• 2015年08月21日登録記事

平岩弓枝著「千姫様」

家康の孫であり秀頼の正妻だった千姫を描いた作品。
千姫と侍女の三帆が共に本多忠刻を思慕して、三帆が罠を仕掛ける辺りでは、女同士のギスギスした争いになっていくのかと思ったのですが、まったく違い、純粋に、大阪の陣後の千姫の半生を描いた小説でした。

史実上は、特別大きな物事を成したということもない人で、それゆえ名前は知っていてもどう生きた人なのかまったく知らず、色々と勉強になりました。
ただ、途中まで物語の狂言回しだった三帆の存在が途中で消えてしまい、そこから先はただの事実の羅列のようにも感じられたのが残念でした。

なお、本作では淀君が普通に真っ当な人物として描かれていました。徳川第一の姫である千姫を描いた作品で、淀君に好意的な描写と出逢うとは思わなかったので驚きました。