• 2016年07月登録記事

開高健著「戦場の博物誌」

実際の文字数と関係なく密度を感じる作品集。
表題作は、博物誌という名前の通り、ハゲタカやカモシダなど、細かい章立てで語っています。当然、一編はさほど長くないはずですが、凄い長編大作を読んでいるような気がしました。
逆に、米軍曹長の休暇に付き合う「兵士の報酬」や、正月休戦を描いた「岸辺の祭り」は、東アジアにおける洗面器の使われかたを語る「洗面器の唄」より長文なのに、短編だと感じました。描いているテーマと地域の広さの差なのでしょうか。

小説ということになっていますが、ルポルタージュのようでもあり、非常に不思議な読書体験です。
最終話「玉、砕ける」以外は、死が日常の中に組み込まれている戦地の空気感があります。受け手の私はそこまで器がないので、巧く飲み込めないところもありました。また、語り手となる主人公達は、今風にまとめると戦場で「自分探し」をしているように見えて、共感もできませんでした。

夏放送開始アニメ感想の続き。
秋の二期に備えて、再放送「響け!ユーフォニアム」も観ているので、時間のやりくりが大変です。

SHOW BY ROCK!! しょ〜と!!

http://showbyrock-anime.com/short/

「5分アニメ」と言われる枠ですが、実質3分くらい。
「SHOW BY ROCK!!」2期は10月放送開始だそうなので、キャラクターを思い出してもらう目的で、バンドごとに登場するのかな、と思われます。
馬鹿馬鹿しい内容ながら、実に「SHOW BY ROCK!!」らしくて面白かったです。私の今期録画リストでは、視聴して笑える番組がこれしかないので、結構重要です。

Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀

http://www.thunderboltfantasy.com

台湾の布袋劇を日台合同で作成する作品ということで、正確にはアニメの枠ではありません。
画質が悪くて閉口しましたが、人形の美しさとアクションの凄まじさには惹き込まれました。また、凜雪鴉と殤不患の皮肉っぽいやりとりも面白かったです。
お話は王道の武峡小説という感じですが、人形劇になるだけで妙に新鮮に感じます。丹衡や殘凶といった格好いいキャラが、まさかの1話退場という思い切りの良さには驚きました。
お話は気になるけれど、血飛沫や首チョンパ等、かなり壮絶な演出が多いので、観続けるのは疲れそうです。

91Days

http://91days.family

禁酒法時代を舞台にマフィアへの復讐を描く、洋画風アニメ。
きちんとマフィア物をしていて、上質な出来だと思いました。1話だけチェックするつもりが、先が気になる引きだったので、取り敢えず録画続行。
一番感心したのは喫煙シーンが多いことです。変に現代の倫理観を持ち込まず、殴ったり殺したり酒を飲んだり吸ったりを真っ向から描いているので、好感を持ちました。
ただ、主人公には好意をもてなそうですね。
ネロの正体はまったく気付かなかったですが、正直、前髪を下ろして付け髭を付けている姿の方がよほどダンディで格好いいと思います。

160710.png

現在地:(古代)天空で待つものは

原始から、空中に浮かぶ古代・魔法王国ジールへ。
あの有名曲BGM「時の回廊」が流れた瞬間、これはフィールド曲だったのか!と驚きました。そして、思わず「ラピュタは本当にあったんだ!」と言いたくなる美しい光景と、魔法王国という自称に反しラヴォスの力で繁栄している危うさにもゾクゾクさせられました。
でも、マールのペンダントをラヴォスから吸い上げた力で強化して良かったのかは疑問。サラのペンダントが、何らかの形でガルディア王国に伝わったのでしょうか。

ペンダントが強化され、古代から追い出された後は、即座に北の森の遺跡に行ってみました。ここに封印の宝箱があったことを覚えていたからですが、なんと、宝箱は2つあるのに、「攻撃」と「防御」のどちらか1つしか選べない仕様でした。
直前にセーブしていなかったので少し悩みましたが、選んだのは「攻撃」=「つばめ」。クロノの装備でした。「防御」で防具を貰えば、パーティ内で使い回せたでしょうし、これが最強装備ではなさそうなので、ちょっと失敗したかな?
でも、クロノの攻撃力がぐっと上がって頼れるアタッカーになったので、物理攻撃を多用する自分には合っていたと思います。

その後、パレポリにも宝箱があったと思い出した際は、現代で宝箱を手に入れてから中世で再入手すればお得!と考えて実行したのですが、どうも浅知恵だったようです。
現代で宝箱を空ける前に、中世で宝箱に力を注いでおくと、パワーアップしたアイテムが手に入ったという攻略情報を後で知り、ガックリしました。
でも手順が面倒なので、次週でも無視しそうな気がします。

その後、未来・監視者のドームに飛んで、シルバードを入手。
いかにも空を飛びそうな形状ですが、現状、単なるタイムトラベルマシンで、ちょっと使い難いです。行きやすいタイムゲートが増えたと考えれば良いのでしょう。

古代に舞い戻り、なげきの山で賢者様を救出。割と長いダンジョンが登場するようになってきたので、この先が少し不安です。
ボッシュが賢者様だったのは、驚くと同時に納得。ただ、古代から現代まで生きていると考えると、凄まじい長寿ということになりますが、中世では見当たらないのですよね。
再びジール宮殿へ向かい、ダルトンを撃破。この局面で、こういう道化な敵役が出てくるというバランス感覚が面白いです。と言いつつ、戦闘では「HP半減」攻撃だけかと油断していたら、最後の全体攻撃「おならプー」でクロノとマールが死んでしまい、危ないところでした。

160708.png

アニメ感想

アニメ「BROTHERHOOD FINAL FANTASY XV」3話(Sword and Shield)
https://www.youtube.com/watch?v=qgq0aKWcUEI#t=465
1日経過したのにまだ公式サイトからはリンクされておらず、Youtubeでのみ公開という不思議な状態です。

前回が“静”な展開だったのに対し、今回はアクションから始まりました。毎話、食事シーンを入れる縛りがありそうな本作ですが、今回は肉を食べたくて全力で戦うという4人の男子っぽさが可愛かったです。
過去編においても、グラディオの髪型が違ったり、年齢相応に苛つく青年っぽさが新鮮でした。
ただ、予定調和的なストーリーなのに細部がチグハグしていて、纏まりが悪い気がしました。王族に対して敬語でないのも、違和感があります。ルシス王国がそういう国家なのかも知れませんが……。

特番感想

映画公開直前特番「FFXV UNIVERSE REPORT」も観ました。
番組を観て気付きましたが、いつの間にか、ゲーム、アニメ、映画という作品群を指して「FINAL FANTASY XV UNIVERSE」と呼ぶことになっていました。スクウェアはこういう展開が好きですね!

アニメは楽しめているし、本編前にキャラクターに愛着を持たせるという試みは巧く機能していると思います。実際、好みでないと思っていたプロンプトを2話で好きになりましたから。
しかし、アニメや映画の知識を前提としたゲームになっていないか、という心配を払拭することは出来ませんでした。

番組後半は映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」の話。
CGキャラクターをリアル寄りに作る場合、モーションキャプチャーは必須だと思っています。でも結局役者に演技させるのなら、CGで人間を描く意義はどこにあるのだろう、と不思議な気持ちにもなりました。なんだか、二度手間という気がします。
ただ、本作はゲームの世界を描く映画なので、外見ごと持って来て、齟齬を生まずに済むのは利点ですね。ルナフレーナの顔だけ、ゲームより彫りが深くなっていますけれど。
フェイシャルモーションキャプチャーは、「スターウォーズ フォースの覚醒」メイキングで凄まじい技術を観た後なので、マーカー数が少なく感じました。ただ、これは生身の役者とCGキャラが共演する「スターウォーズ」ならではの贅沢かも知れません。CGキャラクターしか出演しないのであれば、表情筋の量に差異はありませんから。実際、トレーラーでは表情の付け方に感心しました。

ところで、映画でもルシス王国では看板等が日本語表記なのでしょうか。アニメやゲーム以上に白人風に描かれている映画キャラクターが日本語の文書を読んでいたら、私は笑ってしまうかも知れません。

檀一雄著「檀流クッキング」

92種の料理を紹介する短編集。
材料や調理法は書いてあるけれど、「あれば結構だが、なければないで良い」とあったり、調味料に関しては細かい分量が書いておらず、当人の好きなように味をつければ良いというスタンスなので、レシピ本として使うには上級テクニックが必要です。
また、写真等はなく、ただ文章だけなので、語られている料理そのものを知らないと完成像がイメージし難いところもありました。
しかし軽妙な語り口が魅力的。自らが何度も作って習得した料理法を書いているので、とても自然で面白かったです。
私も自分の料理の分量はかなりいい加減で、人に作りかたを聞かれると困るのですが、その辺の「常に同じではない」という部分こそが、家庭の味ですよね。この本では簡単なものから凝ったものまで様々な料理が語られるけれど、テーマとしては、家庭で料理を作れ、という檀先生のメッセージが込められていると感じました。