• 2016年04月登録記事

佐藤正午著(伊藤ことこ、東根ユミ)「書くインタビュー1」

直接会って言葉を交わすインタビューではなく、メールを用いて、書いて質問し、書いて回答するという形式のインタビュー。ある意味、テーマの決まっている往復書簡集のようなものですね。

1巻を読み終えた時点での私の感想は、「変な本」というものです。
作家・佐藤正午の書く手法について、興味深く読める箇所もありましたし、書くことに対するストイックさは、ジャンルは違えどライターの端くれとして勉強にもなります。

しかし……この作家が嫌味っぽいのです。
私は、インタビューとは、質問者と回答者がお互いに協力して進むものだと思います。それなのに、相手の投げる質問にケチを付けて、答えなかったりして、感じが悪いです。
メールでの長期インタビューに答えることは、仕事として自分が請け負ったのだろうに、こんな非協力的では、インタビュアーたちが戸惑うのも当然です。文章は巧みですが、ときどき感情的に攻撃してくるし、そうなると巧みであるが故に余計キツく感じます。
とりあえず、「人と会うと不幸になる」と過去に発言しているだけあって、人間嫌いなのだろうという印象は強く受けました。

対するインタビュアーたちも、あまり共感できない人々です。
最初の聞き手を担当した伊藤ことこ嬢が、初っ端から「疲れませんか」という、微妙な質問を投げかけるところから本書は始まります(当然、作家からは非常に辛辣な返信をもらいます)。
最初に変化球を投げることで、面白い反応を引き出そうと狙った、その気持ちはなんとなく分かります。しかし、取材相手の性格を考慮していなかったことは問題ですし、結局仕事を投げ出してしまう有様なので、擁護のしようがありません。
代わりに聞き手を務めることになった東根ユミ嬢も、最初は真っ当に頑張っているのですが、途中から嫌がらせで「正午さん」呼びを始め、どうでも良い質問を連発するのには、正直呆れました。
のらりくらりと躱す回答ばかり返され、自分の書いた質問は駄目出しされる、というやり取りが頭に来るのは分かります。しかし、メールが出版されると分かっていて、こんな幼稚なことをするでしょうか。
でも最終的にそのまま押し通すのだから、「正午さん」みたいな面倒な人と付き合うには、彼女のやりかたが正解なのかもしれません。
結局、東根嬢は作者の秘書から「自分」が見えないと指摘されて、“件名:「私」”という身の上話を書いた長文メールを送って以来、先生との仲が回復します。実際問題、このメールは何でもない内容なのに、読み物として面白かったです。

……皆さまは、この2人のインタビュアーは、実在すると思われますか?
編集部が「小娘」で失敗した直後に、また「小娘」を起用するでしょうか。

作家の自作自演なら、なかなか面白いしよく出来ていると私は思います。が、それはネタばらしして初めて成立する面白さです。
本書が「インタビュードキュメンタリー」として発行されている以上、やはり作家は嫌な男で、インタビュアーは感じの悪い小娘でした。

なお、私は佐藤正午氏の本を読んだことがありません。インタビュー中に執筆・発行され、何度か引用されている「ダンスホール」「身の上話」等は、読んだ方がより面白いのではないかと思います。
しかし──

断っておきますが、これはあくまで東根さんのおっしゃる小説の「人称」に注目した場合の話で、そんなパイ構造だの何だのはどうでもいい、物語の筋さえ面白けりゃいい、『5』の津田伸一の性格、品行悪すぎ、大嫌いだ、みたいな読み方ももちろんありです。ありですが、そういう傾向の読者には、できるだけ僕の本には近寄らないで欲しい、なんなら手も触れないでほしいといつも念じています。
(P.68)

とご本人が書かれているので、私は触れるべきでないのでしょう。少し残念です。

第1章・旅の扉(緑)を手に入れたところまで。

みつまたのほこら

新しい部屋ができる都度、住民たちが集まって祝福してくれるのは、ときどき鬱陶しく感じるけれど、「やった事を褒めてもらえる」とモチベーションが生じる面もあるのでしょうね。
こういう手厚さは、さすがにドラゴンクエストだなと感心します。

前回クリアできなかった「作業部屋」の改装は、一旦すべての装飾品を外して一つずつ設置し直したら「石の本格工房」に判定されるようになり、事なきを得ました。
後から考えてみたら、看板を3マス目の高さに設置していたかもしれません。
色々検証したところ、地上から2マスの高さまでしか、部屋の装飾として認識されないようです。
その後は、見張り台を建てるために、女子の個人部屋を少し縮小させられたり、微改築を繰り返しています。
しかも竜王軍戦の後、女性が1人増えたのでした。個室を作ってあげる土地の余裕がないので、見直さねばなりません。嗚呼、大変。正直あと少しで1章クリアできそうな手応えがあるので、無視して、宿屋で野郎共と雑魚寝してもらおうかなぁ。

鋼のまもり

「石のまもり」を撤去して堀を埋めて、その上に「鋼のまもり」を建て直すのに、ゲーム内時間で3日くらい掛かりました。
苦労の甲斐あって、効率的に敵を倒してくれるけれど、私、気付いてしまったんですよね……
「火を吹く像」は、持ち歩いて強敵に使った方が効率良いことに!

火を噴く像vsドラゴン

ちなみに、「鋼のまもり」は大きさの問題で、明るく表示されるエリアから半分以上はみ出てしまったけれど、ちゃんと建造物として認識されました。この辺の認定も、結構謎です。

日本一ソフトウェアのPS4ゲーム「魔女と百騎兵Revival」体験版を遊びました。
http://nippon1.jp/consumer/majo100revival/

魔女と百騎兵リバイバル

PS3で発売し、ダークなシナリオが評価された「魔女と百騎兵」の移植作。
なんとなく、主人公(プレイヤー)は魔女メタリカの方だと思い込んでいたのですが、実際は「百騎兵」と呼ばれる魔神の方で、そこは意表を突かれました。
ついでにいうと、100体の兵士を駆使する戦略SLGだと思い込んでいたのですが、沼の魔女メタリカに召喚された百騎兵が、彼女の野望成就のため戦わされるという、ハッシュアンドスラッシュゲームでした。

メタリカ

体験版では、序章から森の魔女マーリカの館に侵入するところ(第1章の終盤)まで遊べます。序盤の範疇ではありますが、1マップが広めということもあって、結構遊ばせる体験版だと思います。この段階で本当に森の魔女と戦うのか?ということも含めて、先の展開が気になる引きも良かったです。

基本的な戦闘システムは、簡単な作り。
同じ武器でも属性があって、三竦みの関係になっているようでしたが、私は武器を切り替えて戦うのは苦手なタイプなので、面倒に感じました(ゴッドイーターバースト初回プレイでは、徹頭徹尾ショートソード&ブラスターだったくらい、武器を使い分けるのが下手です)。武器ごとのアクションの差自体は、間合いや隙を掴んでいく過程が面白かったです。
また、ハッシュアンドスラッシュを楽しむ観点で致命的問題だと思ったのは、障害物の透過処理がされていないことです。
1章の探索エリア(森)では、木々が視界を邪魔して、百騎兵がどの辺りにいるのか、どちらを向いているのかも分からず、そんな状態で敵に絡まれると苦労しました。
カメラの動作ももったりしていて、全体的にハッシュアンドスラッシュとしての爽快感は低めです。

独自システムに関しては、説明不足でイマイチよく分かりませんでした。
例えば「魔女制圧」という要素がありますが、ゲーム的には単にアイテムを入手する程度の意味しかないようで、せっかくの発想と可愛い演出が無意味になっていると思いました。

日本一ソフトウェアだけあって、キャラクターは濃くておかしな連中が揃っています。
まず、メタリカ様についていけるか? でプレイヤーをふるいにかけるゲームですね。

善人気取りの×&%芋虫野郎

下品な笑い声やらテンションが高いピー音の連続台詞はともかく、噛みかけのガムを床に吐き、百騎兵に「食え」と命令する初対面は衝撃的でした。
世界を沼で覆いつくすという野望も、スケールが大きいのか小さいのか……。
執事のアルレッキーノは、絶妙に慇懃無礼で、リカを馬鹿にしつつあしらっている感じが溜まりません。

そして最大のポイントは、プレイヤーキャラクターである百騎兵が可愛いこと!
3Dモデルはそこまで可愛くないのですが、なんとなく愛嬌があります。
また、言葉を喋る知性はないものの、「東京魔人学園」のような感情表現が可能です。ただ、あまり表現する箇所がないのと、表現しても物語にこれといった影響は与えてなさそうなのが寂しいかな。

オプション設定で驚いたのは、「文字言語」と「音声言語」をそれぞれ日本語/英語から選択できたことです。
個人的には、この機能、他の海外展開しているゲームでも積極採用して欲しいですね。2周、3周する楽しみが湧きそうです。

The Witch and the Hundred Knight

全体的に、システムは練り込み不足という印象。オリジナル版がそうだとしても、移植の際に、作り込み直しても良かったと思います。
ちなみに、この体験版は起動時のロードが異様に長く、延々とローディングしたまま何分も待たされるので、起動バグかと思って強制終了してしまいました。
そういったところも含めて、日本一ソフトウェアの技術力の問題でしょうか。
お話の先は気になるので、戦略SLGなら、プレイしてみたかった気もします。

160412.jpg

有楽町のグリルレストラン&バー「シクス バイ オリエンタルホテル」でランチを頂きました。
http://www.6thbyorientalhotel.com

平日のランチコース。
前菜は鮮魚のカルパッチョで固定されていますが、パスタ(ペペロンチーノ・クリームソース・トマトソース)、メイン(鳥・金目鯛)、デザート(プリン・デコポンのパブロバ・苺のティラミス・ソルベ)は選択制。
一通り食べましたが、どれもしっかり素材の味がして美味しかったです。
メイン料理は肉・魚のどちらも少し味付けが強め。特に、鳥は4種もの胡椒がてんこ盛りされており、やや刺激が強かったです。
デザートは苺のティラミスとデコポンのパブロバを試すことができましたが、どちらも甘すぎず、サッパリした後味で満足しました。
付け合わせのパンが1切れずつしか貰えないのは少し残念でしたが、全体のボリュームとしては十分でした。

店内は、外観から想像していたより広くて驚きましたが、ほぼ満員。賑やかで、活気がありました。落ち着きたいときは不向きだと思いますが、仲の良いメンバーと盛り上がるなら良い具合だと思います。
内装も全体的に舶来風で素敵でしたが、昼の照明はもう少し明るくして良いと思います。

レシート提示で、当日中はコーヒー2杯目が100円になるそうです。
余程のことがないと1日に2回同じ店にいくことはありませんが、なかなか嬉しくなるサービスだと思いました。

室積光著「史上最強の内閣」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
北朝鮮が日本に向けて核弾頭の発射を準備した。打つ手なしの与党は、この局面を、公家出身の二条首相以下「影の内閣」に委ねた。傑物揃いの大臣たちは、鉄砲玉作戦、将軍の長男の拘束とバラエティアイドル化など、度肝を抜く手段の数々を打ち出す。やがて二条内閣は遂に北朝鮮の謝罪を引き出し、役目を終えて京都へと戻っていく。

最初から引用で恐縮ですが、二条内閣が登場する前振りの台詞が痛快。

その鈍い反応に苛立ったように浅尾首相は言葉を続けた。
「皆さんも、あの二世、三世ばかりの政治家に何ができるかと思ってたでしょう? 地盤、看板、鞄を引き継いだだけのボンボンばかりで大丈夫か? って思ってたでしょうが、本当のところ」

ということで、別途用意されていた「一軍」の内閣が登場し、北朝鮮相手の外交戦を繰り広げていくわけです。荒唐無稽ですが、んな馬鹿な(笑)と笑いながら受け入れるのが、こういうエンターテイメント作品の醍醐味でしょう。

実在の政治家や党名をもじって登場させ、政治問題について言いたい放題したり茶化したりしつつ展開していきます。戦争の悲劇や愛国心等、ホロリとさせる要素もあります。
政治に多少の関心があって、且つ現状に不満がある国民なら、主義の一致/不一致はあったとしても、ポンポンと丁々発止で本音のやり取りがあるので、楽しめます。
ただ、一軍だからといって、思う通りに物事が進むわけでないのは、リアルで良い反面、最強の内閣でもこんなものか、という残念感がありました。それでいて、ミサイル発射以降の展開が駆け足になり、四カ国会議はトントン拍子で決着するにも拍子抜け。
また、外交問題以外も語ってはいますが、作中の二条内閣在任期間が短過ぎて、なにも成し得ずに終わるので、内閣を総入れ替えする必要はなかったように感じます。
どうせ最後は日本の勝利で終わるのだから、いっそあらゆる分野に手を入れて、日本を良くしてから去っていく、という娯楽に徹した内容でも良かったと私は思いました。

設定の割に、内閣メンバーのキャラクターは弱いです。
歴史上の人物パロディなので、読者はモデルから勝手に人物像を描けるけれど、その想像に頼りすぎているのでは、と思いました。そもそも、作中で行動が見えるのが、二条首相、山本軍治防衛大臣、服部万蔵情報官、坂本万次郎外務大臣くらいで、その他の大臣たちに、意味を感じませんでした(それが、前述の「外交問題以外は何もしていない」という要素にも繋がっています)。
一方、濃いキャラクターだったのは、将軍の長男シン・ジャンナム。現実と照らし合わせると、いささか良い人物として扱い過ぎかもしれませんが、図太さが憎めないこのキャラクターは面白かったです。