• 2017年04月登録記事

田牧大和著「甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子囃」

【あらすじ】
両親亡き後、跡を継いだ叔父によって菓子司「百瀬屋」を追われた菓子職人・晴太郎は、弟・幸次郎と菓子司「藍千堂」を始めた。父の教えを守り、工夫を凝らした菓子で、廃業を迫る叔父の嫌がらせに対処していく。

江戸の和菓子職人が主人公の連作短編。
この手の職業もの小説はハズレが少なく、本作も期待通り面白かったです。ただ、主人公とは性格が合わず、少しイライラもしました。
弟の幸次郎も、有能と言われていてもそれは表現だけで、実際の業務描写からは感じられなかったのが残念です。

本作で描いている、夢追い人だが能力はある兄と実務家の弟という組み合わせは、有川浩著「シアター!」の兄弟のポジションを逆転したようなものです。春川兄弟は良くて、本作の藍千堂兄弟は好みでない、と思うのはなぜかを考えてみると、より強い立場である兄の側が薄ぼんやりしている点が私の気に入らないようです。
晴太郎が兄であり店主である以上、幸次郎はストッパーとして機能し切れず、だから物足りないのかなと思います。

また、全話を通しての謎と設定されている、叔父が晴太郎を追い出した理由について、最終話で「そんなことで?」と思ってしまったのが残念。もちろん、本人からすれば許し難い事実で衝撃を受けるのもわかるけれど、それが砂糖まで変えて仕事の質を落とすというのは感情優先過ぎて、納得できませんでした。

少し遅くなりましたが、今月から開始の春アニメ感想です。
「スタミュ」と「信長の忍び」しか観る予定はなかったのですが、さすがに1話の時点でそこまで限定するのももったいないかな、と思ったので他に「カブキブ!」「王立教師ハイネ」を視聴しました。

スタミュ 高校星歌劇(第2期)

http://hstar-mu.com

1期と2期の間にOVAがあったので、話に付いていけるか少し心配していたのですが、1期とまったく変わりない雰囲気で安心しました。唐突に歌い踊り出すキャラクターと、イメージPVが終わると何事もなかったかのように進む本編は、完全にスタミュ演出として定着しましたね!

揚羽の病んでる感じは凄いなと思いましたが、スタミュの世界に悪人はいないから、たぶん良い子なのでしょう。

team暁のメンバーが完全にモブで、暁先輩ドンマイ!と思いました。あとは、登場人物が一気に増加したのに、顔の差があまりないキャラクターデザインなので、揚羽陸以外覚えられるかどうかやや心配です。

信長の忍び 伊勢・金ヶ崎篇

http://nobunaga-no-shinobi.com

1期から連続の2期放送が嬉しい5分アニメ。というわけで、本作は1話ではなく27話ということになります。
信長さまの「うさぎが二羽いたとして、二羽とも追って三羽掴まえて帰ってくる」という千鳥評が素晴らしく的確で笑いました。

カブキブ!

http://www.tbs.co.jp/anime/kabukibu/

原作は4巻まで既読。
もともと、アニメには不向きな原作だと思っていましたが、アバンでの歌舞伎シーンに華も迫力も無くて、ちょっと頭を抱えました。見得がまったく切れていません。蝦原の飛び六方はまだマシだったので、首を回したり睨んだりするという細かい動作の表現がアニメでは難しいんでしょうね……。
でもそこに魅力がないと、主人公の語る「歌舞伎の良さ」がすべて台無しです。歌舞伎要素以外は、テンプレート通りの「問題のある部員候補生を主人公が絆していくお話」なので、学園青春ものと割り切って見れば、普通に楽しめるのかも。
とりあえず、阿久津の超音痴演技には笑いました。

ところで、原作通りのかなりゆっくりした展開ですが、1巻を丸々アニメ化するのでしょうか?
ここまで原作に沿うなら、キャラクターデザインも原作通りが良かったかな、と思います。

王室教師ハイネ

http://heine-royal.com

番組表のタイトルを見て「少女漫画かな」と推測して予約録画してみたら、少女漫画は少女漫画でも、想像とは少し違う方向性でした。
ハイネ先生がチビッ子なのに非常に低い声で驚きましたが、王子さまたちはテンプレートに則ったキャラクターな印象。四男のチョロさからして、他の王子さまも割と簡単に攻略できそうな気がしています。
王子さまたちが未成年に見えないとか、世界設定的な部分が今ひとつ曖昧に感じる部分、ギャグやコメディにしては、先生の独白が長くてテンポが悪く面白くない、といった要素は引っ掛かります。

といっても、こういう作品はキャラクター愛で視聴するものだと思うので、全員の性格が掴めるまでは判断保留でしょうか。
作画は非常に美しいので、それを目的に視聴するのは可能そうです。

ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」(PS4/3DS)は7月29日発売決定!
http://www.dq11.jp

って「FF12 ゾディアック・エイジ」が7月13日発売なのに、近過ぎますよ!
スクウェア・エニックスにしては珍しく、新作同士をぶつけて来ました。まあ、FF12はリマスターだから、そんなに配慮する必要もないのでしょうが……。

個人的には、3DS版の線の太いキャラクターグラフィックの方がノスタルジックで可愛いと思っていますが、共通版PVを見ていたら3DS版上画面の視界の狭さが気になって、PS4版に傾いてしまいました。
まあ、どちらにせよ発売日に買うなら、FF12は後回しにして新作であるDQ11を優先プレイすることになりますので、買うかどうか自体、もう少し悩みます。

ところで、「過ぎ去りし時を求めて」というサブタイトルは、「失われた時を求めて」にちょっと似てますよね。
プルーストの「失われた時を求めて」は、読書少女を自負していた私が読めずに挫折した初めての本だったので、非常に印象深いタイトルです(苦笑)。

現在地:Chapter07(強くてニューゲーム)
シリーズ記事「FF15 物語を見直す旅」の趣旨は、2017年2月1日記事参照。

アラネア加入

注意:ゲーム本編・映画・アニメネタバレ満載です。
現在FF15プレイ中でネタバレを気にされる方は、進行状況を確認の上、ご自身の判断でお読みください。

少々間が空きましたが、本編に戻ってChapter07から再開です。

……といっても、Chapter07は割愛しても物語に大きな影響がないため、本編という印象は薄いです。
ダンジョンを一つ攻略するだけで、内容は単なるお使い仕事。アーデンも「次に会うのは 海の向こう?」と言っておきながら、ここでサラリと再会するので、グラディオの離脱とアラネアの一時加入のために後から追加したChapterなのでは? と勘繰ってしまいます。
もちろん、バグを使わず普通に遊ぶプレイヤーにとっては、アラネア准将を仲間にして記念撮影したりキャンプしたりと、いつもと面子が違う4人組を楽しめる貴重な機会なので、あって嬉しいChapterではあります。

アラネアを激写

アラネアとキャンプ

なお、Ver.1.08で、街道を封鎖していたミーレスと帝国兵4体が消失していました。
トンネル通過時に「わざわざ開けて待っていたかのようだった」という台詞があるのに、中途半端な戦力の帝国兵に行く手を阻まれるのは、アーデンの手助けとしても、罠としても変だーーと指摘しようと思っていたのですが、先手を打たれました(笑)。そしてこの変更により、トンネルの一時開通はアーデンのご丁寧なエスコートだと確定ですね。

アーデン

アラネアの加入と、スチリフの社内での会話は、特に問題ないと思います。
ただし、アラネアの立場について、この時点で「傭兵」だと誤解しているプレイヤーもいるようです。
誤解していても物語全体の理解には影響を及ぼしませんが、一応修正を試みることにしましょう。

そもそも、Chapter06にてカリゴが「傭兵あがり」と二度も呼ぶことで、「傭兵」であり、現在は職業軍人だと明確にしているのですが、おそらく「○○あがり」という言い回しを知らない人が少なからずいるんでしょう。
更に、拍車を掛けたのが、このChapter07におけるアラネア自身の「あたしは気ままな傭兵みたいなもんでね」という台詞でしょう。

気ままな傭兵みたいなもんでね

一応「○○みたい」=「似ているだけであってそのものではない」と読み取れますが、「○○である」ことを婉曲的に表現する使用法もあります。ここまで何度も「傭兵」という単語を聞いたプレイヤーは、逆に「彼女は傭兵という名で呼ばれないだけで、実質傭兵なんだ」と誤解する可能性があります。

そもそも、なぜアラネアは「傭兵みたいなもん」と言ったかが肝心です。これは、他の准将と違って帝国に絶対の忠誠を誓っていない、だからルシスの王子が相手でも気にしない、というアピールのはずです。
その辺をもう少しわかりやすく盛り込んだのが、下記の案になります。

【変更案】

アラネア
まあ あたしは傭兵あがりで 帝国への忠誠がどうこうって柄でもないし
あんたたちの正体も知らない

「傭兵あがり」という言葉の善し悪しは判断が悩ましいですが、アラネアの性格なら気にせず使いそうですし、一つの事象を色々な言い回しで表現するより、最後まで一貫してこの言葉で通した方が良いでしょう。
そんなこんなで、アラネア関係の突っ込みは終了です。


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参考記事

PS4の箱庭シミュレーション「Birthdays the Beginning Demo」(バースデイズ・ザ・ビギニング)を遊んでみました。
http://www.arcsystemworks.jp/hakoniwa/

Birthdays the Beginning Demo

このゲームのジャンルは「いのちをうみだすみんなのハコニワ」。
要は「生態系シミュレーション」なのですが、プレイヤーにできるのは「地形を上げたり下げたりする」ことだけ。
これが意外と面白く、奥深く、妙に熱中しました。ゲームとしては荒削り過ぎるし、楽しいとは言い切れないため、一度終了すると熱は冷めちゃって、購入して長時間遊ぶほどじゃないと判断したのですが(笑)。

起動して2回驚いたのが、ビジュアル表現です。
そもそも、このゲームの公式サイトや起動時イメージは、こんな風に丸みを帯びたキャラクターと鮮やかな色使いでポップな印象です。

Birthdays the Beginning

ところがゲームを始めると、洋書風のイラストとADVっぽいテキストで進行し、「ゲームを間違えたか?」と思わされました。

Birthdays the Beginning

そして上記のプロローグ演出が終わると、なんともシンプルなこの初期「ハコニワ」画面が待っていたのです。

Birthdays the Beginning

ここまでプレイ中のビジュアルが一貫していないゲームは、昨今珍しいと思います。

体験版で遊べるのは、チュートリアル的な内容で、誘導に従って、生命を順番に進化させるだけ。
地形を上げれば山ができて、下げれば海ができて、気候が変わっていきます。

Birthdays the Beginning プレイ画面

思い通りの土地を作っても、生物が住める気候でなければ意味がないので、気温、水温、湿度といった要素を見ながら、地形を調整しました。

Birthdays the Beginning キューブステータス

アイテムを使うと、細かい条件は無視して強制進化させたりできるようですが、アイテムに頼らず生態系の変化で進化を促してみたので、そこそこ時間がかかりました。

一応、作った箱庭世界の中を観察することもできます。動物が増えたら、見ているだけでもそれなりに楽しい……のかな。とりあえず微生物と植物しかない時点では見るものがありませんでした(笑)。

Birthdays the Beginning 箱庭

子供向けの教材ソフトみたいな雰囲気もありますが、実際に遊んでみないとまったく掴めない独特のゲーム性は好感が持てました。