• 2015年08月14日登録記事

ひこ・田中著「お引越し」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
レンコの両親が離婚し、父は引越していった。母は「母さん」から「ナズナ」に変わっていく。レンコは名字を父の姓から母の姓へ「引越」するか問われ悩みつつ、自分の居場所を決めていく。

両親が離婚した、ということ以外、事件はなにも起きないということに驚いた作品。
もちろん、離婚自体は大きな事件ですが、そこから物語が始まるのに、2人を仲直りさせようと子供が頑張ったり、大喧嘩するでもなく、ただそれまでの3人の日常が2人の日常になったことで諸々が僅かに変わり、少女が大人になっていく姿を描く物語。
淡々としてはいますが、2人暮らしになった母とレンコが、2人で暮らす生活のため「契約書」を交わして家事分担などを決めるのは面白かったです。

子供視点の一人称長編の上、登場人物たちが京都弁なので、個人的には読み難いと感じるところもありました。

ところで、表紙の写真は道を猫が歩いている光景なので、猫が登場するんだと思い込んだのですが、まったく関係ありませんでした。
自分の思い込みなのですが、ちょっと騙された気分になります……。