• 2011年12月07日登録記事

有川浩「阪急電車」

映画化されたときに、地下鉄の車内ビジョン広告で良くCMを見掛けましたし、あるブログさんが書評を書かれていたため、作品タイトルは知っていました。
その後、著者が有川浩だと知りました。
「図書館戦争」のことは有り体に言って「ライトノベルだ」と思っていたので、書評のイメージと違うな、と思って読んでみることにしました。

1本の往復路線に乗り合わせた人々の短編。
色々な人々の日常が少しずつ重なるだけの「地味」なお話で、視点となるキャラクターは、極々常識的。元カレの結婚式に「討ち入り」をしちゃう翔子は少し特殊ですけれど、本来は常識に縛られてる人ですよね。それに、普通は出来ないことを実行して成功させるというエピソードに爽快感があるので、物語に波を作るために必要な要素だったのかなと思います。
私としては、言いたい放題の老婦人、時江さんが格好よくて好きです。
その他、キャラクターから伝わる「正義感」の強さみたいなものは、確かに「図書館戦争」に通じる物があるかな、と感じました。

全体的に、サクサクっと読めて楽しめました。
欲を言えば、復路にしか登場しない物語の関わりが薄い人がいるのは少し残念でした。視点が往路復路で一緒になっていたら、構成だけで唸らされたと思います。