- 分類読書感想
小山鉄郎著「白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい」
漢字研究者・白川静博士が語る漢字の成り立ちと体系を、一般向けに説明した本。
取り上げているすべての漢字に、元と想定されるイラストが付いていてわかりやすいのが特徴。
1字ずつは簡素な説明でまとまっており、全体的なページ数も薄いですが、きちんと理解して読もうとすると結構時間がかかりました。
先日「沈黙の王」読書感想(2017年11月27日記事)で、漢字の成り立ちを描いた作品だと期待して読んだら、テーマが違う作品だった旨を記しました。その後本書と巡り合い、「読みたかったのはこれだ!」と思いました。残念ながら、本書は「物語」ではなかったのですが……。
死や宗教思想に基づく説が多く、いくつかの仮説には、「沈黙の王」で描かれていた古代中国の風習と照らし合わせて納得する部分があり、そういう意味では、私の中で両者が合わさって面白かったです。
良書ですが、すべて仮説のはずなのに事実のように記載している部分は、少し気になります。
聞き手兼書き手の著者が、それだけ白川氏の学説に惹き込まれたのだろうと思って私は許容しましたが、せっかく漢字に関する学びの道を開くのであれば、異なる学説があることくらいは紹介して、より教養が深まるようにするのが学術本の在り方でないか、と思うのでした。