• 2016年11月登録記事

3DS「ポケットモンスターサン・ムーン」特別体験版を遊びました。
http://www.pokemon.co.jp/ex/sun_moon/

ポケットモンスターサン・ムーン特別体験版

体験版専用の内容で、「サトシゲッコウガ」を連れ、冒険の舞台アローラ地方と新要素を体験する作り。

チュートリアル風の導入になっていますが、基本的には従来のシリーズを遊んだ人向けという印象です。私はポケモン本編未プレイなので、説明なく戦闘等に突入したときは少し戸惑いました。なにより、ポケモンを集めて育てるというゲームの要が体験できません。テンカラットヒルで遊べる「ほかくチャレンジ」でポケモン捕獲の体験はできましたが、捕獲自体に面白さは見出せませんでした。

体験版の作りとして面白いと思ったのは、一通りプレイした後に、色々な要素が隠されていたことです。特に「○日後に見送りにきて」等の時限イベントが複数配置されている点は、発売日まで体験版を起動し続けて、ポケモンへの意識が途切れないようにしているのかな。

前述の通り基本的には「ゲッコウガ」しか使えないのですが、彼が格好いいです。

ゲッコウガ

公式サイトで知りましたが、元はカエルなのですね。それがこんな格好良くなってしまうなんて、ズルイです。

ゲーム自体は、全体的に動きが遅く、サクサクしたテンポ感を好む私は気になるところです。
特に引っ掛かったのは、移動関係です。ダッシュを基準にして欲しい遅さだし、通行できない微妙な狭さや段差で躓きました。

イーユン・リー著 篠森ゆりこ訳「黄金の少年、エメラルドの少女」

美しいタイトルと裏腹に、非常に深い陰影を持つけれど頑なな人々と、灰色の世界が描かれた作品集でした。

中・短編9作を収録。

  • 優しさ
  • 彼みたいな男
  • 女店主
  • 火宅
  • 花園路三号
  • 流れゆく時
  • 記念
  • 黄金の少年、エメラルドの少女

どの作品も、最初から最後まで読まないと、語っている内容がなかなか掴めない作りだと感じます。
そのため、一作目の中編「優しさ」は、着地点どころか出発点も定かでないまま、淡々とした語りを読まされ、非常に苦労しました。二作目以降は、作風を理解したのと、比較的短くまとまっていたので、ある程度面白がることもできました。
しかし、全体的に人と人の距離や、分かり合えない怖さを漂わせて終わる物が多く、腹の座りが悪かったです。
そんな中、表題作の「黄金の少年、エメラルドの少女」は、割と優しい終わりで、最後にホッとしました。個人的には、読み飛ばしそうなくらいさらっと同性愛者であることを織り込んでいる箇所に唸りました。

表題作の他には、哀しい物語だけれど、三人の少女の別れが描かれた「流れゆく時」が好きです。
また、代理出産を題材とした「獄」は、テーマも興味深いし、無教養・無教育な若い女の描きかたとして勉強になりました。

PS4版ダウンロード専用ソフト「風ノ旅ビト」を遊びました。
http://www.jp.playstation.com/scej/title/kazenotabibito/

風ノ旅ビト

初見2時間程度で一周が終わるゲームでしたが、最高の体験でした。

操作できることは、歩くこと、跳ぶこと、光と音を出すという3つだけ。そのシンプルさですべてが完結している、素晴らしいゲームデザインに感動です。

砂漠

なんの説明もなく世界に目覚めて、大きな誘導があるわけでもないのに、光の山を目指すという目的が自然と分かります。

沈んだ都市

美し過ぎる世界、光と影の演出に、スクリーンショットを撮りまくってしまいました。

地下道

後半の過酷なエリアでは、重さや圧を感じ、息苦しくなるほどでした。自分が出せる光と音が、小さく、微かな反応にしかならなくなっていくことも、焦りを生みました。

最初は、オンライン接続状態でプレイしました。本作は緩いオンライン要素があり、同時にプレイしているプレイヤーが自動マッチングされ、二人で旅路を進むことになります。
このモードでは、言葉はなくともお互いに配慮して協力する喜び、別れてしまい一人になったときの寂しさ、また出逢えたときの心強さなど、様々な感情が揺り動かされました。

次は、オフライン状態でプレイしました。
一人プレイすると、細部が目に付き、より一層美しさに感動しますね。二人でいると、どうしても仲間の背中を見ているときがあったのですが、見落としていた演出に気付きました。

再誕

ちなみに、一周目のエンディングが終わったところで、トロフィーがあるのか!と気付き、その内容で二度驚かされました。
結構、鬼畜なトロフィーリストですよね。
取得できそうな分は頑張るけれど、さすがにトロフィーコンプを目指すのは難しそうです。

中島京子著「小さいおうち」

これは傑作!と思いながら読み進めました。
戦時中、一般市民の暮らしは明るかった、という描きかたには頬を張られるような衝撃がありました。
戦前から戦中の時代に、田舎から出てきた純朴な少女タキが、小さいけれどモダンなお家で一生懸命働く姿は応援したくなるし、一方、現代パートでのチャキチャキしたお婆ちゃんだけれど、現代っ子の甥とズレ感があるところが面白いです。
奥様は、作中“人から好かれる”と評されていますが、本当にチャーミングに描かれているので、これなら好かれる、と納得しました。

しかし、最終章の存在が、私には少し引っ掛かかりました。最終章をつけず、タキの回顧録としてまとまっていても、隔靴掻痒とはならないと思います。むしろ、最終章によって新しい謎が生まれ、疑問符を付けることになってしまいました。
作品としては、最終章があることで高評価になっているようですが、私は読み終わってスッキリしたい方なので、ここだけ残念でした。
また、巻末の対談が、解釈を特定の方向へ導こうとしているように見えるのも気になりました。