だけ食べてももちろん美味ですが、やはりケーキの醍醐味は、上から下までまとめて食べたときのバランスの良さ。
ピスタチオではあるけれど甘さがあり、濃厚ではあるが意外と後味は軽くすっと溶けていく口溶けの良さに感心します。

シンプルそうでいて、全体的に「技術点」が高いケーキ揃いで満足度の高いお店でした。

現在地:Chapter08(強くてニューゲーム)
シリーズ記事「FF15 物語を見直す旅」の趣旨は、2017年2月1日記事参照。

シドニーとノクト

走っている途中で急に立ち止まった場合、ノクトはぐっと姿勢を低くして踏み止まります。それが偶然、シドニーが後ろを向いたタイミングと一致した時があり、これは勘違いされそうなアクションだと笑っていたら、なんとその瞬間をプロンプトに激写されていました。
偽スクープは、こうやって作られるのですね……!

注意:ゲーム本編・映画・アニメネタバレ満載です。
現在FF15プレイ中でネタバレを気にされる方は、進行状況を確認の上、ご自身の判断でお読みください。

Chapter08が開始。といってもこのChapterもメインストーリーは非常に短く、特に突っ込みどころもないので、今回はラジオ回です。
時流のせいか、8本中7本がニュースで、あまり面白味はないかな。
Ver.1.06で追加されたChapter13グラディオラスルートでは、ラジオを聞いた後に仲間の会話が入るようになっていて、嬉しい改良だと思いました。過去分にも追加してくださっても良くてよ!

また、Ver1.04辺りから、時間経過を示すテキストが多数追加されています。
Chapter08でも、揚陸艦内のシーンの後、工場前に移る前に「数時間後」と時間経過が入るようになっています。この辺は、地味ですが良い変更だと思います。
まあ、Chapter05→06やChapter06→07の「数日後」は、ちょっと時間掛け過ぎじゃないかと感じたりもしますが……(苦笑)。

ニュース:基地襲撃(3)

女性アナウンサー
ーー建設中の基地が 相次いで
襲撃を受けたことについて 帝国軍からーー
犯人が王都インソムニアからの逃亡者で
調印式の襲撃にもかかわっている可能性があり
周辺地域の住民の安全を守るためにも
身柄の確保を急ぐとの発表がありましたーー

基地襲撃の犯人と調印式襲撃の犯人を同一と報道するのは、ルシス国内の反政府組織が諸悪の根源だ、とすることで反帝国派をまとまらせないためでしょうか。
その辺が明確でないため、基地襲撃関連のニュースが王子たちのことなのか、別に襲撃者がいるのか考えてしまいます。

基地撮影

ニュース:フォッシオ洞窟

女性アナウンサー
ーー続いてシガイの情報です
先日の豪雨と雷雨による新たな被害の報告です
ダスカ地方中央部にある フォッシオ洞窟では
長く入り口をふさいでいた 岩が崩れています
メルダシオ協会が調査していますが
すでにシガイを確認したとの報告が入っています
周辺での夜間の外出は控えてください

ちょっと今更感のある、遅いニュース。
Chapter06でも良かったと思うのですが……。ちなみに、Chapter07では釣り具バートランドにラジオがありますが、CMしか流れません。

ニュース:カリゴ復帰

男性アナウンサー
ーー帝国軍がクレイン地方に設営していた
ヴォラレ基地が襲撃を受けた事件のその後です
ルシス駐屯軍 第5師団カリゴ准将が
ケガの治療を終えて昨日 帝国の病院を退院しました
カリゴ准将はすでにルシスへ戻り
今日から任務に復帰しています

Chapter06→Chapter08の間は、Chapter07開始前に空白の数日間があるだけなので、割と早い復帰です。と思ったら、ノクトはカリゴを気絶させただけでした。
もしかして、大げさに騒いで入院してた?

ニュース:一般人殺害事件

男性アナウンサー
ーーレスタルムで先日起きた
帝国軍准将による 一般人殺害事件について
帝国軍は事件の詳細を
次のとおり 説明しています
説明によると 事件当日の朝 准将は
リウエイホテル付近を歩いていて
背後から突然 ルシス人の男に襲われた
そのままもみ合いとなり 身を守るために武器を使用ーー

これもChapter06が妥当な気がするニュース。
ただ、カリゴが入院したので事情徴収できた、と考えればそれほど不自然でもないですね。

ニュース:野獣情報(3)

女性アナウンサー
ーー野獣の情報です
ラバティオ火山頂上に住む巨鳥『ズー』ですが
最近 頻繁に飛行する姿が確認されており
ズーが興奮状態にあると見られています
もともと性格は温厚で 比較的
おとなしい鳥として知られていましたが
最近では 威嚇するような鳴き声も聞こえていて
このところ続いた地震や雷雨の影響が疑われていますーー

間近で見たら、温厚でおとなしいとは到底見えない顔でした。

ズー

ニュース:工場内シガイ発生事件

女性アナウンサー
ーー先日 レスタルムで起きた
シガイ発生事件についてです
一時 操作不能に陥っていた
イチネリス鉱業の工場内発電機ですが
正式に今日 すべての発電機の修理が完了し
動作に関する検査を終えました
検査中も稼働できる発電機によって
電力の供給は継続されていたこともありーー
この検査による 住民の生活への影響は
現在のところ報告されていません

シガイ駆除中もミスリルの加工ができるくらいですから、電力供給方法は色々用意されているようです。

ニュース:王子生存

女性アナウンサー
ーー襲撃事件で死亡が報じられていた
ノクティス王子ですが
調印式当日 すでに王都を
出発されていたという情報に加えてーー
レギス陛下が かつてご使用になった車についても
事件以降 国内での目撃証言が多く寄せられています
帝国軍の様々な規制に反発する 一部の国民の中では
王子の生存を期待する声が上がり始めています

帝国が否定していた王子の生存説が、ここに来て再浮上している辺り、サブキャラクターのビブ(メテオ・パブリッシング代表取締役社長)が約束通り頑張ってくれているのかなと思えます。

ワイドショー:将軍の義手

女性パーソナリティ
ーー次はラジオネーム 『イチネリスの工員』さん
ーーどうしてレイヴス将軍は義手なんですか
これは だいぶ踏み込んだ質問です
でも調べてありますよ?
調印式の襲撃事件でのケガが原因だそうです
義手は最新技術で作られていて 基本的な
仕組みは 帝国軍の魔導兵と同じだそうです
ちなみに魔導兵ってわかります?
人造兵なんです 中身が人間じゃないんだってーー

義手のことはChapter09冒頭でもわざわざ取り上げるのに、特に何事もなかったのが悲しい……。


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参考記事

「今年もやります!ミュージカル落語まつり!3」初日@赤坂区民センターを観賞。
http://www.aro-world.net/musical.html

ミュージカル落語は、劇団四季出身という落語家・三遊亭究斗が創作した、ミュージカルネタのオリジナル落語シリーズ。
もともと落語には興味があったものの、寄席は行き難く、文化ホールで行われる落語会にでも行くかな……と思っていました。そんなときにこのミュージカル落語の存在を知り、ミュージカルなら好きなジャンルなので楽しみやすいかな、と考え今回参加してみました。

結論としては、非常に面白かったです!

はじめて生の落語を観賞したのですが、真打ちの二人だけでなく、前座や二つ目もお上手なので、ずっと笑いっぱなしでした。プロを侮っていたことに、今は恥じ入るばかりです。
また、芝居と同じで、落語も生ならではの空気感があるわけですが、落語の場合はさらに客席の反応をみて調整しながら演じる度合いが強いように思いました。

本日の番組は下記の通り。

開口一番 林家たま平(前座)「みそ豆」
挨拶 三遊亭究斗
落語 三遊亭わん丈(二つ目)「蝦蟇の油」改作
落語 林家たい平「猫の災難」
トークコーナー(究斗の部屋・ゲスト林家たい平)
(仲入り)
落語 三遊亭究斗「ねこたち」
カーテンコール「Under the sea」

林家一門が古典落語、三遊亭一門が新作落語寄りの雰囲気でしたが、どちらも時事ネタ盛りだくさんで、わかりやすい喋りにされていると思いました。
噺家としては、即興力など含めて林家たい平師匠の方が一枚上手という感じかな。

ミュージカル落語は、予想外に「ミュージカル」でした。ト書きも台詞に組み込まれている一人芝居、という感覚で観劇しました。本日の演目は、題名通り「キャッツ」のパロディ。舞台を日本に移し、人間からはトラと呼ばれている爺さん猫(本名アスパラガス)を助けた人間の少年との交流を通して、かつての恋人グリザベラと再会し、二人で天に召されるまでのお話が展開されました。
グリザベラ以外の猫は、名前もモジリになっていて、マキャヴィティ→マタニティ(以前の飼い主にマタニティ服を着せられていたから)、オールドデュトロノミー→オールストローノミー(なんでもストローで飲むから)等、原型が微妙に残っているからより酷いことになっていました(笑)。
でも正直、私にとってはほとんど物語がない本家「キャッツ」よりずっとわかりやすく、笑ったり感動したりできたのでした。
ピアノ、オーボエの生演奏で、音楽もバッチリ。特にピアノの山本愛香さんは、ピアノだけでなくパーカッション+ソプラノ歌唱と大活躍でした。

小路幸也著「話虫干」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
図書館職員・糸井薫は、小説を作り変えてしまう「話虫」を退治して話の筋を戻すため、小説「こころ」の世界に「先生」圖中と「K」桑島の友人として潜り込んだ。しかし日々を共に過ごすうち、糸井は圖中と桑島に友情を感じ、死なせたくないと願う。一計を案じた糸井は、二人を「こころ」の舞台を離れた神戸に連れて行った上で「小説の中の架空の人物」と明かし、「先生とK」ではない存在にしてしまう。

神の視点でありながら、一人の登場人物として東奔西走する糸井と、登場人物側でありつつもどこか神の視点を持つ圖中の語りで進んでいく小説。
明治風に古い文体で書かれていますが、当然現代人の作なので、実際の明治文学作品のように読み難い点はなくライトな作品です。もともと小路先生の文体は読みやすいという点もあって、一気に読めます。

思い付いたものをどんどん取り入れているとしか思えない話虫によって、Kの妹、夏目漱石、ラフカディオ・ハーンにエリーズ(舞姫)、ホームズ(シャーロック・ホームズ)まで登場して、どんどん「こころ」の展開から外れていく辺りは、どうなるのかと期待させられました。
それだけに、とっ散らかった展開がそのまま終わってしまった感があり、ちょっと惜しいです。
糸井たちがどうして夏目先生たちを退場させることができたのか、話虫がそれ以上話に手を入れなかったのは何故かという肝心の部分が曖昧で、釈然としませんでした。

オチに関しては「こころ」をもとに話虫が作った二次創作を、糸井が更に三次創作した、と思ったのですが、そういう認識で良かったのかしら。

救いのない「こころ」という作品を正しい筋に軌道修正させる以上、やはり救いは与えられないけれど、圖中と桑島は先生とKの路を辿ること無く済んだのは良かったです。