• 2016年10月登録記事

浅田次郎著「一路」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
江戸から田名部郡へ帰参した小野寺一路は、急死した父の代わりに参勤交代の差配を負う供頭を勤めることになった。役目の一切を知らぬ一路は、家伝の行軍録を基に、古式に則った参勤交代を決行する。道中、自然の険しさ、殿様の風邪、謀叛の企みなど、様々な艱難に見舞われつつも、一行は江戸へ辿り着き、一路は今後も己の領分で「一所懸命」働くことを誓う。

面白かった!
田名部から江戸まで駆ける行軍の速度に釣られて、上下巻を一気に読んでしまいました。

なんだかんだと巧く運びすぎな部分はありますが、苦労話が主ではないので、私は構わないと思います。
参勤交代(それも、古式ゆかしき行軍式)の描写という縦軸だけでも十分面白いところに、うつけと思われている殿様への謀叛がどうなるのか、という横軸があり、先へ惹き付けられます。
登場人物も総じて魅力的です。
物語を語る視点は、一路と殿様が中心ですが、話が進むに連れ、かなり細かく視点が切り替わります。それぞれの人物の内面が見えて、なかなか考えさせられます。また、馬や鯉の視点まであるのですが、これがなんとも可笑しみがありました。

同じく参勤交代をテーマとした「超高速!参勤交代」(2014年6月15日記事参照)を思い出す箇所もありましたが、方向性が違うのでそれぞれ楽しめました。
「超高速」が「虚」を排除できるだけ排除して「実」を取る作品だったのに対し、「一路」が「虚」をすべてこなして、虚の中にある「実」を見出すところに、武士の美学を感じました。

当初、秋はFF15のプレイ時間確保のため、2期アニメ2本だけ視聴する予定でしたが、延期のため再検討中。
というわけで、1話はそれなりに観てみました。

終末のイゼッタ

http://izetta.jp

アニメーションが綺麗という点に惹かれて観たオリジナルアニメ。
世界大戦を舞台にしたお話は私の好みから外れますが、“丁寧に作られた1話”という印象。舞台説明と謎の提示をしつつ、ミリタリーや百合風味の萌え要素を盛り込み、タイプの違う美少女と美青年を揃えてビジュアルを華やかに仕立て上げています。インパクトは弱いものの、きっちり出来上がった1話で「1話切りはさせない」という強い意志を感じました。3話までの合間にインパクトも盛り込めれば、継続視聴が決定しそうです。
多少「風の谷のナウシカ」や「魔女の宅急便」を彷彿とさせる要素や演出があったのは、わざとかな。

SHOW BY ROCK!!#

http://showbyrock-anime.com

本作は二期なので、突拍子もない話でもオールスター登場というだけで受け入れましたが、これが一期の1話だったら、視聴を打ち切る内容だったと私は思います。
一応「MIDI CITYを守る為に、闇の女王と復活したダガーを音楽(物理的な意味も含む)で倒す」という展開のようですね。1話でそこまで説明されるということは、それだけでは済まないだろうと思いますが……。
公式サイトのキャラクター一覧に忍迅雷音がいないので、バンドとして活躍はしないのかな?
クリティクリスタが、弱小のBRRに移籍していたのは驚きでした。

3ねんDぐみガラスの仮面

http://www.garasunokamen3d.com

一体どんなアニメになるのか心配していましたが、「ガラスの仮面」らしいネタを盛り込んだギャグ。「スマホに成り切るマヤ」とか、ほとんど公式二次創作ですね。これで笑うのは悔しい気持ちになるのですが、正直笑いました。
個人的には、桜小路くんの出番が、EDのみだと面白いんじゃないかと思います。

マジきゅんっ!ルネッサンス

http://www.magic-kyun.jp

以前の「スタミュ」的な「面白枠」かな、と思ったのですが、キャラクターデザイン原案が由羅カイリ先生ということもあって、予想より乙女ゲー全開でした。
予備知識なしでも分かりやすく、攻略対象キャラが全員顔見せした上で、謎を盛り込んだり、絵が安定して綺麗だったりと、普通に面白い一話。却って突っ込みどころがなくて困りました(笑)。
KENNが珍しい役をやっているので、メイン回らしい2話までは見ようかな、と思います。

信長の忍び

http://nobunaga-no-shinobi.com

4コマ漫画をそのまま繋いだような作りでしたが、それが遅すぎず詰め込みすぎず、良いテンポを生んでいました。
千鳥は可愛いだけでなく、キチンと自分が考える「忍び」の在り方を伝える脳もあって好印象ですし、それを即座に飲み込む信長公が格好良くて、もっと観たくなる良い5分アニメですね。

エピソード14 流星核を持つ少女

ホールド本部に真正面から乗り込んだ忍たち。
そこに、黒を探しているという「流星の双子」の蘇芳とジュライ、そして喋るモモンガ(猫)が登場。
ここでようやく分かりましたが、「黒の契約者」から登場している黒は、2年後の世界である「流星の双子」のメンバーと面識がないのですね。鎮目と黒の会話が噛み合わなかった理由も、これに起因する模様。
契約者の払う「対価」の説明がゲーム内にないので、それだけ調べてしまいました。ドシリアスなのに、割と愉快な対価が多いですね。

救出前に、カール戦。
撤退時に「君たちとはもう会うことはないだろう」と言っていたので、カールはもう登場しないみたいですね。謎を残したままですが、アニメへ続くということかな。

救出後は、鎮目戦。
こちらは非常に厳しい戦いになりました。終盤、敵ターンになると誰かが戦闘不能になり、仕方なく自ターンで英雄モードまで待たず復活させて、ゲームオーバーだけは避ける……という酷い戦いかたで、どうやって勝てたのか分からないような、ギリギリの勝利でした。

無事全員で脱出した後、改めてポイントデルタ12のゲートへ。
今度はアンチバリアを用いることで、誰にも見付からず到達しました。こんな便利な兵装があるなら最初から使え!と言いたくなったけれど、よく考えたらギロロ達だけで行くこともできたのに、わざわざ忍に解析結果を知らせてくれたのだから、一応ペコポンの女戦士への敬意なのかな。

エピソード15 再会

久し振りのアドロアス界!
再会したいキャラクターが沢山いると期待していたのに、最初の再会はまさかのガルル中尉でした。
思わず「お前か!」とズッコケましたが、直後にリナ、リウイ、ケロロも登場。
怪物レイン戦の後、どうやって退避したのか気になりますが、無事は確信していたので驚きはありません。唯一、オーフェンたちがあれ以来行方不明だそうですが、恐らく心配する必要もないでしょう。

せいせいするけどな!

むしろ、ツンデレのテンプレートのような発言をするボルカンに感動しちゃいました。

森の奥で稼働していたケロン軍の自動判別型究極侵略兵器キルルを退治したところに、劉鳳が登場して思わず身構えましたが、前回のゲート奪還作戦時にアドロアス界へ転移していたので、既にリナ達の仲間になっていたという点には、意表を突かれました。
続いてセリッシュ姫、リュードックとも再会。
ゲート奪還戦に巻き込まれたかなみちゃんと君島もここで保護されていましたが、カズマは不在。カズマがいたら劉鳳を喧嘩になるのが目に見えているので、バラバラに飛ばされたのは運が良かったと言えます。

忍が現実世界に戻っていた間のアドロアス界の出来事は、リナとリウイから教えてもらえました。
ちなみに設定上、リナの魔力はアドロアス界だと抑制されているのですね。ドラグスレイヴの威力等に不満があったので、本来の威力でないと分かって安心しました。
また、クルルの見立てでは、怪物レインは攻撃を別の空間に受け流しているとのこと。それを抑制する装置を作る展開になりそうですね。

そんな情報交換を行う中、リュードックから、赤い霧の洞窟でアーヴィン側の手勢と戦っている一団を発見したと報告が入ります。オーフェンとカズマらしいので、合流に向かいます。
しかし、劉鳳が仲間にいると、今度はカズマと対立することになりそうで、なんとも不安ですよ。

アントニー・マン著 玉木亨訳「フランクを始末するには」

奇妙な味わいの短編12編。

会話はウィットが効いていて、サクッと読みやすいけれど、激しく癖のある作品揃い。
ブラックジョークというべきなのでしょうか。煙に巻かれるようなお話はあるし、各主人公を筆頭とする登場人物も、私には合わない感じでした。
とはいえ、つまらないわけでもなく、表題作などは意外な展開で面白かったです。
一番面白かったのは、チェス王者を目指す若者が、強くなる為に父親を憎むよう指示され、それに従う「エディプス・コンプレックスの変種」かな。
犯罪や損傷を仄めかすような内容も多く、「ビリーとカッターとキャデラック」は、だいたい想像していた通りのオチでしたが、それでもゾッとしました。

地味に良いと思った点は、扉にオリジナルタイトル(英語)も記載されていることです。翻訳物の短編は、すべてこの処置をしてくれても良いと思います。……といっても、スワヒリ語だとかだったら読めないので不要ですが。

TVアニメ「91Days」(8話〜12話)の感想です。
http://91days.family

当初の視聴予定にはない作品だったのに、1話で「いい雰囲気」と思わせ、2話の衝撃で引っぱり、9月冒頭にあった衝撃的な8話以降は、ずっと次週を楽しみにしていました。

コルテオの友情を利用しつくすアヴィリオは、いつかしっぺ返しを喰らうと思いながら見ていたのに、その前に8話でコルテオがどん底まで堕とされたのが衝撃でした。
窮鼠、猫を噛むーーと評すしかないラストは、カメラワークと、明るいレコードの繰り返し演出にゾッとしました。ファンゴは、侮り過ぎていた油断より、身の回りに置ける信頼できる人間を故セルペンテしか持たなかったのが敗因かな、と思います。
そこまで追い詰められたコルテオが、ようやく報われそうだった10話とその結末は、本当に悲しかったし、最終回でチェロットが彼のことに触れてくれたのがまたなんとも効いていました。

手紙の主である「4人目の男」の正体は、4話から引っ張った割に小物だったな、と思いましたが、4人目を探すミステリーを盛り込むと、復讐劇というテーマがブレていた可能性もあるので、これで正解だったのでしょう。

とにかく、最初から最後までテーマを通し続けた点は見事でした。
実のところ、私は7話の時点で「この物語の結末では誰も幸せにならない」と確信したので、ある種安心して観ていました。その確信通り、復讐という行為を肯定することなく終わりました。私は、犯罪者が主人公でも構わないけれど犯罪を肯定する物語は嫌いです。91Daysの場合、人死、裏切り、策謀が蠢く凄惨な物語でも、倫理観は真っ当だったので楽しめました。

しかし最終回は、キービジュアルからの想像とまったく違い、少々蛇足気味に感じました。
せっかく11話まで逃げずにラザニアだとか描写してきたのに、結末で曖昧な終わりかただったということはもちろん、構成も時系列が前後して、分かり難かったです。
私は、元々アヴィリオは死ぬべきだと考えていたので、そのように解釈しましたが、ネロの笑顔があるせいで判断が難しくなったと思いました。
どれほど虚無感に襲われようと復讐をやり遂げたアヴィリオに比べ、ネロの怒りは少し緩いのが残念でした。
そもそもネロは3話頃、アヴィリオを疑っている描写があったのに、結局は完全に信じていたのですね。いい奴かもしれないけれど、マフィアのドンの器ではなかったんだ、と思います。